つまりダメなものはダメ (side リュリュ)
メイドさん達が出揃うリリさん視点です
まぁ予想の範囲内を出ない所でしょうか?σ(^_^;)
あ、PVが5000とユニークも1000を突破しております(^^)
読者の皆様ありがとうございます。
ブクマはまだまだ少ないので気になった方はとりあえずでブクマして下さると私が喜びます(^^)
ブクマが1増えると私のやる気が100増えますw
私はどうにも面倒臭い女らしい。
名前からして私の知る中ではダントツに舌を噛みそう。
氷姫などと言われてるが、私が姫とか。
氷女でいい。
あまり表情が動かないからだが、別に必要も無いのに表情を変える意味が分からない。
そのせいで何を考えてるか分からないと言われるが、私からすれば、表情と感情が一致してない事があるくせに、表情がないだけでそう言われる意味が、これも分からない。
分からない事だらけだ。
私は不器用なので、仕事がどうしても少し遅い。
それについてお叱りを受けるのは、まぁ私が悪いだろう。
しかし、出来たことは出来たこととして、褒められはせずとも評価してくれないのは何故だろうか。
器用にこなせはしないが丁寧な仕事は心掛けている。
そんな環境が嫌で、お城での募集に足を運び、メイド長に認められて私の職場はお屋敷からお城へと変わった。
お屋敷の元同僚は氷姫が受かるわけないと笑っていたが、私は受かった。
仕事の合間に何故か声を掛けられる事が多くなり、何故か仕事を投げてまで遊びに行こうと誘われたが、私は仕事をしに来ているのが分からないのだろうか。
休みは休みで、自分の足りない事を勉強しなくてはならないのだから、そういった暇はないと言っても結構しつこい。
その内にお城での私の呼び名は氷姫になった。何故。
しかし、氷姫と呼ばれる様になると声掛けされる事も少なくなり、それなら氷姫でいいと思った。
相変わらず私は通いでお城に出勤していたが、そろそろ止めたくて宿舎に空きが出たら教えて貰える様にしていたが、流石に条件の良い仕事だけになかなか空かない。
そんな時に旦那様から勇者についての話を聞き、勇者の手綱を握るように言われた。
旦那様は色々なところに種を撒く。
芽吹けば良し、芽吹かなくても、撒いた種が腐るか、残るか、それだけでも分かれば良いと考えてらっしゃる。
つまり私に種になってこいと言うわけだ。
「私には無理」
「なぁに、他からも人は出るんだ。お前も見目はいい。勇者がどんな奴かは知らんが、色に堕とすのが手っ取り早いと動く家もあるだろうさ。そこでお前だ。前に立てば槍で突かれる。傍で侍れば食指が動く事もあるやもしれん。じっくりゆっくり時間をかけてやるのはお得意だろう?」
そういって送り出された。
得意なのではなく、私にはそれしか出来ないのだが、住み込みになるのが魅力的でつい釣られてしまった。
そして、あの時、ユウト様に私の苦しみを慰撫されたと思った。
小さな身体で私を包んでくれた時に私の寄り添う場所はここだと分かった。
木陰で安らぎを得るように私はユウト様の元で安堵を得る。
誰にも分からなかった気持ちがユウト様には筒抜け。
初めての事で、恥ずかしくてくすぐったい。
テリアもメノも同じ様な気持ちらしい。
私もユウト様を護りたい。
だから、不器用なりに全力でやってたのに、私は大失敗をした。
護るどころか、危険に晒した。
教会の権威は勇者の名があっても容易に抗えない。
聖女と仲良くなっていたのは運が良かっただけ。
ユウト様とご一緒出来ないのは残念だし、そこにメノがいるのも悔しい。アイリス様は早くユウト様を目覚めさせてはくれないものか。
そうすれば、夜も一緒に居られるのに。
今は、これで我慢。
ユウト様に付けて頂いた飾り花。
みんなで毎日はご迷惑だから、私達三人で順番に三日に一度くらいでお願い出来ないか。聞いてみよう。
書庫に着いて、司書に許可を貰って真っ直ぐに神の事が記された書物を探す。それと、魔法関連に宗教関連も。
テリアは、霊図だとなんで言わなかったと言っていた。
メノも、知らないのは理由があるはず、みたいな反応だった。
つまり、そんなに秘匿されたものではなく、むしろ一般的な内容のもの。
変に古かったり、言い回しの難しいもの、神聖語でないものも除外して、いくつか手に取って読書用の小さなテーブルで広げる。
そして、本をめくれば、それはもうすぐに目に飛び込んできた。
力を持たない様に簡略化されてはいたけど、それは昨日テリアから聞いた通りの図で、なるほど、目次の前に書く程だ、これを知らぬ存ぜぬでは二人も頭を抱えるしかないだろう。
神達の曰くや逸話などは飛ばす。
それは大体分かるし、軽く読んだ限りでは私も知ってる程度の内容であったし、目新しい事も書いてはなかった。
ペラペラとめくり、問題の霊図の項目まで来た。
それは神の相関図とでも言えばいいのか。
神にはそれぞれ持った特性がある。
大海や天空は対の存在に当たるし、停滞と変遷も相容れないし、静謐と安寧は近しい。
そういったものが、それぞれ時に強く時に弱く繋がりあったり反発したりしている事を表したものが霊図。
端的に言って、好き嫌い関係図だ。
そして、それを描くと、神の息吹が宿るそうだ。
なんで?
