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041

惨状だった。


カルトの父親だと思われる中年男性は、壁に磔にされていた。


耳と手首、掌に太い杭が打たれていた。


磔にされた状態で下半身は切り取られたのか、開いた腹部からは腸が零れ、残された上半身からまるで鎖のように伸びている。


カルトの母親らしき女性は床に倒れていた。


それをカルトの兄だろうか弟だろうか若い男が覆い被さっている。


仰向けに倒れている女性には手足がなかった。


切り取られた切断面からの出血で、床に赤い筋を作っている。


覆い被さっている若い男のほうも両腕が切り取られており、泣き顔で必死に腰を打ち付けていた。


強姦だ。


息子に母親を犯させている。


それを死にかけている父親に見せつけている。


「ほら、もっと気合入れてやんだよ。テメェの姉ちゃんがバラ撒いたみてぇに、子宮に精子を吐き出せ」


声が聞こえた先には、黒髪の幼女と赤い燕尾服を着た集団がいた。


この区域――ヴォックス·エリアを仕切るヴィラージュと赤い開拓者レッドパスファインダーだ。


地下室にあったテーブルにあぐらの姿勢で声をかけているヴィラージュは、パロマたちの姿に気が付く。


「なんだよテメェら? 勝手に入って来やがって、不法侵入だぞ」


「お、お前……なんで……?」


帯刀した軍刀――夕華丸(ゆうかまる)に手を伸ばしながらも、パロマは明らかに動揺していた。


ムドは震えるパロマの前に立ち、ヴィラージュや赤い開拓者レッドパスファインダーから彼女を守ろうとする。


「この家の椅子はあーしにはちょっと合わなくてな。だから机に座ってんだよ」


座っているテーブルから燕尾服の幼女がそう言った。


「違う。なんでこの家の者たちや飼い犬にこんなことをしている!」


パロマがそう叫ぶと、息子が母親から離れる。


精液の尾をひいて、萎えた男根が露わになる。


すると、赤い開拓者レッドパスファインダーの一人が若い男の頭に、針のようなものを突き刺した。


若い男の男根がそそり立ち、ヴィラージュが再び母親を犯すように告げる。


状況から見て、何度も息子に母親を強姦させているようだった。


性行為の独特な臭いが地下室に充満している。


パロマは残酷な行為を止めさせようと、夕華丸(ゆうかまる)を抜いて構えようとしたが、急にその場に崩れて嘔吐。


すでに飼い犬のときから堪えていた吐き気が限界にきて、血で染まった赤い床へ胃液を吐き出していた。


「大丈夫かッ!?」


ムドは赤い開拓者レッドパスファインダーたちに警戒しながら、彼女を支える。


そんなパロマの姿を見て、ヴィラージュが呆れて口を開く。


「答えてやるよ、ゲロ吐き女。こいつらには家族のやった罪を償わせている。バラ撒いた電子ドラッグを存分に味わってもらってな」


訊ねた答えすらもまともに聞き取れないパロマは、ただ吐くことしかできなかった。

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