聖女ピエレだわん♪
週間平均PVが300に届きそうで踊りたくなってる作者がここにいますw
読者の皆様ありがとーございますm(_ _)m
10話を超えて未だに何も進んでなくね?
とゆーところは大目に見て頂くとして、今日もよろしくお願いします
「ユウト様、そろそろお茶会」
のろのろと顔をあげれば、ずっと手を握ってくれてるアイリスさんは、汗をかいて一心に何かを呟いてる。
「アイリスさん?」
「───ぁ、ユウトさん、落ち着かれましたか?」
そういって少し疲れた様な笑顔を向けてくれてるアイリスさんは、もしかしたら、何か魔法かけてくれてたのかな。
「……うん、大丈夫だよ。アイリスさんのおかげ」
「私も頑張った」
「うん、リリさんもありがとね」
そっと離れた二人がきっと昨日のメノさんみたいに魔法をかけてくれたんだね。
僕は勇者。
勇者だから、頑張らないと、ダメだよね。
まだ何もしてない。
それにさっきはああ言われたけど、実際にどうなるかは分からないんだから、あんまり怖がってたらそっちの方が良くない。
分からないことを悩むのは、時間の無駄だよね。
「うん、大丈夫だから、お茶会?行こっか」
「無理なら、断る」
「これで予定は最後でしょ? 平気だよ」
それに、お茶会の相手は聖女様だから。
聖女様なら、この聖痕とかももっと詳しく分かったりするんじゃないかな。
宗教に関係あるんだろうし、そしたら、そこの偉い人なら、神様の事も分かるよね。
「ユウトさん、あたくしは明日から予定を最優先で調整しますから、今のような思わしくない時はしっかりとお休みを頂く様にして下さいね」
「無理しない様にするよ」
「聖女様が来られるなら少しは話をされるかもしれませんが、明日は神々の事を中心にお話しましょう」
「うん、お願いします。今日はありがとう。明日からもよろしくお願いします、アイリス先生」
最後にもう一つ持ってきていた袋から、一つ透き通った宝石を出して渡してくれた。
僕の一番の加護である至高の神の宝石。
こっちのは天然のらしくて魔力のものじゃないから消えたりしないと笑いながら渡してくれた。
ダイヤなんだって。
これが……どーりで綺麗だと思ったよ。
でも、ここでは大した価値もないんだよね。
とりあえず、ポケットに入れておけばいいかな。
外に出ると、一人増えて三人待ってた。
増えてた一人はイシュカさん。
アイリスさんの侍女してた人で、今日はこのまま僕の護衛を引き継いでくれるみたい。
ペリオンさんは社会見学だからいいけど、侍女の人で護衛は大丈夫なのかな。
「では、ユウトさん、イシュカをよろしくお願いします」
「うん、それはいいんだけど、イシュカさんは侍女なのに護衛なんかさせて大丈夫なの?」
「えぇ、あたくしの護衛も兼ねておりますから腕前の方もご安心下さいませ」
へぇ、そう思って見てみれば、ポニーテールにしてる髪型とか、剣道とかやってそうなスポーツ少女みたいだね。
(ちなみに、この場のどなたよりお歳を召されてます)
「え!?」
ウソ!?
一番僕に近いんだと思ってたのに!
「お嬢様……聞こえておりますよ」
「あら、お祖母様ごめんあそばせ」
「お祖母様!?」
「……はぁ……いいですか、勇者殿、女性の年齢は聞かぬがマナーですからね、私はエルフの血が入ってますので見た目が若く見えるというだけですから誤解なされませんよう」
「エルフ!」
「はい、エルフです」
うわぁ、ファンタジー種族の有名なとこだ!
ドワーフもいるのかな、妖精とか! 巨人とか!
