もげ散るタイヤ
北海道平野部で初雪になった先週の土曜日、幹線道路の右側車線にパトカーが止まっていた。
「事故かな?」と見ると左前輪が外れて前のめりになった乗用車が止まっていた。初雪が降って慌てて交換したが、締め方が悪くて外れたのかも知れない。
北海道では当然のことながら冬場は夏タイヤでは走れないので、スタッドレスタイヤに交換する。
年2回交換する度にガソリンスタンドや自動車用品店に3千円5千円払うのも勿体ないので、自分で交換する人も(できる人も)多い。
フロアジャッキとクロスレンチで数千円、店でのタイヤ交換2回で元が取れる。
しかしナットの締め方が悪いと、走っているうちに緩んだり外れたりする。
締め付けトルクが足りない場合、逆に締めすぎでボルトが切れたりネジ山が舐めた場合、ネジ山を壊して締め込んでいる場合(エアーインパクトレンチだとハブボルトとナットのネジ山が合わなくても打ち込めてしまう)、貫通ナットで表裏を逆に付けた場合、などである。
ただこれは、「自分で交換したから危険」「業者に任せるべき」とは言えない。
同僚が自分で(彼氏を使って)タイヤ交換するというので道具一式を貸したら、「ナットが外れなかった」ことがあった。
前年にタイヤ交換した整備工場に持ち込んだら、「ナットが斜めに(ネジ山に合わずに)打ちこまれていた」ことが発覚した。
普通はハブボルトにナットを手で入れてから締め付けるものだが、時間短縮のためエアーインパクトレンチの先にナットを嵌めてからハブボルトに押し付けて締めると、ネジ山に斜めに締め付けられることがあるとのことだ(トラックなどの大型車はボルトの数が多いので、これやってる整備工場がある)。
結果、ハブボルトが使い物にならなくなり交換、担当者はクビになったらしい。
新しいタイヤを購入して自動車用品店で取り付けてもらったら、車の規定トルクより3〜4割強く締め付けられたことがあった(最終の締め付けトルク確認に立ち会って発覚した)。
車の取説と違うと抗議したが、店員は壁に貼ってある一覧表を指さして「(メーカ)○○車は△△N・mです」とドヤってきた。
家に帰ってから、自分で規定の締め付けトルクに戻した(トルクレンチは持っている)。
私の車は取説によると85N・mで、登録車であるが同メーカーの軽自動車と同じ値である。
同メーカーの軽自動車でもRVタイプや、登録車でも車種ごとに違う。
車種や年式形式により変わることがあるので、取説の確認は欠かせない。
それなのに、壁の一覧表でドヤられたって・・・ねえ。
「よろしくメカドック」というマンガで、公道レースの途中(!)でタイヤ交換の際に、ボデイ担当のメカニックがハブボルトをネジ切ったエピソードを思い出した。
プロでも、やらかすときはやらかす。
・・・なんてネタでエッセイを書こうとしていた火曜日。
事故のニュースが飛び込んできた。
軽RV車(先代ジムニー)のタイヤが外れ、4歳の女の子を直撃して重体になった、事故。
リフトアップ+インチアップ+オフロード専用タイヤ(公道では使えない)のイカにもな3点セット。
ドライバーや持ち主は違和感を感じていた、というが。
テレビの映像ではハブボルトは切れていなかったし、袋ナットだから裏返しはありえない。
ハブボルトが5本全部、中心軸側に曲がっていたから、ナットが一気に外れる事態が起きたのだろう。
エアーインパクトレンチでネジ山に斜めに打ち込んで少ししか止まっていなかったのかもしれないし、オフセットを変えるためにハブとホイールの間にスペーサーを噛ませていてハブボルトの長さが足りなかったのかもしれない。
3点セットなんて、アレに真珠を入れてドヤる、みたいな行為。
タイヤじゃなくて、連中のアレがもげてしまえば良いのに。
ちなみにアレの「真珠」は、刑務所収容中に歯ブラシの柄を削って作る、そうだ。
「代紋Take2」に書いてあった。
なんてことを書きつつ今日土曜の朝刊を見たら、昨日も高速道路で大型トラックのタイヤが取れたらしい。
トラックが燃えただけで済んだ。
そう、燃えただけで済んだ。