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ネアは、自分の前髪の長いピクシーカットを弄りながら、ブラッドにニッコリと微笑んだ。


ブラッドはそんな彼女を見て顔を笑みを返す。


「何も言わねぇなら、イエスと取るぜ」


「あらあら、さすが歴戦の兵士ブラッドさんね。パロマちゃんと違って、強引でも多少の駆け引きは心得ているみたい」


「こういうときってのは、大体答えられないことが答えになってんだよ。それとな、あんまりウチのもんをからかうんじゃねぇ」


ブラッドは会話をしながらも考える。


すでに、三階フロアにいたデカダンス·レイヴァーたちは、ほぼ無力化している。


いくらネアがマシーナリーウイルスの力を使おうとも、こちらは特殊能力者が五人と電気仕掛けの仔羊一匹に、自分がいる。


こんな不利な状態で何故彼女は姿を現したのか。


何か策を秘めているはずだ。


――と、ブラッドは、けして態度には見せずに、会話を続けようとしていた。


「ま、何を考えているか知らねぇが、お前はここで捕まえるぜ」


「そう上手くいくかしら? こう見えても私、結構強いわよ」


「たった一人で息巻いてんじゃねぇよ。それとも後ろの奴、エレベーターにいる奴がどうにかしてくれるのか?」


「それが見たいなら、ご期待に添えましょうか。メガディ、ご指名みたいよ」


ネアに応えるように、エレベーターの中にいた人物が出てくる。


赤い色のモヒカン刈りの少年。


年齢はその幼さが残る顔からして、ネアよりは少し年下――第三班の面々と同じくらいの歳に見えた。


「ネ、ネアさん……。ボクに振らないでくださいよ」


メガディと呼ばれたモヒカンの少年は、見るからに怯えながら返事をした。


その強面な髪型からは想像ができないほどである。


「いいから早く来なさい。この人たちったら、あなたのことが気になってしょうがないみたいなんだからさ」


メガディは、物凄く嫌そうな顔をしながらネアの隣まで歩いてきた。


震える足をなんとか動かしている――そんな風に見える。


演技とは思えない。


第三班の誰もがそう思っていたが。


やはりそのモヒカンと怯える態度のアンバランスさに、妙な違和感を覚えていた。


「紹介するわ。この子の名前はMD-2――メガディ·ローランドよ。ちょっと怖がりだけど、仲良くしてあげてね」


「ローランドだと?」


ブラッドが思わず声を出した。


それは、ストリング王国出身であり、ディス、ブルドラと同じく女科学者ドクター·ジェーシー·ローランドの姓だったからだ。


そうなると、目の前にいる赤色のモヒカン頭の少年も、ドクター·ジェーシーの被験体だったということか。


ブラッドだけでなく、第三班の面々もその表情を強張らせる。


「それじゃ紹介も終わったことだし、早速始めましょうか。さあ、やりなさいメガディ」

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