「……薄気味悪くはありませんか?」
「え? なんで? 女の人だとずっと若いのとか憧れたりするんじゃないの??」
「自分の利益にならないのでは嫉妬の対象ですよ」
「あ、そっか……そーゆーのもあるんだ。んー、でもいーよね」
「何が、ですか?」
「嫌なこと、いっぱいあったんだよね、多分」
「そうですね、人と違うというのは少なからずそういった事があるものですから」
「みんなイシュカさんが好きなんだね」
「何故……そうなるのですか?」
きょとんとして首を傾げてるけど、だって、嫌いな人にならみんなどこまでも冷たくなれる。
そして、そんな人は人から離れたくなるものだから。
「だってイシュカさんはみんなが好きなんでしょ?」
「…………ふ、ふふ、そうですね、えぇ」
好きな人が居れば、それだけで頑張れる事っていっぱいあるもんね。
イシュカさんは僕の何倍も生きてるんだから、嫌な事ばっかりじゃなかったんだ。いい事だってあったから、嫌いになれないんだよね。
そうじゃなきゃ人の中に居れないよ。
「勇者殿は、良い男子ですね」
では、参りましょう、というイシュカさん、オッソさんの二人で聖女様のところに向かう。
リリさんはお茶会になったらどうせ席を外さないといけないからと、一旦他の用事を片付けてくるみたい。
それぞれにバラけて行く中で、僕達が行くのは、お城の中にある礼拝堂。
すごいね、お城の中なのにそんなのもあるんだ。
礼拝堂はステンドグラスみたいなので光たっぷり、あったかさを前に出すような荘厳な感じ。
と、思ってたんだけど、何故か階段を降りてます。
「礼拝堂って地下にあるの?」
「えぇ、神に祈りを捧げる場ですから、世俗の喧騒の届かない場所に設けられるのです。それをお聞きになられるという事は勇者殿のところでは違うのでしょうか?」
「うん、外に建てられる立派な建物だね。僕の知ってるのだと、屋根が凄い高いところにあってね、キリスト様とかマリア様とかの像が礼拝堂の奥にあって、その後ろからステンドグラスで光が降り注ぐ感じで、そこでお祈りするのが、多分普通かな。神様が天にいらっしゃるからそれを感じられる様に、とかもあると思う」
「世界が違えば宗教の考え方も様々ですね、そちらの礼拝堂も美しいのでしょう。見てみたいものですね」
でも、僕も礼拝堂を自分の目で見た事はないよ。
そう言ったらイシュカさんは、ではこちらで見るのが最初の礼拝堂になるのですね、と笑っていた。
「さぁ、こちらですよ、どうぞ」
それからしばらくして結構な深さを階段で降りた先に礼拝堂はあった。
広い静謐な空間に壁にかけられたランタンの灯りがいくつもかけられていて、それの他にも至る所から光が漏れてきている。
「採光用の細い穴が各所に掘られていて、屈折させながら取り込んでいるのですよ」
「すごい……すごいね、ここが地下だなんて忘れちゃいそう」
「感動して頂けたようで何よりです」
礼拝堂の奥には神様の像じゃなくて、多分、十字架みたいなシンボルが祀られていた。
そこに光が四方八方から降り注いでキラキラ輝いてる。
そこの前では今も何人かが膝をついて祈りを捧げていて、自然と敬虔な気持ちみたいなのが湧いてくる。
「これはイシュカ様、今日は祈りを捧げにいらしたのですか?」
「あぁ、これは助祭殿。こちらのお方をお連れしたのです」
「こちらは……ぉぉ……これは、こちらのお方がもしや勇者様であらせられますか?」
「はい、勇者のユウト殿です」
「今日はよろしくお願いします」
「お目にかかれて光栄の極みでございます」
年配の優しいおじさんな助祭様は、そう言うと僕の前で膝をついてそっと手を差し出してきた。
(右手をそっと重ねて差し上げて下さい)
何をすればいいのか分からない僕にイシュカさんがどうすればいいのか教えてくれて良かった。
こうでいいのかな。
差し出された両手にちょんと触れ合うくらいに手を置いた。
それを大事そうに握りしめた助祭様は、さっき漏らしたため息と同じように、ぉぉ……と恍惚した声を漏らしながら僕の手に額をくっつけてお祈りの言葉?を呟いた。
「有難う御座いました」
「いえ、どういたしまして?」
