JOSYOU
人が死んだりする表現があります。
殺し屋出てきます。
でも、そこまで悪い奴じゃないよ!!
*なんやかんやでギャグです。
放課後、下校途中の生徒を追い抜いて、高橋美優は神社へ向かった。神社と言っても誰も来ない、人々に忘れ去られた場所。
「うへへへ、萌ぇ~」
そこで漫画やアニメに浸るのが、彼女の日課だった。
「ん?あ、メールだ」
携帯を開いてメール画面を写すと、母親からの新着が一件。内容は「あんた今どこで何してんの!?」的な物。
「やばっ、今日はお客さんが来るんだっけ」
慌てて鞄にグッズを詰め込む。制服を直すのも後回しに、美優は全速力で鳥居をくぐる。階段を四段飛ばしで駆け降りると、美優は直ぐにまた走り出した…はずだった。
視界いっぱいに広がるトラックの車体。
轢かれる!そう認識した時には足が動かなくなっていて、美優はギュッと目を瞑った。
いつまで待っても訪れない衝撃。美優は流石に違和感を覚えて、恐る恐る目を開ける。
「え…なんで?」
トラックは美優の目の前を通り過ぎるところだった、美優自身は先程降りてきたはずの階段に座っている。
「あぶねーな」
「うん、危なかった…ってうわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「うっせぇよ」
そう言って耳をヒクつかせる白い狐(?)。どうやら、居るはずのない人の声はこいつが出しているらしい。
「いやいや美優、落ち着こう?狐が喋るわけないし」
「狐じゃねー!!わしは萌神様だ!」
一瞬の静寂。
「いやいやないない、あんたみたいなちっこいのが神様とかwwほらヘレン、山へお帰り」
「貴様、馬鹿にしているな」
狐の険しい表情と何とも言えないオーラに美優が少しだけ圧倒されると、狐をピンク色の煙が覆った。
「!?」
「これで文句ねーだろ」
先程まで狐がいたところに立っていたのは、腰までの長い銀髪を揺らし赤い目をした着物姿の女性だった。
「…どちら様ですか?」
「だーかーら!萌神様だって言ってんだろ」
確かに、彼女の浮かべるドヤ顔には狐と同じオーラを感じる。なにより、狐と女性の声や話し方はうり二つであった。
「で、その萌神が私に何の御用で?」
「萌神様だ、”様”を付けろ。貴様を助けてやったのはいったい誰だと思ってんだ」
「ま、まさか…」
萌神様がニヤリと笑う。
「いかにも、このわしだ」
「どうやって!?」
「ここはわしの領地だぞ、死なれると困る」
「結局自分の都合かよ!!」
叫んだ後で、しまったと思う。しかし時はすでに遅く、美優の予想通り萌神様はこちらを睨んでいた。
「あ、いえ、何でもありません」
「そうだよなぁ?助けてやったんだから、むしろ感謝するべきじゃね?」
「仰る通りで…」
「なら、わしの言うこと聞けよ」
「はい…って、え!?」
してやったり、とばかりに笑う萌神様。美優には嫌な予感しかしない。
「今から貴様をある物語の中に送るから、わしの為に萌えを集めてこい」
「行く」
光の速さで承諾する美優、どうやら嫌な予感は思い過ごしだったらしい。
「あ、でも今日は無理かも。家にお客さんが来るから早く帰んなきゃ」
「それ、貴様の新しい父親だぞ」
「…は?」
「貴様の母親、再婚するんだと」
萌神様の口から告げられたのは、信じたくないけど、妙にリアルな予言(?)でした。
「今帰れば、貴様はそいつに嫌でも会うぜ」
「…いいよ、行こうか」
そうこなくっちゃと、萌神様はいたずらっぽく微笑んだ。
これからトリップします。