ナンとザ・マン
「今回も私の勝ちね」
とナンは得意げに言った
少年は鼻血をふいて、立ち上がった
ナンは公園から出て行った
「待て、もう一度勝負しろ」
と少年は言った
「今日は疲れたから、また今度ね」
とナン
「いつもそれだ」
と少年は言った
(これくらいでやめてあげないと、あんたが死んじゃうじゃないの)
とナンは心の中で思ったが
口には出さなかった
ナンは
メタを取り出して画面を鏡にした
少年はあきらめて、去っていった
ナンは鏡に映る自分の顔を見た
(なかなかかっこいい)
と我ながら思った
色は白く、鼻筋は通っていた
目は大きく、ぱっちりと開いている
ナンを見たものは皆、可愛い女性だと思うだろう
だがナンは
自分をカッコいいと思っていた
そいて、この街の中でも
自分は強い方だと思っていた
そのナンの姿をこっそりとみる男たちがいた
「どうします?サイ」
と一人が言った
「ザ・マンをさらえ」
サイと呼ばれた男が言った
さっきの少年が家への道を歩いていると
後ろから二人の見るからに屈強そうな男たちが走ってきた
二人は突然、ザ・マンに襲い掛かった
そして、あっという間にザ・マンを縛り上げた