な、何だろう、大人の人からこんな会えて嬉しいみたいな感じで畏まられると、どうすればいいのかわかんなくなる。
助祭様は一歩座ったままで下がってから立ち上がると、僕にもう一度頭を下げてから話を続ける。
神様扱いは、困るけど、この人の気持ちは嘘偽りなんてないんだろう。慣れないといけないんだろうけど、慣れたらダメな気がする。
「それでは今日はピエレ様とのお茶会で宜しいのですね」
「そうなります」
「では、御案内致します」
そういって先導してくれる助祭様についていくと、さっきの丁寧な礼を見ていた他の人の視線を集めていて恥ずかしいけど、オドオドしてたらきっと残念に思われちゃうからと、なるべく堂々としてる様に歩いていく。
僕は勇者、その期待が怖くてもちゃんとしたい。
何も分からなくても見栄を張るくらいは出来る。
まぁ裏に回って人目が無くなったら力抜けちゃったけど、それくらいはいいよね。
「ここからは聖女様の私的なスペースになりますので、勇者様しかお通し出来ませんが、ご了承下さい」
「存じております」
「えっと、じゃあここからは僕一人?」
「はい、大丈夫ですよ、当代の聖女様は御歳13と聞いておりますので、気を楽にしてお茶会を楽しまれて下さい」
「うん、わかった」
13歳の女の子なんだ。
聖女様の方が少し大人だけど、同年代くらいの人に会うの初めてだから、楽しみになってきたな。
「ピエレ様、勇者様がお出で下さいましたよ」
「来てくださいましたのね! すぐにお通しして!」
「分かりました。はは、どうやら待ちきれないみたいですので、どうぞお入りください」
「みたいですね、ふふ」
中から弾んだ声がして、それに助祭様と二人で笑ってからノックして聖女様のお部屋に入らせて貰った。
「勇者様、ようこそおいで下さいました」
「聖女様、お招き有難う御座います」
「挨拶とか堅苦しいのは無しよ?さぁ座って?」
にこにこ笑顔の小さな女の子。
長い長い銀色の髪を足元まで伸ばした僕と同じくらいの背丈で、入ってきた僕に駆け寄ってきたかと思ったら手を引っ張ってテーブルに案内してくれた。
地下なのに窓があって、そこからたくさんの光が入ってきてる。
その光に照らされた聖女様の銀髪は淡く青みがかってて、無邪気な笑顔をしてなお、幻想的な雰囲気を纏っていた。
「どうしたの? あたしの顔に何かついてる?」
「いや、聖女様は凄い綺麗だなって」
「ふふ、そうでしょう! あたし聖女だからね」
そういってツンと澄ました顔をしてからニコッと笑った聖女様は手ずからお茶を淹れて僕の前に置いてくれた。
「それとあたしは聖女だけど、ピエレっていう名前があるから、あたしの事は聖女様じゃなくてピエレって呼んでね?」
「うん、わかった、ピエレさん」
「さんもなーし! あたしもユウトって呼ぶから、ユウトもピエレって呼ぶの!」
「いーのかな? 聖女様を呼び捨てにして」
「いーのよ、あたしがいいって言ってるんだから」
「じゃあ、ピエレ。これでいい?」
「うん、いいよね、名前で呼ばれるのって──」
「そうだね」
「──飼い犬って気がするわ!」
「……うん?」
あれ? 僕の聞き間違いかな?
今ピエレからなんか変な言葉が聞こえた様な。
「ピエレ? なんか今変な事言わなかった?」
「変な事?」
「えっと、聞き間違えたかもしれないけど、今飼い犬って……」
そういえば、ここに来てから言葉が通じる事に疑問持った事なかったけど、言葉に違いがあったんだね。
今まで大丈夫だったからって油断したらダメだね。
「聞き間違いじゃないわ!」
「ちょっと意味が分からないというか、なんで飼い犬?」
「あたし、ユウトの雌犬になるのが夢なの!」
キラキラした感じで変な事を語るピエレに僕はどうしてあげたらいいんだろう。飼い犬になりたい聖女とか意味がわからないよ。
「ユウト、雌犬はイヤ?」
「え!? えっと……嫌とかじゃなくて、友達じゃダメなの?」
「友達? ユウトは友達を飼いたいの? あまりそういうのは感心しないわ」
「違うよ!? ピエレを犬にするとか、なんかヤダな」
「犬じゃなくて雌犬よ?」
「違いが分からないんだけど、僕は友達がいい」
「困ったわ……雌犬がダメだと雌豚よね?」
なんで僕の物分りが悪いみたいな言い方なんだろう?