それが無ければ私の失敗は失敗じゃかったのに。
その理由まで分からなければ、納得いかない。
しかし、幸先良く霊図に辿り着いたと思ったのに理由が分からない。
何故、霊図があると教会に目をつけられる?
魔法関連の書物では分からず、渋々宗教に手を付ける。
宗教関係は、言い回しが複雑で分かりづらい。
だけど、あった。
神の息吹。
神官として、成長するとソレを感じられるようになる。
祈りの際、瞑想の際、時には説法している時にすら、何かの切っ掛けで、神の声を聞く。
すると、神の息吹が感覚的に分かるそうだ。
そして、強ければ強い程、歴史に名を残す聖人、聖女足り得る。
つまり、信仰の対象に成りうる。
現人神というわけだ。
今回であれば、ユウト様がそれにあたる。
霊図は、神々の繋がりによって漏れ出る力の残滓。
神単独であれば、聖痕などでそれを発揮するだけで済むが、複数になった時にそれは外に出る。
神々の交流が発生すると、その交流が聞こえる、見える様になるのだとか。
その経路が霊図の形になる時が最も強く聞こえやすく見えやすい。
聖痕という強い力を得たユウト様が、強い繋がりを発揮したが為に、神の息吹は溢れ出し、それを感じうる神官は、その愛されっぷりに神の子だと思うわけだ。
教会はユウト様を保護する為に動くだろう事がそれで伺える。
霊図がなんで力を持つのかは分からなかった。
けど、これは結局、複数の聖痕が発現すれば、神の息吹が漏れるということなのではないだろうか?
それなら、テリアとメノも同罪だと思うのだけど。
もう少し、とまた書物を読んでいくとあった。
霊図を弄った時の反応が。
魔法陣と同じく意味を成さなくなる。
少しでも配置を弄ると途端に力がなくなる。
繋がりのある神を抜いてもダメ。
繋がりの強い神の霊図への配置が必須。
それは聖痕が二つであればつまり他の配置は自由とも言えるわけで、問題なく、三つになると配置に困る事もあり、それを超えるともう決まった形にでしか無理なのではないか。
と言われていた。
これは、魔法陣原則にも言われている事で、要は正解以外は全て間違いと言うこと。
良いか、悪いか、しかない。
及第点はないのだ。
それが霊図にも当てはまる。
魔法を嗜むものはこれを教え込まれる。
私の母ももう少し生きていれば教えただろう。
色々と悔やまれるが、ユウト様の事はまだ取り返しがつく。
溜め息がこぼれるのは何だか久々。
とりあえず、霊図の事は基本は分かった。
まずはこれでよしとしよう。
ユウト様の部屋に戻り、すでにいつもの事、と言える様な安心感に包まれて雑事をこなす。
今日もユウト様はお早くお休みになられた。
何でもあのバカに私達が貶められた事に激昂されたとの事で、テリアと共にくすぐったくて笑みがこぼれる。
しかし、メノの表情は優れない。
ユウト様の優しさに何か不満でもあったのだろうか?
「……ユウト様の聖痕が力を無くしています」
「……は?」
は?
