その1
5月1日。丘の上中学校 1年A組前の廊下。
怪子:ねえ、知ってる?学校の4階にある、水道の蛇口、水がずっと落ちているでしょ?あの水、夜中の12時なると、真っ赤な水になるんだってさ。
友美:うっそだあ!また怪子ちゃんったら、怖がらせて!その手には、もう、乗らないわよ。
一男:おい、あやこが、また嘘ついてるぜ。
怪子:嘘じゃないわよ。
一男・次男・三夫:うそつきあやこ!うそつきあやこ!うそつきあやこ!
嘘じゃ、ないわよ。そんなに言うなら、今はやし立てた子、全員夜中の11時半に、校門集合!
男の子たち:よーし!約束な。
友美:私は、行けないわ。
怪子:うん、友美は来なくていいよ。
三夫:あれ、うちのクラス、友美なんて名前の奴いたっけ。
夜の11時半、校門にて
一男・次郎:おい、ちゃんと来たぜ。三夫は、親に見つかってしかられて来れないってさ。ところで、どうやって、学校に入るんだよ。
怪子:一回奥の、理科室前の窓、ロッカーの陰になってるでしょ。あそこ、鍵開けておいても、日直の先生気が付かないんだよね。何度も、はいってるよ。
次郎:お前、ワルだなあ。
一男:その窓使えば、俺たちもキョウハンシャだぜ。さ、行くか。
怪子:うん。ついてきて。
よいしょっと、窓を越え、ひたひたと階段を登り、四階トイレ前の手洗い場にたどり着く。
蛇口からは、今も水が落ちている。
懐子:あと3分で十二時ね。
三人で、息をつめて蛇口を見つめる。
ぽた。ぽた。ぽた。かちっ。
一男:うわあああっ。赤い水が!!!
友美:怪子ちゃん、赤い水の元、つれてきてくれてありがと。二人なら、二か月はもつわね。
5月2日。丘の上中学校 1年昇降口、下駄箱前。
怪子:おはよう、三夫。今日も一人?
三夫:ああ。早く友達作らないとな。
ひとりごと:読んでいただき、ありがとうございます。10人以上読んでいただけたら、その2も書こうと思います。9人以下なら、才能がないから、あきらめます。