「ユウト」
「なに?」
「あたし、雌豚も悪くないと思ってるわ。でも雌豚も豚というくらいだから太らないとダメだと思うの」
「なりきる必要ないと思うのは僕だけなの?」
「やっぱり美しいあたしの全てを所有して貰うのだから雌犬こそが相応しいと思うわよね?」
「知らないよ。とゆーか友達がいいの!」
話が通じないってどーゆーことなのかな!?
ピエレが変なのかな?
いや、でもさっきの助祭様からはそんな感じしなかったと思うんだけどなぁ。
「ユウトは我儘ね」
「ピエレはなんで雌犬がいいの? 僕と友達同士になるんじゃダメなの?」
「だって……そうしてたら、いつかユウトが食べられちゃうわ」
「僕、食べられちゃうの!?」
「だから、あたしが一番になる為には雌犬が近道なのよ」
「今のところ僕と一番歳が近いのはピエレだし、近道は良くないんだよ?」
「そうよね」
何とか説得? 出来たの? 大丈夫?
難しい顔したピエレは、それでも綺麗だけど、変な子だよね。
犬……じゃなくて雌犬? になりたいって何なんだろう?
「じゃあ、今は友達でいいわ」
「今もこれから先も友達だよ?」
「? ユウトは結婚しないの?」
「え? 考えたことはないけど、大人になってしたくなる人が出来たらするんじゃない?」
「じゃあその時はあたしを雌犬にしてね?」
「雌犬ってお嫁さんのことだったの!?」
言葉の違いが急に斜め上過ぎて、分からなかったよ。
つまり、ピエレは僕のお嫁さんになりたいの?
この、僕の前でにこにこしてる長い銀髪も顔立ちもお人形さんみたいに綺麗な女の子が?
初対面でお嫁さん宣言?
「えっと、そもそも聖女って結婚出来るの?」
「? 出来ないわ、だから雌犬にして貰うのよ?」
不思議そうにきょとんとしてるけど、不思議時空にいるのは僕なんだよね。
……よくわかんなくなってきたね。
雌犬=お嫁さんじゃないの?
それなのに、僕が結婚するならピエレも雌犬にして欲しい?
「そうだわ! 今日の記念にね、あたし護符を作っておいたのよ」
「護符?」
「そう、あたしとユウトのお揃いの首飾りにしたの」
「へえ、どんなの?」
「これよ」
そう言って見せてくれたのは、銀の精緻な細工にダイヤを嵌め込んだペンダントトップが飾られた二つのネックレス。
どちらも翼をあしらった感じで、差し出してくれた僕用のが少し尖ってる感じで、ピエレ用のが少し丸みを帯びた感じにアレンジされてるけど、全体的には似た意匠になってる。
「守護の加護を込めてあるから、ユウトを護ってくれるわ」
「……加護……」
そう聞いた瞬間に僕の中で途端に得体の知れない物になった。
神様の聖痕は僕にとって呪いになるかもしれない。
それなのに、その神様の力を込めた護符なんて、それはまるで呪いの装備みたいに思えたのだ。
「ユウト?」
「ピエレ、これはちょっと、その……」
「デザインが好みじゃなかった?」
そんな事はない。
自由に羽ばたける鳥を模したデザインは僕の好みにバッチリ沿っている。
僕の事なんか知らなかったピエレが、僕の好みにバッチリ合うアクセサリーを用意している。
それが、恐ろしく感じてしまう。
これはピエレの意思で用意したものだけど、その意思は誰かの意志を受けてはいまいか?
例えば、神の。
僕が、ダイヤを選んだのはさっきなのに、ピエレが付けた宝石もダイヤな事も単なる偶然なの?
じゃあ、今、目の前で、悲しそうな顔をしているピエレは、本当に悲しんでいるの?
僕がこの呪いのアクセサリーを受け取るように誘導していたりしないと言いきれるの?
