訓練
体調不良で長らくお待たせして申し訳ないです。
ブクマを付けてくれてる皆様、待っててくれてありがとうございます(^^)
ではまたこれからもよろしくお願いします!
パタパタと動き回る音を聞きながら起きれば、まだ外は薄暗く早い時間だと分かる。
しかし、今日は朝から走り込みをするのだ。
「んー、おはよ、みんな」
「おはようございます」
今日は寝ぼけたりしてないのは、昨日は寝たのが早かったからかな、うん。
僕が起きたからか、テリアさんが燭台に灯りを点けてくれて明るくなる。
メノさんが用意してくれた洗面器で顔を洗って、運動用のラフな格好に着替えておく。
そして何かのジュースを飲みながらまったりしてると、リリさんが戻って来た。
「ペリオン様呼んできた」
「おはようございます」
「おはよー」
ペリオンさんも今日は運動するからかラフな格好で、それじゃあと連れ立って外に出る。
行ってらっしゃいませって送り出されて、二人でてくてく歩いて行くんだけど……
「そういえば、今日はペリオンさん一人なの?」
「いえ、アデーロさんもいますけど、あの人は、まぁ……朝が弱いんですよ、代わりにボラ様が場所を確保してくれてます」
「そーなんだ」
何となくアデーロさんは朝から爽やかな感じだと思ってたけど、朝弱いんだ。
運動する為の場所までは歩いて20分くらい?
お城がおっきいから出るまでがやっぱり長いけど、お城の横手に広い場所があってそこの隅っこを借りてマラソンをする予定なんだって。
そこに行くまで二人でおしゃべりしながらだったんだけど、僕は今ペリオンさんに謝ってる。
「ホントに、ごめんね?」
「いえいえ、大丈夫ですよー! それよりもようやく誰にも邪魔されずに誤解が解けてホッとしてます」
なんと、ペリオンさんは王女様じゃなかった!
みんな酷いよ……
僕が子供だからって、そうやって変な嘘つくの良くないと思う。
「お茶会にいなくてアレ? って思ったんだよね」
「そこで、思ったままに私がいない事を聞かなかったユウト様の御配慮に感謝しかありません」
「僕も恥をかかなくて良かったよ」
「ふふ、そうですね。まぁそういう事なので、あんまりオルトレート卿といえど無条件に言うことを信じたらいけませんからね」
「うん、気をつけるよ。とゆーか、アデーロさんもボラさんも悪ノリしなければすぐ分かったのに」
「御二方にもお気をつけ下さいね。特にボラ様は快楽主義者といいますか、面白くなる方にすぐつきますから」
そうすると、ボラさんが一番危険で、アデーロさんもナチュラルに悪ノリしたし、ダスランさんなんて率先してたし、オッソさんは喋らないから止めてくれないし、ペリオンさん以外みんな危険なんだけど。
僕の味方が護衛なのに全然いないじゃん。
いや、お仕事はお仕事で問題ないのかもしれないけど、早く子供扱いから抜け出さないと、また何か勘違いをそのままにされちゃうかもしれないね。
運動場は、普段他の騎士とかそういった人達の訓練場なので、凄い広い場所が取られてて、その端っこでボラさんが手を挙げてこっちだと呼んでたので合流した。
こんな朝早くだけど、もう結構な人がマラソンしてたり剣とか槍とか持って何かの型を繰り返してたりと身体を鍛える事に余念がない。
「ボラさん、おはよ」
「おう、じゃあ早速身体ほぐすとこからやるか。俺はもう終わってるからペリオン姫と二人でな」
「ふふ、うん。分かった」
「? どーした?」
