コンビニにて
コンビニにて、俺は高校の同級生の朝宮さんを見た。
背が高くお洒落な服を着こなしていて、学校で見る時の制服を着崩しているイメージそのままだった。
彼女は学校では好かれていて、目立つ。そして何より、何故か俺によく話しかけてくれる人でもあった。だから俺も彼女のことはすぐ分かったのだけど。
「あれ、香坂くん」
視線が彼女とぶつかり、俺は目を見開く。
「あ、ああ朝宮さん。こんなところで会うなんて偶然だね」
ちょっと言葉を噛んでしまう。持っていたポテトチップスの袋の音が妙に大きく響く。
朝宮さんは髪を触りながら言う。
「ええ。ちょっと飲み物が買いたくてね。香坂君は何買うの?」
「俺? えっと、ちょっとしたお菓子を」
自分の手に持っていた大きいサイズのポテトチップスを見る。
「まあ、でも今日はこっちのチョコかな」
近くにあった少し高めのチョコレートを反射的に取る。
「濃厚なアーモンドが口に広がる大人の味……。これは買わなくちゃ!!」みたいなポップがあって目に入った。
「へえ、そのチョコ好きなんだ。どんな味なの?」
「ん? えっと、アーモンドだって、ごめん。俺も初めてなんだ」
「アーモンドなんだ。おいしそう。私もそれ買おうかな」
「え」
朝宮さんが同じチョコを手に取る。
「でもまさか、香坂君がこんなところにいるなんて、意外だったな」
「そんなに意外? まあ、今日は偶々コンビニに行きたくなっただけだよ」
「そうなんだ。じゃあ、またここに来たら香坂くんと会えるのかな?」
「え…」
思わずアーモンドチョコを強く握ってしまい、バキッと折れる感触を感じた。……これは買わなくちゃ。
「まあ、会える時もあるかもね」
「本当? じゃあまた会おうね。香坂君。学校でも声かけてよ。いつも無視されるし」
「無視してるわけじゃなくて、すれ違っても声かけていいのか分からないから」
「じゃあ声かけてね。またね、香坂君」
そう言うと朝宮さんは会計を済ませ、出て行った。
俺はちょっとの間。その場でじっと立っていた。
コンビニにて、俺の恋は始まった。
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