オシャレ
ほんとはもっと短くするつもりだったんです
後悔はしてませんがっっ!!
目覚めはスッキリ、朝日の眩しさを浴びたらしっかりと起きる事が出来た。
「おはようございます」
「うん、おはよー」
そか、昨日はお風呂の後そのまま寝ちゃったのか。
あ、そうだ。
「テリアさーん」
「はい、なんですか?」
うん、今日もお団子ヘアーだね。
チラッとメノさんを見れば長い波打つ髪をそのまま流してるし、リリさんはおかっぱだしで、髪留めは二人とも無し。
髪型は自由でいいのかな。
「メイドさんって髪の毛自由でいいの?」
「え、うん。邪魔にならなければだけどね」
「そっか」
「それがどうしたの?」
「えーっと、白と黒の紐とリボン欲しいんだけど。出来れば4本、2本は絶対欲しいな。あるかな?」
「あるけど……? ちょっと待っててくださいね」
長さとか太さとかそこらへんも種類はそれなりに持ち合わせがあるみたいで、みんなの部屋に引っ込んですぐに戻ってきた。
「リボンは私達が使う物だから、こんなのしかないけど、大丈夫かな?」
「うん、大丈夫。テリアさんに使うから」
「私?」
そう。昨日、色んな人に会ったけど、流してるか、髪留めで簡単に留めてるかくらいしかなかったと思うんだよね。
女の人はオシャレしたいものだと思うし、メイドさんのお仕事でしちゃいけないってルールがないならオシャレしてもいいんじゃないかな。
これでテリアさんに喜んで貰えたら、靴紐を解くコツを教えてもらおう。
朝の支度は時間ゆったり取られてるみたいだし、この後はまたなにかしないとだから今くらいしか出来ないもんね。
戸惑ってるテリアさんを鏡台に座らせて、お団子ヘアーを一旦ばっさーと解いちゃう。
備え付けのブラシでささっと梳かして、2つに分けて斜め後ろのちょっと頭の高めに軽くリボンでまとめる。
左を黒白で右を白黒にして、紐も種類あるから太さ変えて混ぜ込んじゃおうかな。
編み込むのは、逆に左を白黒、右を黒白になるようにして更に2つに少しサイズを分けて心持ちキツめに細かく編み込んでいく。
太めの1本目を輪っかにして垂らして、2本目を1回輪っかを潜らせてから1本目の上になるように重ねてリボンでキュッと留めてあげれば完成だね。
「わ、わー! すごい、すごいです!」
「反対もやるからもうちょっとじっとしててね」
「あ、はい、すみません」
すっごい目がキラキラしてたから満足して貰えたかな。
さくさくと反対も同じ様に編み込んであげればツートンカラーな感じで、テリアさんの赤髪もあって巫女さんみたいななんとも雅って感じになったんじゃないかな?
動く度にポンポン跳ねるから元気なテリアさんにぴったりだと思うし。
手鏡で後ろからの見た目も分かるように見せてあげれば、頭をふりふりしたり手で触ってみたりして楽しんでくれてる。
「特別な髪飾りとかはないけど、どうかな?」
「すごいステキです!」
「じゃあ靴紐はお願いね?」
「は〜い」
よし! これで靴紐を切り裂く事も無くなるね!
後は大人しく用意が出来るまで待つのが僕のお仕事です。
お手伝いしたら怒られちゃうから。
くるっと。
「ユウト様、テリアだけズルいです」
「私も」
くるっと振り返ったら二人が羨ましそうにしてた。
「えーと……」
「残りは私がやるから、二人にもやってあげて下さい」
「うん、じゃあ……メノさんは、黄色か青のリボンで、リリさんは青か紫かな。メノさんの青は薄い色のがあれば、濃いのはやめとこうか。リリさんは逆ね、紫はどっちでもいいと思うから好きな色ので大丈夫」
「すぐにお持ちします」
「わかった」
駆け込んでいく二人にテリアさんと笑いあってから、テリアさんは朝のお仕事に戻っていった。
「持ってきた」
「よろしくお願いします」
二人ともそんなに焦らなくていいんだけどな。
「ってあれ? どっちかでいいんだけど」
「テリアは二色使ってる」
「わたくしも同じがいいです」
「えー……? でも、リリさんはそんなに長くないから二色も使ったら頭ゴテゴテするからダメ。メノさんは、その二色使ったらせっかくのメノさんの髪の良さが無くなるからダメ」
「「そんなっ!」」
そんな顔してもダメなものはダメです!