「何でもないよ、じゃあペリオンさんお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
ペリオンさんと二人で少し笑いながら体操みたいな事をして身体をやらかくしていけば、汗をかかないまでも身体はあったまる。
そうしてる間に、ボラさんは置いてあった棒の一つを手にしてくるくる回したり突いたりしながら身体を動かしてた。
いや、身体動かしてというか、さっきから棒がすっごい速度でびゅんびゅん振られててちょっと怖い。
でも、2mくらいの棒なのに、縦に回しても地面にぶつけたりする事も無く、手からすっぽ抜ける事もなく、右手から背中でくるっと回して左手に持ち替えたり、脇の下から肩に回したり、何かの踊りみたいでカッコよくて綺麗。
「ボラ様は多分しばらくあのままだと思うので、私達はここをぐるっと走りましょうか」
「うん」
ずっと見てたいけど、それじゃあ僕が何の為に早起きしたのか分かんなくなるから、ペリオンさんに促されて、運動場の隅っこをぐるっと走る。
「とりあえずはユウト様の無理のないペースで2周くらいしてみましょうか」
「わかったー」
広いからとはいえ、2周くらい、と思ってたし、最初の頃は他の人達が訓練してるのをチラチラ見ながらだったり、手を振ったりしながら走ってたんだけど、途中からはそんな余裕もなくなって、2周目の途中でバテて歩いちゃった。
「はー……」
「お疲れ様でした」
「ペリオンさんは、全っ然疲れてないね」
「鍛えておりますからね」
苦笑しながら、用意してあったタオルを渡してくれたので汗を拭いて、お水も飲んだけど、そんなことしてる間もずっと棒を振り回してるボラさんはいつまでやるんだろう?
「もう少し休憩したら、もう1周だけ頑張りましょうね」
「えー……?」
「大丈夫ですよ、ゆっくり行きますから、歩かないくらいのペースで頑張りましょう」
そう言ってニコニコしてるペリオンさんに引っ張られる様にしてもう1周。
僕は地面に転がって死んでた。
「もーだめー」
「はい、お疲れ様でした! 最初なのによく頑張りましたね」
ペリオンさんに引っ張られたり背中押して貰ったり、頑張れって声掛けされたりしながら何とか終わったけど、ホントに体力ないなぁ。
「ユウト、おまえホントに軟弱だなぁ」
「こんなに走った事ないんだよー」
「こんなにって……3周しかしてないだろが」
「身体動かすのは、学校で今の半分くらいだって言ってましたからね」
なさけねぇなぁと言うボラさんは、さっきようやく休憩に入ってタオルで汗を拭きながら水を飲んでるし、僕と一緒に走ってたペリオンさんは汗もかいてない。
「ペリオンさんはなんで汗もかいてないの?」
「あー……まぁ、鍛え方が違いますし……」
「あんなもん散歩だ散歩」
「いや、さすがに散歩とは言いませんけどね」
うへーと声を出して空を見上げれば、朝日が昇って透き通るような青空が爽やかな感じで、目をつぶってみれば微かな風が火照った身体を撫でていくのが気持ちいい。
「よし、ペリオンは何もしてないみたいなもんだから、3周追加」
「ちょ!」
「で、3周ぽっちをただ走ってもつまんねえだろうから、俺が後ろからどつき回すのを避けながらでいこーぜ」
「いえ、そういうのは間に合ってます」
「俺は100数えた後に追いかけるから精々逃げ回れ! はい、いーち、にー……」
「問答無用ですか!? ユウト様、失礼しますっ!」
ニヤニヤしながらカウントを始めたボラさんに、ペリオンさんは棒を1本拾い上げて風のように走り……逃げ出した。
うっわぁ、凄い速い!
