いえねこ日記 ~まいにち茶トラ~
どこか醒めた猫目線のつぶやき
1.おれは茶トラ
…うにゃあ~暑い。夏は苦手じゃ。
毛皮脱ぎたくなる。
おい、誰か背中のチャックおろせよ~。
おや、はじめまして。
オレはへえぞう。
猫種は茶トラ。
りっぱなオジサン猫。
オジサンだけど、もう男じゃねえ。
だってタマナシだもん。
にゃっ。
この家にもらわれてきて早12年。
まだ小学生だった小僧たちも、いっちょまえになりやがった。
髭も生えてきて(オレのピンとしたイカす髭にはかなわねえけどよ)生意気だ。
「へえぞお~」
朝からうるさい、小僧ども。
用もないのに、だっこしたがる困った野郎ども。
「くしくし」
おまたは触るなよ。
ことさら毛が柔らかくて気持ちイイんだってさ。
オレにも羞恥心てもんがあるからな。
「けだるいのか?おお?」
パパさんまでオレの腹をくしくし。
はあ。愛玩猫はつれ~な~。
ご飯をもらってる手前、逆らえねえ。おほっ。
オレの生まれは、海の街。
岸壁で生まれ落ちて、かあさんと兄弟と、漁師がくれるマグロのはじっこを頂きながら育った海の男。
ところが、ある日突然、保護猫活動とやらにとっ捕まった。
連れていかれたのは、仲間が大勢いる団地の一室。
かあさんとも生き別れた。3匹いた兄弟も離ればなれ。どこ行ったか分からん。仕方ねえ、これも運命ってヤツか。所詮猫は孤独な生き物よ、おほっ。
そして、暑い夏の日。
ここでパパさんとママさんと出会った。
保護猫の譲渡サイトを辿って来たって後から聞いた。
はじめはよ、オレ以外のキジ猫めあてだったんだとさ。
名前まで決めていたと聞いた。
だけど、オレの猛烈アピールが功を奏して?
(妙にハイになっちまってぐるぐる部屋中走り回ってただけ汗)
ママさん、つい「あの子」と指差しちまったらしい。
ま、どうであれ、めでてえってことにしておくか!
それによ、これは知る人ぞ知るってヤツだけどさ。茶トラの雄ってのはよ、貴重だぜ。
めったにいない。
しかもAB型だぞ。嘘じゃないさ。
正真正銘のABだ。
なんで血液型わかるんだって!?
ほほ、それはまた今度。
茶色のシマシマしっぽが長くてふさふさ、お髭もぴいいんとしてるし、猫の中の猫って面構えがイカす俺。
あ、イカすが死語だってか。
いちいちつっこむなよ。
にゃっ。
「へえぞお~。ごは~ん」
小僧が向こうで呼んでいる。カリカリのにおいで、呼び寄せようったって、バレバレだ。夜はケ-ジにいれようって魂胆、分かってるんだよ。
しかし食欲にゃ逆らえねえ。右みて、左みて、ヨシ。そろりソロリにじり寄り「いっただきま~す」した途端、ケ-ジにねじ込まれた。かっちゃ~ん。
ちっ。施錠されちゃあ、でられめえ。
なんだよ。プンプン。
「へえぞお~、おやすみっ」
チュッと鼻チュ-して、小僧は灯りを消した。
オ~イ出せえ!コラ、出さんかいっ。
毒づいても、すっかり夜やみの中。にゃっ↓↓
ゆっくり のんびり綴っていきますのでよろしくお願いいたします。