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朝の会議が終わり――。


新人であるディスに軍警察署内を案内するように頼まれたリズムは、不機嫌そうに廊下を歩いていた。


「リズム、何を怒ってるんだよ?」


「あんなことしておいて、なんでわかんないのよッ!?」


リズムがご機嫌ななめなのは、第二班の班長エヌエーの質問でのことだ。


まさか才能の追跡官(アビリティトレーサー)の会議の場で、しかも同僚や班長たち全員がいる前で、リズムに会うためにこの街に来たと公言するとは、思ってもみなかったのだ。


たしかにソウルミューが彼を保護し、それからしばらくの間は一緒に暮らしていた仲ではあった。


リズムも本音では彼のことが好きだが、あんな風に皆に知らせるように言われれば怒りもするだろう。


だが、ディスにはリズムが怒っている理由かわからない。


彼は、正直に答えただけなのにと、小首を傾げながら彼女の後についていくだけだった。


電気仕掛けの仔羊――ニコは、二人の後を追いながら複雑そうな顔で鳴いている。


「でも、いつまでも気にしててもしょうがないか……。よし! 切り替えていこうッ!」


パンパンと自分の顔を叩き、リズムはディスに積極的に署内の案内し始めた。


才能の追跡官(アビリティトレーサー)のビルとはいっても、簡易的ものに過ぎず、最上階が四階までしかない。


普段から班員たちか使っている部屋や施設だけの案内でいいと言われていたので、リズムはまずは食堂と大浴場をディスに見せた。


両方とも飾り気のない白い壁で統一された部屋だ。


食堂の料理は無料。


基本的に日替わり定食のみで、すべてドローンが作っている。


だが、味よりも栄養バランスに比重が置かれているため、班員たちからは非常に評判が悪い(シヴィル曰く家畜の餌)。


大浴場のほうは二十四時間使用可能で、当然男女に分かれている。


第三班(うち)は一軒家だからほとんど使わないと思うけど、一応ね。あッでもトレーニングルームで汗を掻いたときには使うかも」


「トレーニングするところまであるんだ」


ディスが興味を持ったように見えたのか。


リズムは第三班に与えられているフロアよりも先に、トレーニングルームへと彼を連れていく。


トレーニングルーム内には、トレッドミル・ルームランナーやクロストレーナー、ステアクライマーなどの有酸素運動器具。


さらにはアブドミナル、チェストプレス、ラットプルダウン、ショルダープレス、レッグプレスなどの筋肉トレーニング用まで様々なものが用意されていた。


「どう、スゴいでしょ? ここにあるものは班員なら二十四時間いつでも使っていいんだよ」


目を輝かせて言うリズム。


彼女は暴力は嫌いなのだが、身体を鍛えることは大好きなのだ。


それはパロマも同じで、第三班の筋肉ガールズと、他の班からは敬意と親しみを込めて呼ばれている(二人とも喜んでいないが)。


ディスがトレーニングルーム内を見渡すと、端のほうにリングが見え、トレーニングウェアに着替えた班員たちが集まっていた。


「あれは組み手だよ。スパークリングって言ったほうがいいかな? でも剣での試合もあるからなんて言えばいいんだろう?」


リズムが頭を悩ましていると、リングから二人に声が掛けられる。


「よう、お二人さん。よかったら一試合やっていかないか?」

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