「じゃあこっち」
どっちにしようか悩んでるメノさんをしり目にサッと決めたリリさんが紫のリボンを渡してきた。
そのリボンを頭の横に結んで、編み込まずに垂らす。段差を作って隣にもう1本。緩く折り畳んだリボンを開いてなんちゃってコサージュもどきを作って添えれば完成だね。
「どうかな?」
「花が可愛い。似合う?」
「うん、リリさんに似合ってるよ」
「良かった」
満足そうにテリアさんのところに行って自慢している。
お互いにきゃいきゃい髪型チェックしてるのを見てると僕も嬉しくなるね。
「ユウト様ぁ」
「あ、メノさんは決まった?」
「決められませんので、ユウト様が選んで下さいませ」
「僕が決めていいの?」
「はい、ユウト様のお好きな方でお願いします」
それなら黄色にしようかな。
頭の両脇で編み込みを作って、根元で少しだけリボンを垂らす。
それを頭の後ろでまとめて紐で留めてそこから、長いリボンを髪の中を潜らせて垂らしていく。紐で留めたところをリボンで飾り付けて、それからもう1本結んで、その先も垂らしてから編み込んだ髪の余ったところを解いて流せば完成だよ。
「綺麗ですね」
「メノさんは華やかにしてみたよ?どう?」
「ええ、とても素晴らしいです」
「後ね、歩かないと分からないんだけど、リボン隠してあるから、動くとひらひらが蝶みたいに見えるからね」
「まぁ、蝶ですか!」
くるっと振り向いたメノさんが向日葵みたいな笑顔で笑いかけてくれたのを見て、黄色にして良かったなと思った。
「捕まえましたわ」
「あの、メノさん?」
「蝶は花に惹かれるものですから」
そういってギューッと抱きしめてくれるメノさんがお花みたいないい香りがするというか、これだとどっちが蝶でどっちが花なのか分かんないよね。
にっこり笑ってから二人のところに行って、くるくる回って見せるメノさんは、大人の女性っていうより女の子って感じだったけど、それだけ喜んで貰えたらやったかいがあるよね。
そんな事があったりもしつつ、昨日に引き続きメノさんに餌付けされながらの朝ご飯を終えてお迎えを待ちつつお茶を貰った。
「えっと、今日はアイリスさんの勉強と女王様のお茶会の二つでいいんだね?」
「はい。お茶会の方は王女に王子お二人もおられますので、無作法にならない様にだけお気をつけ下さいませ」
「えっと、作法分からないけど、失礼にならない様にすれば大丈夫でいいんだよね?」
「それで構いません。不慣れである、とお伝えしましたが、それでもかまわない、と言われておりますので」
あの女王様かぁ。
何か言われるかな?
まぁ逃げてても仕方ないし、ちゃんと挨拶しないとダメなのは変わらないもんね。
「ユウト様、行ってくる」
「うん、いってらっしゃい、頑張ってね」
「任せて」
何でも、お仕事に支障が出そうな事を勉強し直してくるみたいで、リリさんは今日一日いないらしい。
昨日はテリアさんが服を作るのに出掛けてたし、みんなもお仕事してても頑張ってるんだね。
僕も早く色々勉強しないと。
アイリスさんの魔法の勉強もしないとだけど、剣とかも使える様にしとかないとダメだよね。
「ユウト様、お迎え来た」
お出かけしたリリさんがすぐ戻ってきたかと思ったらそういう事で、せっかくだからと途中までは一緒に行く事にした。
メノさんも一緒に来てくれるのは、勉強の合間の休憩中にお茶を淹れてくれるから。
「それにしてもユウト殿は、女性の心を掴むのがお上手ですね」
「どうしてそうなるの?」
「髪は女性にとって命ですから、嫌いな異性には触れさせませんよ。ですから、あぁやってユウト様に飾らせたのは心を許している証拠ですよ」
「あれはお礼だし、前にお母さんにしてた事をしただけだから、そんな特別な事じゃないよ?」
そう、お母さんに好かれたくて覚えた事。
夜にお仕事に行くお母さんはお化粧とかに時間をかけなくてはいけなくて、それの邪魔をせずに構えるのが髪を結ってあげる事だったから必死に覚えた。
綺麗に出来ると褒めて貰えた。
同じ服を着続けるわけにはいかないのと同じで、髪型も同じままでは魅力が半減しちゃう。
だから、色々作れる様になった、それだけなんだ。
「何にせよ、ユウトはますます勇者らしくねぇ」
「あはは、ごめんね、ボラさん」
「たく、謝るくらいなら勇者っぽくなれよな」
「うん、それなんだけど、僕も剣とか使えるようにならないとダメだと思うから、教えて欲しいんだけど」
「それはダメだな」
「ユウト様、剣は危ない」
「慣れないと怪我しちゃいますからまだダメですよ」
「えー……?」
全会一致の却下!?
