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リズムに追いついたディスが息を切らしながら訊ねた。


あの赤い集団と、その先頭にいるのは誰なのかと。


「燕尾服もシルクハットも、おまけにガスマスクまで真っ赤なんて、どぎつい人たちだね」


「あれは赤い開拓者レッドパスファインダーっていうマフィアだよ。そして、先頭で喚いているのはそのボス、ヴィラージュ」


リズムは説明する。


赤い燕尾服の集団は、この街――アンプリファイア・シティにある四つの区域の一つであるヴォックス・エリアを取り仕切っているマフィアの集団。


そして、そのマフィアのボスは目の前に見える幼女――ヴィラージュであると。


身長は百三十センチあるかないかで見た目は完全な幼女だが、目つきが以上に悪い。


「あんな小さな子がマフィアのボス?」


「見た目に騙されちゃダメだよ。彼女も特殊能力者。じゃなきゃこの街であんな態度とれないでしょ」


その通りだとディスが思っていると、リズムが前に出ようとした。


だが彼女が出る前に、同じ第三班の班員シヴィルとムド、そしてパロマが赤い幼女の前に立つ。


シヴィルが眠たそうな顔で言う。


「久しぶり、ヴィラージュ。相変わらず元気だね。そして、口と人相が悪い」


「ようチビッ子。お前は相変わらず眠たそうだな」


シヴィルはヴィラージュの返事を聞いて、ムッと不機嫌そうな顔になる。


「チビッ子じゃない、シヴィルだよ。それに、ヴィラージュのほうかシヴィルよりチビッ子」


「あんッ!? テメェ、ケンカ売ってんのかッ!?」


シヴィルもヴィラージュもそこまで身長も身体の大きさも変わらない。


だが、どうやら互いに相手よりは大きいと思っているようだ。


激しく睨みつけるヴィラージュに対し、シヴィルはあくびを掻いて応戦している。


そこへ傍にいたパロマが間に入る。


「お前の部下を捕らえたのは私だが、こんなゾロソロと引き連れてわざわざ捕まりに来たのか?」


「あんッ? あーしはザコと話す趣味はねぇ。とっとと失せろ、金髪筋肉女」


「だ、誰が筋肉女だッ!」


そこからヴィラージュとパロマの口喧嘩か始まった。


そのまるで子供の喧嘩ような二人を見て、シヴィルとムドか呆れている。


「どっちが勝ってもいいけど……。このまま何事もなく帰ってくれねぇかな……」


「ムドは甘い……。パロマもヴィラージュも、もともと口よりも手が先に出るタイプ」


二人がそんな話をしていると、突然その場に何人かの人間が放り投げられた。


「お前の欲しいのはこれだろう? かえしてやるからさっさと帰れ」


投げられたのは、縛られたままの赤い開拓者レッドパスファインダーたちだった。


そして、ヴィラージュに声をかけた人物が前へと出てくる。


小柄で顔中に小さな傷がある男だ。


「マローダー、テメェッ!」


「マローダーさんッ!? 何故ですッ!?」


ヴィラージュ、パロマが同時に顔を歪める。


マローダー·ギブソン――。


元はストリング帝国――現在はストリング王国において名門ギブソン家の長子。


前の戦争末期に連合国に捕らえられ、現在は才能の追跡官(アビリティトレーサー)メンバーとしてエヌエーが班長している第二班にいる。


結成されたばかりの軍警察内で、最強と言われている男だ。


喚く二人を前に、マローダーは近づいていく。


そして、無表情のままその口を開いた。


「帰れ、ヴィラージュ。今日のところは見逃してやる」

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