あっという間に遠くなるペリオンさんの背中を見送って、チラッとボラさんを見上げるとそれは楽しそうな顔をしてた。
「ユウト、いーかー、よーく見てろよ? 俺達が訓練するって言うのはこういう事だ」
「わかった。でも、こっから追いかけても結構時間かかるんじゃない?」
「問題ねえさ、アイツはそこまで速くねえからな」
「え……僕からすると風のように速いんだけど、あのペースで3周も出来るの?」
「出来るさ、普段は装備も着けた状態でやるんだぜ? 何も持ってねえんだ、楽勝だろ。そうじゃなきゃ戦闘になんねえって事さ」
「そっか……」
「おう、だから、今は出来なくても頑張れ、ユウトは魔力もあんだからすぐに出来るようになる。んじゃ、そろそろ行くか」
「うん、行ってらっしゃい」
そういって、ぐーっと伸びをしたかと思ったら、大声でペリオン行くぞー! って言ってから猛ダッシュした。
ボラさんの声を聞いたペリオンさんは遠目にも分かるくらい顔を青褪めさせると、更にスピードアップして走ってるけど、風のように速いと思ったペリオンさんよりも明らかにボラさんの方が速い。
ボラさんの大声に何事かと訓練を中断した他の人も状況が分かったのかやんやと囃し立てて、二人のレースを応援してる。
そうこうしてる内にまだ5分も経ってないのに1周目を終わらせたペリオンさんが必死の表情で僕の横を駆け抜けていく。
そして、必死なペリオンさんとは逆にボラさんはニヤニヤしながら僕の横を通り過ぎ、1周半を待たずにボラさんが追いついた。
そのままヒョイっと突き出されたボラさんの棒を、後ろも見ずに横にステップして躱したペリオンさんはすぐに前に転がる。
横に避けたペリオンさんに向かって突き出した棒を横に振り回していたボラさんは、その勢いのままにくるっと身体を回しながら飛び上がって上から振り下ろす。
それを前に転がってたペリオンさんは、身体を投げ出すみたいにジャンプして───
横から突き出されてた棒におでこをぶつけた。
なんか文句言ってるペリオンさんだけど、横から棒を突き出した男の人はボラさんを指さして肩を竦めた。
そしてよく見てみれば、運動場の外周に沿っていつの間にかいっぱい人がいて棒を持って散らばってる。
ペリオンさんも気付いたみたいで引き攣った顔でそれでも走るのを止めない。
足を止めたら容赦なくボラさんからどつき回されるのが分かってるから。
そこからはもう滅茶苦茶な感じで、横から折に触れて突き出される棒を打ち払って、後ろからも突き出される棒を必死に身体を捻って避けながら前に前にと進むペリオンさん。
踏み出そうとした足に引っ掛ける様に差し込まれた棒を強引に踏みつけて、体勢を崩したところに振り下ろされた棒を上に掲げた棒で受け流してと、それはもうギリギリでこなしてる様な感じ。
そんな状況にも関わらずペリオンさんはボラさんになんかズルいだとか言ってるのは、まだ余裕があるってことになるのかな。
ボラさんもボラさんで戦場でズルいと言ったら許して貰えんのかとか言い返してるし。
でも、みんな敵だと可哀想だから、僕はペリオンさんを応援してあげよう。
「ペリオンさーん! 頑張ってー!」
「ユウト様ー! たすけっ! ひぃっ!」
「オラ! 何ユウトに助け求めてんだ!」
「そんなこと言って! ボラ様は味方だらけじゃないですか!」
「俺はいーんだよ、襲う側だから、なっ!」
「じゃあ私も護ってくれる人いてもいーじゃないですかー!」
「オマエは護衛、ユウトは護衛対象だろがっ!」
「ユウト様は勇者様だから袋叩きにされてる私を護ってくれます!」
「ユウト、邪魔すんじゃねぇぞ!」
「邪魔とは何ですか! 失礼ですよっ!」
ギャーギャー言いあいながらこっちに来るんだけど、例えば僕がボラさんに棒を突き出してもボラさんの邪魔が出来るとは思えないよ。
それでいて、僕がペリオンさんを助けようとしたら結果がどうなっても、僕を巻き込んだって事で、ボラさんの攻撃が酷いことになる気がする。
チラッと僕を見ていやらしくニヤリとしたボラさんを見れば火を見るよりも明らかだよね。
つまり、ペリオンさんの事を思うなら僕が手を出さない方がきっといい。
僕がここで、ペリオンさんに頑張ってーと声をかけて見送るのが多分正解。
それを見て味方はいないのかと絶望しながら訓練続行するのが安全なんだろうなぁ。
でも、僕はなんだ?
