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第1話「出逢い」
私は焦っていた。高校の入学式に寝坊するなんて…。
「待ってぇ!そのバス止まってぇ!」その叫びは届かないままバスは走り去った。ど田舎に住んでいた私。バスなど1時間に1台しか通らないのが当たり前だった。仕方ない。次が来るまで待っていよう。確実に遅刻は決定だなぁ。
「最悪」そう言ってため息をついた。
「ハァ〜」後ろからもため息が聞こえた。
ビックリして振り向くと同じ高校の制服を着た男の子がいた。
遠くを見るように海を見つめていた。その後ろ姿が、10代にしては、人生に疲れてますって感じがして気になった。 バスに乗ってもその後ろ姿が頭からはなれなかった。何故だろう。こんなにも人のことを気にしたことはなかった。今考えてみると私の恋はその時から始まっていたんだろう…。