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ネアがそう言うと、メガディの身体が光り輝き始めた。
足から顔に至るまで、まるで全身に電子回路が見えるかのように、服の上からもその流れがわかるものだ。
すると、無力化したはずのデカダンス·レイヴァーたちが立ち上がり、再びブラッドたちへ襲い掛かって来る。
「なッ!? これはッ!?」
パロマが声を出し、夕華丸を構えて向かって来る電子ドラッグ中毒者を振り払う。
致命傷にしたわけではないが、中には打撲、骨折するほどの怪我を負わせたはずのデカダンス·レイヴァーたちが再び襲ってくるなどおかしい。
いや、そもそも動けないように無力化したというのに、これは一体どういうことなのだ。
「全員、敵に備えろ! 来るぞッ!」
第三班の面々は、ブラッドの声を陣形を組み直し、すぐに対応したが。
あり得ない状況に動揺は隠せない。
立ち上がって来たデカダンス·レイヴァーたちを倒しながらシヴィルが言う。
「さっきよりも強い……と、シヴィルは思う」
「あぁ、なんだよこれは!? 電磁波に怯まないだけじゃねぇ、いくら倒しても向かって来るぞこいつらッ!?」
シヴィルに答えたムドは、バヨネット·スローターを撃ちながら驚愕している。
先ほどもそうだったが。
デカダンス·レイヴァーたちは恍惚の表情のまま襲って来る。
それは、まさにディスが言った幸せそうなゾンビだった。
だが、今はそれに加えて倒れても倒れても立ち上がって来る様は、本当にゾンビのようだ。
さらに、どういうわけか身体能力向上されているようで、その動きは速くさらに腕力まで上がっている。
「くッ!? あの赤髪モヒカンがやったことと関係がありそうだな」
顔をしかめるブラッド。
前衛にいるパロマ、シヴィルも対応に追われ、二人をフォローしようと、ブラッドとムドも前へと出た。
だが、その陣形の乱れを見てメガディが呟く。
「後ろも気を付けなきゃね」
その小さな声と共に、後衛にいたリズム、ディス、ニコにもデカダンス·レイヴァーたちが襲い掛かる。
先ほど別の部屋で無力化したはずの連中だ。
第三班は前後から囲まれ、完全に陣形が乱されてしまった。
「数には勝てないってところね。こんな狭いところじゃ、能力も使いどころが難しいでしょうし。こっちの思惑通り! オッホホホッ!」
ネアが笑う。
どこかの令嬢のように高笑う。
彼女は一頻り笑うと、メガディへと声をかける。
「じゃあ、ここは任せるわよ」
「えッそんなッ!? ネアさんいっちゃうんですかッ!?」
「あなた……作戦をちゃんと聞いてたの? まあいいわ、それじゃ私は行くからね」
そして、ネアがついに動き出した。




