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急速に変わっていく筋肉と骨が、メキメキと鳴ったかと思うと、今度は金属同士がぶつかり合う音へ変化していく。


破かれた服の下に見える皮膚も、そしてその綺麗な顔にも白い鎧甲冑のような装甲が覆い始めていた。


今のパロマの姿は、酷く中途半端で、まるで人工皮膚が剥がれてしまったサイボーグのようだった。


メディスンはパロマの姿を見て驚愕する。


「まさか、あれはマシーナリーウイルスの暴走ッ!? 機械人形(オートマタ)ッ!?」


彼が声にした機械人形(オートマタ)とは――。


マシーナリーウイルスに完全に侵食された状態のことだ。


元々マシーナリーウイルスは、アンとローズのテネシーグレッチ姉妹以外の人間にとってコントロールできるものではない。


それを可能にしていたのは、濃度を調整し、ギリギリところでウイルスの人体に与える影響を押さえていたからだった。


だが、パロマはアンプリファイア・シティに来てからウイルスの濃度を上げ、すでに彼女の身体は(むしば)まれていた。


これまでも力を得ようとした結果――。


自我を失い、機械人形(オートマタ)へとなってしまった者が多くいたが。


パロマもまさに、その一歩手前の状態になってしまっていた。


マローダーがその小さな傷まみれの顔で呟く。


機械人形(オートマタ)か。こいつは少々厄介そうだ」


「ウオォォォッ!!」


ストリング帝国の科学者たちが開発した、人体を侵食する細菌。


このウイルスは、体内で一定の濃度まで上がると成長し、宿主の身体を機械化する。


機械化したものは、人体を超えた力と速度で動けるようになるが、宿主は自我を失い、完全なる機械人形へと変わってしまう。


メディスンは改めてそのことを思い出していた。


「ノピア……彼が以前に言っていたな……。マシーナリーウイルスは、感情の高ぶりに反応する。特に痛みや憎しみなど感情の激しい揺れがスイッチになると……」


パロマはデジタルな咆哮をあげ、マローダーへもの凄い速度で突進していく。


マローダーがブレードを握り直すと、彼女は回転しながら彼へと襲い掛った。


そして、人間技とは思えない動きで衝突。


マローダーはなんとか押し返すが、それでもパロマは止まらない。


まるでシステム化された機械のように、ただ単調な攻撃を繰り出していく。


だが、それでも凄まじく速い。


マローダーは反撃の機会を(うかが)っていると――。


「こちらマローダー。……あぁ、予定通りに赤い開拓者レッドパスファインダーは片付けた。あとは才能の追跡官(アビリティトレーサー)だが……ッ!? そうか……了解」


突然何者からか連絡が入り、強引にパロマを吹き飛ばして天井近くにあった通路へと跳躍。


何も言うことなくその場から去っていった。


敵はいなくなったが。


パロマは咆哮をあげ、次にメディスンたちのほうへ視線を向ける。


「不味い……不味いぞこいつはッ!」


メディスンは気が付いた。


今のパロマは敵味方の区別がついていないことに。

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