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その後、料理が完成。
牛もも肉、じゃがいも、玉ねぎ、にんじんなどをじっくり煮込んだビーフシチューと、主食はパン、付け合わせにはニコが用意したサラダだ。
「さあいただいちゃって、おかわりならいくらでもあるからね」
リズムにそう言われ、テーブルに着いたディス、シヴィル、ニコが「いただきます」と両手を合わす。
廃工場への突入作戦の後――。
第三班の班長だったブラッド・オーガニックは死亡。
第二班の班長であり、ブラッドの妻でもあったエヌエーはメディスンの配慮によりアンプリファイア・シティを離れた。
それから才能の追跡官第一から第三までの班はメディスンが指揮することになったが。
班員たちの生活は変えることはなく、今まで同じように過ごしている。
そして、班長だったブラッドの死の悲しみを隠すかのように、第三班の面々も普段の通りに振る舞っていた。
だが、その中でも一番付き合いの長いリズムと、ブラッドを目の前で失ったパロマは、あまり悲しみを誤魔化せていなかった。
「そういえば……」
ビーフシチューを頬張りながらシヴィルが口を開く。
「メディスン班長から連絡が来た」
「そう、メディスンさんがシヴィルに連絡なんて珍しいね」
「違う。シヴィルとマローダー、あとリズム姉にも」
「えッ!?」
リズムは、慌てて指に付けたリングタイプの通信機器を確認した。
映し出されるホログラム。
そこには、メディスンからのメッセージが来ていることが表示されている。
「アハハ、料理に夢中で気が付かなかったよ」
「それはしょうがない、とシヴィルは思う」
それから、リズムはメディスンから来たメッセージの内容に目を通した。
その内容とは、明日に行われるアンプリファイア・シティの集会――。
この街の四つの区域マーシャル・エリア、ヴォックス・エリア、オレンジ・エリア、ハイワット・エリアの代表が集まる会議に、リズムも同席するようにとのことだった。
ちなみにシヴィルとマローダー二人は、マーシャル・エリアの代表であるコラス·シンセティックの護衛である。
その内容を口にしたリズムに、ディスが訊ねる。
「あれ? でもリズムって明日は休みじゃなかった?」
「そうだけど、どう見ても重要な集まりみたいだし、断れないよ」
「じゃあ、俺がメディスン班長に言ってあげるよ」
「いやいいから。アタシは出るつもりだから気にしないで。それよりもゴメンね。明日はディスに街を案内してあげるつもりだったのに」
「リズムが出るつもりなら俺に文句はないよ。それで、その集まりってどこでやるの?」
「オレンジ・エリアにある海の見えるお店だって」
「オレンジ・エリアか。たしか港があったエリアだよね。それならよかった」
「……? なにがよかったの?」
「大したことじゃない。こっちの話だから気にしなくていいよ」
ディスの言葉に、小首を傾げるリズム。
隣に座っていたニコも、彼女と同じように首傾げて「メェ?」と鳴いていた。
だが、ディスはそんな彼女たちを無視してビーフシチューに手をつけるのだった。




