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ムドから連絡を受けたブラッドは、エヌエーとマローダー·ギブソン、リズムを連れてヴォックス·エリアへと向かった。
その後、ムド、シヴィル、パロマ三人を回収。
捕らえたデカダンス·レイヴァーである電子ドラッグの売人――チルドの恋人カルトの実家で起きた惨劇を聞く。
ヴィラージュら赤い開拓者がいたことを聞いたブラッドは、憔悴しきっているパロマをエヌエーに任せ、ムドとシヴィルからさらに詳しいことを訊ねていた。
「お前らが無事でよかったよ。それで戦闘らしい戦闘はなかったんだな?」
「うん。向こうも戦いたいわけじゃなさそうだったよ」
オレンジジュースを飲みながら答えるシヴィル。
彼女の隣では、パロマのことが心配なのか、心ここにあらずといった様子のムドがいた。
カルトの家族のほうは、マーシャル·エリアの病院へと運び込まれ、現在治療を受けている状態だ。
残された母親と息子は、リズムの能力――今はなき時の領地の技術である体内の生命エネルギーを気へと変えて放つ術により、一命を取り留めた。
だが二人が受けた拷問のことを考えると、社会復帰はおろか今後まともに生活ができるかは難しいと思われる。
「で、ヴォックス·エリアへ行ったことは、お前ら三人で考えたことなんだな?」
ブラッドに訊ねられたムドとシヴィルは、迷いなくコクッと頷いた。
本当はパロマが言い出したことだったが、二人とも自分たちも同罪だと思っているようだ。
「はい、勝手に動いたことの罰は受けるつもりです」
「シヴィルも受け入れる」
そう言った二人の肩を、ブラッドはポンッと叩いた。
そして、今はゆっくり休めと声をかける。
「今日はもう帰って寝ろよ。お前たちには明日の作戦に参加してもらいたいからな」
「ペナルティはないんスか?」
「お前らなりに手掛かりを掴もうとしたんだろ? それに、あの母親と息子が助かったのはお前らのおかげだ」
「……大丈夫なの?」
シヴィルが訊くと、ブラッドはその場から去って行く。
「始末書やら報告書やら面倒くさいことをやらなきゃなんねぇが、まあ、お前らのしたことの責任を取るのが俺の仕事だ。気にせずに腹いっぱい食って寝とけよ」
そして、ブラッドは第三班の部屋から出て行った。
残された二人に、リズムが言う。
「ブラッドさんの言う通りだよ。今はゆっくり休んで。明日の作戦については、もし厳しいようだったらアタシから言っておくよ」
「いや、大丈夫だ」
「シヴィルもご飯を食べれば大丈夫」
二人の答えに笑みを浮かべて無理しないように言うリズム。
ディスは、そんな彼女を見て微笑み、ニコも嬉しそうに鳴いている。
「やっぱりリズムはスゴイね、ニコ」
そして、ディスはニコの身体を撫でながら、リズムのことを褒めていた。
ニコも鳴いて返していると、リズムが言う。
「スゴイのはアタシじゃなくて、ブラッドさんとムドたちでしょ?」
「でも、リズムはスゴイよ」
「……はいはい、ありがとね」
その後ムドとシヴィルは、エヌエーに介抱されていたパロマを連れて第三班の借りている家へと向かった。