僕は勇者だ。
僕にはまだみんなみたいな力はないけど、力がないから何もしない、出来ない、って諦めるのはきっと勇者じゃない。
だけど、だからって何でもかんでもやろうとしてもダメなんだ。
僕から見てすっごく強いだろうボラさんにだって出来ないことはきっとたくさんある。
それでも、ボラさんは出来ないからやーめた! なんて多分絶対に言わない。
あ、勉強は止めたみたいだけどね。
そうじゃなくて、譲れないとこでは絶対譲らない、と思う。
それこそ死んでも踏み止まる人だよね。
僕が譲っちゃいけないのは、勇者なとこだよね。
僕が勇者をやーめた! って言ったら、僕はここにいる意味も価値も無くなっちゃう。
だから、僕はペリオンさんを助けるし、助けられなくても、助けようとしないといけないし、そうしたい。
棒をカンカン打ち合わせながら走り続けてる二人はあとちょっとで僕の所を通り過ぎる。
どうすればいいんだろう。
僕が棒で邪魔しても意味が無い。
でも邪魔しないといけない。
ボラさんは確か───
よく見てろって言ってた。
これが訓練だって言ってた。
出来なくても頑張れって言ってた。
魔力があるからすぐ出来るって言ってた。
これが誰の訓練だとは言ってなかった。
これはじゃあ誰の訓練?
ペリオンさんじゃない、僕だ。
昨日使えなかった魔力で何とかして見ろって言ってるんだ。
僕には魔力がある。
あるってみんな言ってた。
誰かを助ける時に使える力を使わないで、それでも助けようなんて誰にも出来ない。
だから、僕がペリオンさんを助けるなら魔力で何とかするのが一番なんだろう。
だって僕にはすっごい力があるんだから。
勇者だからじゃない。
僕がただ助けたい。
だって、今も色んな邪魔にも負けずに頑張ってるのはペリオンさんで、独りでも踏ん張ってくれてて、それがこれから誰の為に使われるの?
僕の為だ。
僕を護る為にペリオンさんの努力が使われるんだ。
もしも、他に誰もいなくても、僕を護る為にきっと同じ様に頑張ってくれるんだ。
その時に僕は勇者なのに、それに甘えて護られるだけなんて、そんなの勇者じゃないし、男でもない。
だから
だから
僕に力があるっていうなら
ペリオンさんも他のみんなも
僕に何か出来るなら
お願いします
誰かを護れる力を貸して下さい
『誓願は受理されました
誓約に基づき
祝福を恩寵を開放します』
あ……
これが、魔力……?
これで、ペリオンさんを助けてあげれば───
気になるところで切りやがって!!
は、すみません!(当然確信犯)
次回は、あまりお待たせせずに行けると思います。
ではまた次の更新で!
それと、タグをちょっと追加しております。
添い寝 → 添い寝&ハグ
思ったより添い寝出来てないのでー
そして、その割にハグまみれでアレー??みたいな
後、体調崩してる間にネット小説大賞が始まってたので、記念にタグ追加w
大賞とったるでー!
とかは全く考えてません(こら)
お祭りに行ってみたよ!
くらいの気持ちで付けてます。
でも感想貰えたら嬉しいから感想付きにする私w
ま、まぁアレです。
8000字でも通る人は通んだよ!
とゆー異次元の中に10万文字行ったし、目立つ事もなかろう!
とゆー中途半端に控え目な主張でバレないようにひっそり参加してるだけなので……
応募作品〜??
烏滸がましいわ!!ペッ!!
とかそーゆーのは止めてね?
私のメンタルはこんにゃくの様にぷにっぷにです
ぷにぷに感を試すようなマネもしちゃダメだよっ!