そんな事があるのか。
「わたくしもようやく、お風呂でユウト様の聖痕を目にすることが叶うと思っておりましたが、聖痕の痕、とでも言えば良いのでしょうか、名残りしかありませんでした」
「……その事はユウト様にはお伝えしたの?」
「お伝えなど出来ません……わたくしも声を上げるのを堪えるだけで精一杯でしたので」
「ユウト様の力が無くなった?」
まだ何も、出来ていないのに、これからなのに、なんでそんなことになったのだろうか。
「昨日急にデムテアの聖痕が増えた事と言い、ユウト様の聖痕には、変化が多すぎます」
「なんでだろうね」
「そういった事は前にあった?」
「わたくしは存じません」
「私も聞いた事……いや、あるね、昔に山賊の頭領に聖痕があった事があったはずだよ。それでそいつに何故聖痕があるのかって結構問題視されてたのがあったよね」
「それはわたくしも聞いた事がありますが、神の御意思は図りかねるとそんなことではなかったでしょうか」
そう言えば私も聞いた事はある。
でも、それもメノの言う様に神の深遠なる意思は私達には分からないという事で決着したと思ってた。
「私もそう聞いてたよ。でも、私の友達で、そういうことに詳しい子がいてね。最後に聖痕は喪われたんだって」
「それが公表されていないのは何故ですか。教会にとっては無視出来ないものでしょう?」
「それでも出来ない理由があった?」
こくりと頷いたテリアは、信憑性は高くはないと前置きしてから言うことには、その山賊の頭領に聖痕がある事が許せなかった一部の信徒が、過激な事をしたそうな。
そして、それでも折れなかった頭領が、愛娘の生命をチラつかされてついに折れた。
そして聖痕も喪われた。
それだけなら、まぁ、酷いことではあるが、公にする事も出来たのだろう。
神の意思は山賊などにいつまでも慈悲をお与えにならないとかなんとか。
しかし、それを行ったもの達は軒並み神の息吹を感じられなくなり、それを黙認したもの達も同様になった。
さらに呪われているかのような不幸が撒き散らされるに及んで、公表すればどうなるのかと、誰もが震え上がり皆口を噤んだ。
「とゆー事があったみたい。まぁ、又聞きの又聞きだから真偽は分かんないけどね。ユウト様のとは違うと思うし」
そういって肩をすくめるテリア。
しかし、なんでこういった話は誰にも話してないはずなのに広がるのかの方が私は気になる。
「原因はなんでしょうか?」
「ユウト様、怖がってたから」
「聖痕のこと?」
「そう」
ユウト様は酷く怯えてた。
アイリス様から聞かされた、聖痕の多さとそれによって齎される恩恵が過剰なものになる可能性を。
だから、もしかしたら、聖痕を拒絶したのかもしれない。
「魔力感知が出来なかったのは、その為でしょうか」
「怖くて出来なかったって事?」
「でも、ユウト様、魔法使ってみたいって言ってた」
「心の奥で無自覚に否定されておられたのかもしれません」
「じゃあ、ユウト様は魔法使えない?」
「何か切っ掛けは必要かも」
「聖痕もそのままで良いとは思えません」
悩むが、良い案は浮かばない。
ユウト様にはお辛い思いして欲しくないのに。
頑張って勉強して来たけど全然足りない。
「さしあたっては、何も、できませんね」
「アイリス様にはお伝えしておかないと」
「あの人ももうちょっと配慮して欲しいよね」
「貴族だから」
「貴族は関係ないでしょ」
「気遣いはされる方で、する方ではありませんからね」
「役に立たない」
「アイリス様には聞かせられないねぇ」
「少し目に余りますし、多少は自重して頂かないとユウト様の貞操が危ないと思います」
「だよね」
「私はアイリス様ならいい」
「正気ですか?」
「メノとテリアに先を越されるくらいなら」
「そう言われると、私もメノにもリュリュにも先を越されるのはなんか納得いかないなぁ」
「それについては、わたくしも同意見ですが、アイリス様で妥協というのもわたくし納得行きません」
「じゃあ誰ならいーんだって事だよね」
わかってた。
結局、私達は、自分が一番が良くて他の人に持っていかれるのが我慢ならないんだと。
私もアイリス様ならまぁなんとか許せるけど。
アイリス様と私の二択でユウト様が悩むなら私であって欲しいし。
アイリス様と、メノもしくはテリアならアイリス様を推す。
四人で悩むなら私にして欲しい。
そこからはもう酷いものだ。
女の名を上げて、ダメなところを三人であげつらう。
それなら私達の方がいいよね?
という、しょうもない話。
一番大事なのはユウト様の御意思だと言う分かりきった結論で手打ちになるまで私達は話し合った。
明日はペリオン様と体力作りを始められる。
テリアがイチオシのペリオン様だけど、あの方はなんかダメなところが目に浮かぶ。
ダメなのだけど、なんか許せそうなダメさ。
私は許されなかったのに……
なんか理不尽な感じが私はした。
後、歳の近い聖女様は何故か満場一致でダメだった。
理由は分からないけど。
魔法が使えなかったのはこんな理由でした。
リリさんも靴紐切ってるのは妥協なんじゃないんです
全力で取り組んだ結果です(笑)
では、また次回の更新でよろしくお願いしますm(_ _)m