「あ、あのね? 守護って言っても、そんな大したものじゃないのよ? あたしとユウトがお互いに想ってる事がキーになってるから安定感も悪いし、それにあたしの加護以外はそんなにいい物じゃないから、そんなにたいしたものじゃないの。だからね、その、遠慮ならしなくて大丈夫なのよ?」
泣きそうな顔で、僕が断わる理由がそんなものじゃないって分かってるだろうに、他の理由を潰して、貰って欲しいと訴えるピエレの意思は、誰のものなんだ!?
神の意志は、入ってないの!?
聖女ってなんだ!?
差し出した手を力なく下げて顔を俯かせているのは誰だ!?
ピエレ? 神? それとも僕?
「…………っ(ギリッ)」
「ユウト、気にしないで? 急に渡されても、困るよね? ごめんね、これはあたしが捨てておく──」
「まって!! まって……ピエレ、ごめん、違うんだ、そのアクセサリーが嫌いなんじゃない! 僕の好みだよ? かっこいいと思ってるし、欲しいなって、そう、思ったよ、ほんとに……」
「…………そう? 無理はしなくていいんだよ?」
「違うんだ、ごめん、ごめんね、ピエレ」
「どうしてユウトが泣くの?」
あぁ、僕は泣いてるの?
地面がグラグラ揺れて椅子に座ってるのが辛い。
滑り落ちるみたいに椅子から下に座り込んで、ピエレに聖女に縋り付くみっともない僕は、どれほど醜いだろうか。
「ぴえれ、ごめん……僕は酷いこと考えてたんだ」
「うん」
「さっき、神様の祝福の事を聞いてきた」
「そっか」
泣きながら、僕がどうして護符を受け取らなかったのか、受け取れなかったのか、僕がどう感じて、どう思ったか、ピエレを否定するようなことばっかりだ。
それを叩きつけて、許して欲しいと涙を流す僕は勇者でもなんでもない卑怯者で臆病者だ。
そうだ、元々僕は勇者なんかじゃなかった。
ただの無力な子供でしかなかったのに!
勇者であろうとするなんて、無理な事だって、僕にだってわかる事なのに、気軽に頑張ろうだなんて言うべきじゃなかったんだ。
「そう、そんな事を考えてたんだね」
「ごめん、ピエレの事まるで神様の人形みたいに……」
「いーのいーの、大丈夫だよー! それにそーゆーふーに考えちゃったら、そりゃ困っちゃうね?」
「うん……」
「それならあたしはやっぱり受け取って欲しいな?」
「なんで?」
「あたしのこの気持ちはあたしのものだけど、ユウトはそれが信じられなくて怖いんだよね?」
「そうだよ、怖いよ」
「どうやって確かめればいいかな?」
「…………え?」
「あたしだけじゃないよ? 他のみんなのユウトが好きって気持ち全部疑ってかかるの?」
「それは……そんなの、したくないよ」
「だよねー、じゃあ、信じてみない? あたしのこの気持ちは、ユウトが好きって気持ちはホントなのかウソなのか、ユウトには決められないんだから、とりあえず信じてみて、ダメだったらその時はまたお話ししよ?」
「そんなんでいーの?」
「ふふ、だってー、ユウトが変な事言うんだもん! それ以外に出来ることなんてないよー」
「そうかな……」
「そーだよ、心なんて誰にも見えないのを怖がってたらなんにも出来なくなっちゃう。それなら信じた方がきっといいと思うな、あたしは」
ゆっくり頭を撫でながら、ピエレの言うことは、少し前に僕が考えてた事と同じだった。
考えても仕方ない事を考えても時間の無駄だって、ほんの少し前にそう思ったはずだったのに、もうこんなに揺らいでる。
もう次はこんな事で迷わない様にしないとダメだよね。
頑張るって決めたんだもん。
それにアイリスさんにも言ったけど、困ったらちゃんと言葉にしないと、助けてって。
「ピエレ、ありがとう、ほんとにありがとうね」
「んふ、んふふふ〜」
「な、何!?」
「えー? だって、ユウトがあたしにしがみついて泣いて全部さらけ出してくれたんだもん、それが嬉しいなって」
