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――自動運転車から降り、目の前の建物へと入って行くディスたち。


出入り口にあった強固な門は錆びており、朽ち果てた廊下を進むと至るところに鉄格子が付けられた部屋が見える。


おそらくここは古い収容所施設だろう。


今どき鉄格子のようなアナログもので閉じ込めるような設備は、この時代には博物館にしかない。


さらに奥へ進むと広い空間へと出た。


運動場というわけではないようだが、鉄格子に付いた部屋は一つもなく、見上げれば高い天井と左右に広がった大広間のような場所だ。


そこに深い青色の軍服を着た人物たちが立っていた。


その背にはストリング帝国の旗――バイオリンに音符が絡み合う国旗に薔薇が散りばめられている紋章が見える。


コーダ·スペクター、アバロン·ゼマティス、ネア·カノウプス――ストリング帝国を名乗る将校たちだ。


「予想よりも早かったな」


アバロンがそう言うと、ブルドラが前へと出た。


彼女が返事をしようとすると、アバロンの隣にいたコーダが先に口を開く。


「ようディス。久しぶりだな。オレンジ·エリア以来か」


「あなたは……?」


ディスはコーダに気が付くと、そのツギハギだらけの顔をしかめた。


「帝国の人間だったんですね。コーダさん」


「あぁ、まったく因果なことだよなぁ。お前のこと結構気に入ってたのによぉ」


「……リズムを攫った奴の仲間なら、お世話になったあなたでも許さないッ!」


声を荒げたディスを見て、コーダはため息をつく。


ネアはそんな二人を交互に見てからニッコリと微笑んだ。


「なにコーダ? オレンジ·エリアでナンパでもしたの? 相変わらず手が早いね」


「いってろ変態。ちょっと道探しを手伝っただけだよ」


からかうように言ったネアに、コーダは冷たく返事をすると、アバロンが二人を一瞥。


ネアとコーダはハイハイと言わんばかりに目を逸らす。


そこで、ようやくブルドラが口を開く。


「約束通り来たぞ」


ブルドラは、家に残されたデバイスに映っていた――赤いメッシュの入った白髪の少女がいないことに不信感を覚えたが、話を進める。


何故指定されたのが自分とディス二人なのかは検討がつく。


それは、自分たちがドクター·ジェーシーが造った改造人間――ブレインズだからだろう。


だが、今はリズムとパロマの救出が最優先だ。


「指定通りに私とこのディス·ローランドがな。さあ、二人を返してもらおうか」


「あぁ、約束通りに二人を返そう。だが、その前にお前たちに客が来たようだ。返すのはその後だな」


「客だと?」


ブルドラが疑問を口にすると、別の通路から足音が聞こえてきた。


そして、その場にいた全員が足音のするほうへ視線を向けた。


そこには、真っ赤なシルクハットに同じく赤い燕尾服、そしてガスマスクをした集団を連れた幼女と厚着をした少年が立っていた。


「ヴィラージュに、それとリトルリグ? どうしてお前たちがここに?」


ブルドラが声に出すと、赤い開拓者レッドパスファインダーを連れた幼女と少年は彼女たちを睨んでいた。

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