第一夜・少女のアリカ-8-
前回からの続きです。
「そうじゃなくて……」
「ふふ、それならよかった」
アリカの唇が、熱い吐息と共に下にいる僕の上をゆっくり動いていく。
身体をなぞる様に腹部から胸へ滑り、首筋に辿り着いた所で止まった。
「これはどう?」
「んあっ……」
閉まりなく開いた口から僕は声を漏らしてしまった。
首筋にかかる熱の籠った息が妙にくすぐったくて、我慢ができない。
心拍数は跳ね上がり、そのまま期待に還元される。
「本当に……かわいい声。もっと聞かせて」
無力に悶える僕の上で少女は顔を朱に上気させ、白い肌は汗でじっとりと湿り気を帯びていた。
「アリカも、お兄ちゃんが欲しい」
どこか瞳の奥に大きな気持ちを秘めている目だった。
とろりと蕩ける様な気分に少しずつ変えられていくみたいな感覚。
「あ、れ・・・・・・?」
ぐらりと目の前にあるアリカの顔が斜めになった。気付けば手足に力が入らない。
なんだか頭もぼんやりしてくる。
「気持ちいいでしょ」
薄くルージュのひかれた唇から八重歯をちらりと覗かせて、アリカは笑う。
「寝ちゃっても・・・・・・いいよ。おやすみ、お兄ちゃん」
霞んでいく視線の向こう、やさしい顔の少女に僕は既知感を覚えた。
僕は、彼女を知っている――。
もちろん僕が造ったのだからそれは当たり前だ。
だけど、その〝知っている〟ではなくて、もっと違う何かだという気がする。
知っているのは何か・・・・・・遠くて、懐かしい記憶のかけらのようなもの。
途切れ途切れに僕の脳裏に浮かんでは、またたく間にシャボン玉のように弾けては消えていく。
何なのだろう? 僕はいったい何を覚えているというのだ――。
ああ。
言葉にするならこの感覚は、知っているのではなく〝覚えている〟か。
覚えているのに、知っているのに記憶の在処が思い出せない。
吐き気を覚える気持ちの悪いこの感じは何だというのだろう。
そこでテレビの電源を切るようにぷつり、と僕の意識は途切れた。
少女の在処、この続きも考えてはいましたが、プロットをなくしてしまったので現在はここまでになります。
ここまで読んでくださった方、気まぐれに読んで下さった方。
ありがとうございます。
またお話を載せていく予定ですので、その時はよろしくお願い致します。