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構え合うディスとラウド。


笑みを浮かべるラウドの口元のピアスが照明の光で輝く。


「パッと見で、能力なしでも身長体重ではラウドが少し有利かな?」


「ブルドラちゃん……。なんだかいってあなたも楽しんでるでしょ」


「まあ、僕も彼がどれだけやるのか気にはなっているからね」


ムムムと眉間に皺を寄せるリズムに、ブルドラが笑みを返す。


彼女も止めてはいても、やはり同じローランドの姓を持つディスがどれだけ強いのかに興味があったようだ。


リングで向き合う二人。


まず仕掛けたのはラウドのほうだった。


踏み込みからの閃光のような右ストレート。


ジャブから積み上げていくスタンダードな攻撃ではなく、いきなりノックアウトを狙うようなパンチだ。


ディスはこれはなんとか避けたが、ラウドの右が鼻をかすめる。


それから遅れて手を上げ、顔面を守りに入る。


だが、そこからラウドの猛攻が始まる。


凄まじい拳のラッシュがディスの意識を刈り取ろうと雨のように降り注ぐ。


心配そうにディスを見るリズム。


一方ニコは二人の上着を放って、「頑張ってディス!」と鳴いている。


ガッチリと身を固めていたディスだったが、先ほどかすめた右ストレートで鼻から血が流れ始めていた。


ディスは鼻から垂れる真っ赤な血を見ると、何故か口角を上げる。


それを不可解に思ったのか、ラウドがバックステップで距離を取る。


「気味が悪いね。そのツギハギ顔で血を見て笑われると」


ラウドはそう悪態をつくと、さらに気が付く。


それはディスの股間が膨らんでいることだった。


黒い制服はまるでテント張ったかのように盛り上がっている。


「君って……もしかして変態?」


血を見て股間を膨らませたディスを見て、ラウドが引きつった笑みを返す。


ディスはそんな彼に嫌そうに答える。


「こいつは治らない病気なんだよ。いいから続けよう」


「そうかいッ!」


そして、再びラウドの攻撃が始まる。


連打を続けながらも息一つ乱れない完璧な攻撃だ。


だが、それでもディスもすべてを両手で防御する。


「よくやってるけど、あれじゃダメだね」


ブルドラが呟く。


防戦一方だが、確実にラウドの攻撃を殺していたディス。


だが、次の瞬間――。


顔面を守ろうと上げた腕が掴まれ、そこへラウドの左膝蹴りが彼の脇腹へと突き刺さった。


笑みを浮かべながら呻くディスに、ラウドは右肘打ち。


そのままこめかみを振り抜く。


「ディスッ!」


叫ぶリズムと一緒にニコも鳴き叫ぶ。


ディスはそのままダウン。


マットに転がった彼を、ラウドが退屈そうな顔で見下ろしている。


「こんなもんか、同じローランドでもブルドラとは雲泥の差だね」

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