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リズムは自力で立ち上がる。


満身創痍――フラフラの状態で再び両腕を広げる。


「やめてくれッ!」


ディスはそんな彼女のことを背中から抱きしめた。


これ以上何をするんだと、まだ何かしようとしているリズムを必死で止める。


だが、リズムは言う。


「今のはね……。メイカさんが持っていた神具の力なの……」


ディスは、自分のことを振りほどこうとしないリズムの言葉に耳を傾けた。


時を操る力を持つ神具クロノス。


以前に、リズムの師であるマスター·メイカ·オパールが持っていた奇跡を起こせるもの。


クロノスはすでにこの地球(ほし)へと還ったが、メイカはその力を引き出せる術を編み出した。


リズムはその術を使ったことで、街をなんとか救えた。


「未熟なあたしじゃ……その反動が凄いけど……。ともかくもう街は大丈夫……」


「なら、これ以上何をするつもりなんだッ!?」


ディスは泣きながら言葉を返す。


そんなボロボロの身体で、また妙な術を使うつもりなのではないかと、その(かす)れた声を張り上げる。


リズムは、そんな彼を宥めるように返事をする。


「自分にできることは思い出したの。気が付くのが遅れちゃったけど……。これでドクター·ジェーシーの呪縛から皆を解放できる」


「いいよそんなのッどうでもいいッ! 俺は君がいてくれれば、それだけでいいんだッ!」


「ありがとね、ディス……。でも、これがあたしが……受け取ったものだから……。大好きだった人たちが残してくれたやり方だから……」


リズムの宙に浮いていた彼女の身体から剥がれていった光。


その無数の光球が、街中へと散っていく。


その光は、ディスの頭にも飛んできた。


ディスはその光の暖かさを感じると同時に、まるでリズムに抱きしめられているような感覚を覚える。


「この光は……リズムそのもの……?」


「ディス……あとはお願いね……。あなたを戦わせたくなったけど……。もう、あなたにしか頼めない……」


「リズムゥゥゥッ!」


再び倒れたリズム。


ディスもまた先ほどと同じように、彼女の身体を抱き上げる。


「リズム……。リズムリズムリズムリズムゥゥゥッ!」


枯れた喉で名を叫ぶ。


抱いたリズムの身体は冷たく、血液を抜かれた死人のようだった。


だがその表情は、やり切った者の満ちた顔をしていた。


「うおぉぉぉぉぉぉッ!」


電波塔――Wiring Control Tower(ワイアリング·コントロール·タワー)、通称W.C.Tの屋上で――。


ディスの獣のような咆哮が響き渡った。


そして彼は、想い人の身体を力強く抱いてその場から去って行った。

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