表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
274/415

271

ディスは能力――スイッチング·ブーストを解いてその場で足を止めた。


アバロンのほうも彼と同じくその場に留まる。


だがディスとは違い、アバロンはピックアップブレードを構えたままだった。


「もしかして、誘導されていたのか。まあいい……」


アバロンはそう呟くと、光剣を構えたままマローダーへ近づいていく。


ディスはそんな彼を止めると、マローダーへ声をかける。


「マローダーさん、会えてよかった。さあ、俺たちと一緒に行きましょう」


手を差し伸べるディスに、マローダーは黙ったまま近づいて来る。


彼は歩きながらも、持っていた柄のスイッチを入れてピックアップブレードの光の刃を出していた。


アバロンはディスを下がらせると、マローダーへと言う。


「帝国を裏切ったのですか、マローダー少尉?」


マローダーは答えない。


才能の追跡官(アビリティトレーサー)になって連合国軍に潜入していたあなたが……。ストリング王国、いや帝国の名門ギブソン家の長子であるあなたが……我々を裏切ったのですか?」


それでもアバロンは訊ね続けたが、マローダーはまさに問答無用といった様子で光の刃を二人に向けていた。


「答えろマローダーッ!」


ついに声を荒げたアバロン。


マローダーは歩を止めると、ようやくその口を開いた。


「俺は口では語らん。すべて剣で語る。お前ならよく知っているはずだ」


「我々と共に戦ったあなたが、どうして連合国軍についたッ!? イーストウッドにそそのかされたのかッ!?」


アバロンもまたマローダーの言葉を無視して叫び続けていた。


だが、マローダーはそれでも答えることなく、ブレードを構えて斬り掛かってくる。


アバロンはこれをブレードで防ぎ、二人の光の刃が重なった。


激しく散る光剣の火花。


その傍では、ディスは状況を整理していた。


元ストリング帝国――現在はストリング王国の代表、そしてパロマと共に連合国軍に参加したマローダーは、新設した組織――軍警察の才能の追跡官(アビリティトレーサー)に選ばれた。


だがアバロンの言葉から察するに、どうやらマローダーはスパイだったようだ。


しかし、マローダーはアバロンたちすら裏切り、今は連合国軍と帝国軍を指揮するイーストウッド側についているようだ。


「帝国の誇りを忘れたのか、マローダーッ!」


「忘れてなどいない」


激高するアバロンとマローダーの一騎打ちが始まった。


互いに機械化――装甲(アーマード)した身体で、激しくブレードを打ち合っている。


アバロンは思う。


たしかにマローダーの剣はストリング流の剣技だ。


忘れてなどいないといった彼の言葉は嘘ではない。


マローダーは未だにストリング人として、その剣に誇りを持っている。


剣で語るとはよく言ったもので、打ち合う剣筋からそれがわかる。


ならば何故――。


しかし、それがさらにアバロンの感情を揺さぶった。


「忘れていないならどうして……。私に……帝国に……刃を向けるッ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