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――その後。
廃工場にいたデカダンス·レイヴァーたちは全員捕らえられ、才能の追跡官のビルへと移送された。
だが、その誰もが返答はおろか自我すら失っており、ストリング帝国を名乗ったアバロン·ゼマティスやネア·カノウプスら将校たちのことを知ることは難しそうだった。
だが、才能の追跡官の局長であるイーストウッドは、敵の素性がわかっただけでも良しとし、廃工場にあった電子ドラッグの解析に力を入れるとした。
それから才能の追跡官は再編された。
それは、第三班の班長だったブラッド·オーガニックが死亡したからだ。
これからは第一班、第二班、第三班すべてをメディスン·オーガニック班長が管理し、基本的な人員移動はないと決まった。
第二班の班長だったエヌエー·オーガニックは、メディスンの進言もあり、アンプリファイア・シティから出ることになった。
ブラッドを――夫を失った彼女へのメディスンなりの配慮だろう。
だが、第三班の面々にそれは許されない。
彼ら彼女らはこれからもこの、張り巡らされた配線とネオンサインが飾られている犯罪都市で戦い続けなければならないのだ。
「よかったら飲んで、温まるよ」
軍警察署内――第三班の室内でデスクに俯くパロマにそっとココアを出すリズム。
だが、パロマは俯いたままでカップには手を伸ばさない。
彼女は普段の気丈な態度に戻ると、リズムに訊ねる。
「悪いがいらん。それよりもカルトのほうはどうなっている?」
カルトとは、廃工場にいたデカダンス·レイヴァーの一人。
電子ドラッグの売人であるチルドの恋人だ。
彼女は比較的に他の者たちよりも症状が良かったのもあって、今は署内の病室で治療を受けている。
「他の人たちと違って彼女は自我が残ってそうだから、治療が終わればきっと何か手掛かりが聞けると思うよ。それに、アタシなら時間は掛かっても絶対に治せるからね」
「気の力か。だが、あれはお前への負担も大きいと聞いたが……」
「そんなこと気にしてたら誰も救えないよ。パロマだっていつも前線で身体を張ってるじゃない」
笑みを浮かべるリズム。
パロマには彼女が強がっていることがわかる。
それは、能力を使用することで負担がかかることではなく、ブラッドが死んでしまったという理由からだ。
だが、リズム以上に強がっているのは自分だと、パロマは思う。
何故ならばブラッドは彼女を庇ったせいでその命を落としたのだ。
「ちょっとパロマ? どこへ行くの?」
突然立ち上がったパロマにリズムが訊ねると、彼女は背を向けたまま答える。
「訓練場だ。仕事が進まないからといってじっとしているわけにもいかんからな」
「ならアタシも付き合うよ。相手がいたほうが良いでしょ?」
「好きにしろ」
そして、二人は署内にあるトレーニングルームへと向かった。




