表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

4話(天使みたいな悪魔の彼)

「じゃあ私が、悪魔とパートナーを組んで仕事をするってことですか」


 リリスが尋ねるとラグエルが微笑んで頷く。


「そう。当面の仕事の中身としては、悪魔くんの仕事の補助だよ。実例が無いし、一緒に仕事しながら、パートナー制度のメリットデメリットを定期的に報告してくれれば良いかな。一一色々と質問あるだろうけど、受けてくれるってことでいいかな?」


「それは、はい」


 願ったり叶ったりだ。一一ただ、


(なんで急に?)


 疑問が口から出かけたが、ラグエルが視線でそれを制す。


「じゃあ詳しい説明は君のパートナーと会ってからだね」




 

 ラグエルと連れ立って、ちょうど魔界と天界の間に位置する警備隊の駐在所へ向かう。基本的に出入り禁止だが、パートナーを組む悪魔と落ち合うため、この建物内の会議室で使用させてもらうらしい。

 会議室に入り、待ち時間の間ラグエルが話す。


「悪魔くんもリリス同様、早くに中級に上がった優秀な子なんだって」


「そうなんですか」


 一緒に組むのなら優秀に越したことは無い。パートナー制度が成功すれば、悪魔に会いやすくなる。もちろん、あの子にも。そのためにも頑張らねば。

 そう気合を入れたところで、部屋の扉がノックされた。


「失礼しま〜す」


 間延びした声。ラグエルを挟んでいて顔は見えずらいがかなり背が高いことが分かる。ゆっくり私の横に歩いてくるその男は金髪の青年。悪魔の特徴と言える黒い羽、黒い尻尾、黒いスーツ。けれど、そのふわふわとした金色の髪といい、澄んだ碧眼といい。


「え、天使?」


 リリスはつい声を上げてしまった。


「よく言われる」


 どこか気の抜けるような穏やかな声で、彼は言った。





「うんうん。悪魔みたいなリリスと天使みたいなミケくん。相性ばっちりだね」


 ラグエルがのんびりとした声で言う。彼はミケというらしい。ラグエルの発言を受けて、居住まいを正す。


(そうだ仕事の話しに来たんだった)


 ラグエルはリリスとミケを見やった後、説明し始めた。


「じゃあ仕事の説明をするね」


 まず期限については、パートナー制度についてまとめて報告してもらうまでの期間が2週間。2人で書類にまとめてラグエルまで報告すること。そして、


「もう一つ、調べて欲しいことがあるんだ」


 ラグエルが微笑みのまま、声のトーンを落として言った。


「最近、堕ちた悪魔が増えているのは知っているかい?」


 堕ちた悪魔。悪魔が堕ちるというのも不思議な話だが、ここでの悪魔は悪いことをするための悪魔ではない。人間を唆し善か悪か判断するのが仕事であり、不必要に人間を不幸にすることは御法度だ。場合によっては悪行を留まるよう仕向けることもある。堕ちた悪魔と言うのは、その加減を忘れ人間を陥れることを目的としてしまった悪魔のことだ。羽が落ち、本来の悪魔としての仕事を忘れてしまう。それが増えていることが悪魔の業務逼迫の原因の一つらしいと最近聞いた。


「堕ちた悪魔が増えて、悪魔くん達の仕事がより一層回りきらなくてね。でも正直調査は難航している。優秀な君たちの手を借りたい。特にリリスには天使として違う視点で調べて欲しい」


 なるほど。何故急に今まで蹴られていたパートナー制度の提案に前向きになったのかと思ったが、堕ちた悪魔の原因調査を兼ねていて、パートナー制度に成功すれば仕事の効率化も図れて人員不足の解決に繋がると。


「分かりました」


「はーい」


 何はともあれリリスの提案が通ったのは嬉しい。ちらりと隣のミケを見ると眠たげな目とぱちりと目が合った。


「じゃあ、何かあれば私に連絡するように。あ、あと1つ」


「「?」」


 揃って首を傾げてラグエルを見る。


「2週間で何か成果出なかったら、連帯責任で降格だからね。パートナーくん達」


 悪魔の間違いじゃ無いのかな、この人。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