「ぅー!!」
「かーわいー!」
「男に可愛いは褒め言葉じゃないよ……もう」
「ね、ユウト顔上げて?」
「ヤダ」
なんかすっごい楽しそうに顔上げてとか、僕泣いたばっかりだから顔酷いことになってるし、絶対。
「顔拭いてあげるからー」
「ヤーダー!」
「や、ユウト〜? そんな……女の子の太ももで顔ぐりぐりしちゃダメだよー」
「え! ち、ちがっ!?」
ピエレが変な事言うから、驚いてガバって顔上げちゃったらハンカチでごしごし拭かれた。
あー、もう見られちゃったし、今更かな。
それにまたピエレの太ももに顔押し付けるのも、なんかダメだし。
「よし、可愛くなったね!」
「かっこいい方がいい」
「泣き虫さんが治ったらね?」
「う、分かった……はぁ」
くすくす笑うピエレに敵わないなぁと思った。
僕みたいな張りぼてじゃなくて、ちゃんと聖女してきたピエレは、それだけしっかりしてるんだ。
「じゃあ、改めて貰ってくれる?」
「うん、喜んで」
「良かった。ユウトに着けていい? あと、あたしのはユウトに着けて欲しいなー」
「うん、いーよ」
「やたっ」
さっき悲しい思いさせちゃったしね、これくらいで喜んでくれるなら、いくらでもしてあげなきゃ!
「ふふ、お揃いのアクセサリーとか嬉しいなぁ」
「雌犬はダメだからね? お友達だよ?」
「もう、照れ屋さんだね、ユウトは」
「そーゆーんじゃないから!」
「でも、これでずっと一緒だね!」
にこーっ!
ってすっごい笑顔なんだけど、なんか、今の発言に不穏なものを感じたのは、僕がまだうじうじしてるからかな……?
「錆びたら困るし、お風呂の時くらいは外すよ?」
「???」
「え……なんで、そこで何言ってるの? みたいな顔になるの?」
「あたし達の絆だから、外れない様に加護つけてあるよ?」
……なん、だって?
今、何言ったのこの子。
「うわ、ほんとに外れないじゃん、これ!」
「あ、ひどーい! なんですぐ外そうとするの!?」
「お風呂の時とか邪魔になるでしょ!?」
「ならないもん!」
「寝てる時に寝返りしたら角が当たって痛い! とか僕やなんだけど!」
「大丈夫だよー、そんなちゃんとした加護じゃないけど、加護付きなんだからそんな心配要らないよ」
「無駄に高性能なっ!!」
「無駄じゃないもん! ユウトの心配が一つ安心になったよ!」
「一度付けたら外れないのは呪いの装備なの!」
「あたしの愛だもん! 呪いじゃなーい!」
くっそー! 騙されたっ!!
呪いの装備(幸運な加護付き)とか、ややこしいもの寄越してきやがってー!
「ぅー……そんなにあたしと一緒はイヤ?」
「いや、そーじゃないんだけど……」
目をうるうるしながら言うのは反則っ!
今は狙ってやってるの分かってるけど!
「はぁ、もういーや、別に悪い事があるわけじゃないもんね」
「うん、精々ユウトの居場所がわかるくらいだよ」
「GPS付き!?」
「なーにーそれ? じーぴーえすって」
あぁもう監視体制付きとか聞いてないし!
はぁ、もういーや、外せないし、言っても仕方ないもんね。
ピエレは喜んでるし、他意はない、そーゆー事にすれば、丸く収まる、よね?
ユウトは装備を手に入れた!
しかし、装備は呪われていた!
ユウトの幸運が1上がった!
ユウトはスキル『聖女様が見てる(常時)』を授かった!
ユウトはスキル『聖女様が見える(任意)』を授かった!
ちなみにピエレの方は『勇者様が見てる(常時)』と『勇者様が見える(任意)』が付与されています。
てきとーなことを言いましたw
公式な(?)設定にはそんな事は書かれていません!
が、設定は日々生えてくるのでどうなるかは未定。
後、誤字脱字などは充分に警戒しておりますが、何か発見されましたらご報告下さいますと嬉しいです(^^)
毎日増えるPV、ユニーク、ブクマが私のエネルギーです。
皆様に感謝を!