「ユウト殿、まずは体力を付けるところから始めましょう。いきなり剣を握っても体力、筋力がないと上達しませんから」
アデーロさんが苦笑しながら、まずはそこから、と言ってくれたから、明日から走り込みから始めようと言うことになった。
「ユウト様に無理させたらダメ」
「他にもやる事はありますから余裕をもったメニューをお願いしますね」
「オマエら……そんなんで強くなれるわけねーだろが」
「勇者には品位も大事。野蛮人になったら困る」
「そこはアデーロがやるからいーんだよ」
野蛮人は否定もしないんだ、ボラさん。
いや、むしろなんかドヤ顔……?
「色情魔になられても困りますから、ペリオン様辺りにご指導賜りたいのですが」
「いくら僕でも訓練中にそんなことはしないんだけどね」
「ダメ」
やれやれと苦笑してるアデーロさんだけど、訓練中じゃなきゃそーゆー事も有り得るって事なのかな。
「はは、参ったな。花を愛でるのは紳士の嗜みだと僕は思うんだけどな」
「もげろ」
「お帰りはあちらですから」
相変わらずの塩対応でバッサリなアデーロさんだけど、なんでモテる男はツラいね? みたいな表情なんだろう?
途中でリリさんは別の方に手を振って行ったけど、その後は何事もなく教室といっていいのか分からないけど、アイリスさんの待つ部屋に着いた。
別に生徒は僕だけなんだから、アイリスさんとわざわざ別のとこに集まらなくてもアイリスさんの家に行くか、僕の部屋に集合でいいんじゃないかと思ったんだけど、貴族はそういう事はしないらしい。
婚約者などであれば別ですが、とはメノさんから言われたけど、僕まだ10歳でアイリスさんは立派な大人なんだけど、ダメなの? 貴族って面倒臭いよね。
と思ったんだけど、親子くらい年の離れた結婚とかは貴族だと珍しくはないそうで、配慮しないといけないみたい。
「アイリス先生、イシュカさん、おはようございます」
「おはようございます、ユウトさん」
「おはようございます」
イシュカさんの方は侍女さんだからか昨日と同じ服だけど、アイリスさんの方はさすがにドレスじゃなくて、濃紺の落ち着いたワンピース姿。
と言ってもドレスじゃないだけで、高級感はあるから、きっと僕の服みたいにちゃんとしたやつなんだろうね。
アイリスさんが公爵家だからかアデーロさんは、かしこまった感じで膝をついて挨拶してたのは、あれだね、絵になるよね、美男美女で!
そっと差し出したアイリスさんの手に軽く口を付けるところなんて映画のワンシーンみたい。
と、思ってたらアイリスさんとアデーロさんが同時にこっちを見て、笑った。
「ユウトさんも、いずれこういった礼も覚えなくてはなりませんからね?」
「えぇ!?」
「紳士たるもの、淑女に恥をかかせてはいけないですよ、ユウト殿」
「節度は守って頂かなければ困りますけど、今日は女王陛下にも会われるのでしょう?」
「今日はまだ不慣れとお伝えしておりますから大丈夫だと思いますけど、次があれば礼儀がなっていないと思われてしまいますから、今のうちに慣れてしまいましょう」
「よし、ユウト! アイリスにやってやれ」
「今やるの!?」
「あら、あたくしが相手では不満?」
そうじゃないけど、こういう欧米的な挨拶といえばいいのか、スキンシップ有りの挨拶は照れるし。
明らかに僕で遊ぶ気満々なボラさんとかに見られたくない!
「そういうのは礼儀作法の時間にお願いします」
「そう来ましたか、ふふ、分かりました。では楽しみにしておきましょう」
「チッ」
危なかった……
あのまま流されてたらボラさんに絶対に爆笑されてた自信がある。
「では、僕達は控えに待機してますので、勉強が終わりましたらお呼びください」
そう言って二人が下がって行ったら、早速、勉強開始。
「まずは、神の在り方から神の名と、司る権威と概念についてを簡単に説明していきましょうか」
「はい、お願いします」
「あ、聖女様から、何か聞いておられますか?」
「えーっと……最初からで」
不思議そうにしてるアイリスさんからサッと視線を逸らしたけど、なーんにも話してないなんて言えないよね。
後、明日はちょっと間に合わないかもしれません。
ちょっと時間かかります。
神様多いよ、誰よこんなに作ったの……orz
それとストックが無くなりましたので、毎日更新は厳しくなります事をご報告しておきます。
今のペースを維持できれば2日3日で上げられると思いますので、よろしくお願いしますm(_ _)m