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――そして、次の日の朝。


いつものように朝食の準備をしていたリズムのもとへ、ディスとニコがやって来る。


「おはようリズム。おッ、なんだ朝ごはんを作るなら昨日言ってくれればよかったのに」


「おはよう……。これはアタシが好きでやってるから気にしないで」


挨拶を交わすも、リズムはまだ少しだけ不機嫌そうだ。


そんな彼女を見て、ニコが不安そうに鳴いている。


だか、ディスは昨日から変わらぬ笑みを浮かべ、リズムに何か手伝えることはないかと言っていた。


そう言われたリズムは、小さくため息をつくと、もうすぐできるから座って待っていてくれと返事をする。


それからぞくぞくキッチンに人が集まり、シヴィル以外の第三班、ブラッド班のメンバーかテーブルに着いた。


リズムが朝食を皆に運ぶ。


ディスとニコも彼女を手伝っていた。


「なんだよリズム? 昨日仕込みがどうとか言ってたから、皆でどっか食いに行くつもりだったのに」


ブラッドがリズムにそう言うと、彼女は答えた。


食事はなるべく自炊し、栄養バランスを考えて節約をするべきである。


外食もたまには良いが、毎日続けば栄養が偏り、浪費にもなるため、時間があれば控えるべきだと主張した。


リズムの発言を聞いてパロマが言う。


「栄養バランスを考えるなら、プロテインとかビタミン剤で良いじゃないか? 現にストリング王国では皆そうだったぞ」


「でも、それじゃ味気ないでしょ? 食事の時間は栄養補給だけじゃなくて楽しむものでもあるんだから」


「そんなものか? 私は時間効率を考えたらそっちのほうが良いと思うが」


「イヤだ。そんなご飯シヴィルはイヤだ」


パロマがリズムに言い返すと、いつの間にか席に着いていたシヴィルが口を挟んできた。


灰色髪の幼女は、早速運ばれてきたトーストとオムレツを食べながら言葉を続ける。


「パロマのいうディストピア飯は地獄……。シヴィルはリズム姉のご飯がいい。リズム姉、おかわり」


「嬉しいこと言ってくれるじゃない。オッケー、まだまだあるからジャンジャン食べてね」


リズムが笑みを浮かべてオムレツとトーストの山をシヴィルの前へと運ぶ。


それを見て、パロマとムドが呟く。


「ディストピア飯とはなんだ……?」


「浪費を抑えるも何も……。この量を食ってたら店の食べ放題のほうが安上がりなんじゃねぇか……?」


顔をしかめる二人もトーストにバターを塗り、付け合わせのサラダとオムレツを食べ始めていた。


「よしッ! じゃあ、食べながらでいいから聞いてくれ」


そして、ブラッドがトーストを咥えながら皆へ声をかけた。


食べながらで良いと言って、誰よりも実践して見せる班長の姿に、パロマ、ムド、ニコらが呆れている。


「全員もう知っているけど、昨日から我が第三班に配属となったディス·ローランドだ」


朝から大声で話すブラッドを無視して、皆黙々と食事を続けている。


だが、次に発せられた一言で、全員の手が止まった。


「ディスはこう見えても、あの前の戦争の功労者、ソウルミュー・ライクブラックの弟子なんだぜ」

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