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最初の印象――。


このツギハギだらけの顔をした少年が、班員たちの前で、自己紹介をしたときから普通ではないと思っていた。


才能の追跡官(アビリティトレーサー)のすべて人間が見ている中で、ディスは志願した理由を、一人の少女の傍にいたいからだと発言したのだ。


だが、それでもまだ、突拍子もないくらいの奴で済んでいたのだが。


他人の協力を得るために――。


守りたいという少女のために――。


命令違反の罪をすべて被り、殺処分されるのも覚悟でこんなことを言うなど、狂気の沙汰以外何者でもない。


ブルドラがそう思っていると、ラウドは彼女の肩をポンッと叩く。


「ここまで言ってくれてるんだ。手伝ってあげようよ」


にこやかに、というよりも嬉しそうに言うラウド。


そんな彼に続いてシヴィルも口を開く。


「ここにいるみんなでなら、リズム姉とパロマも救える……。シヴィルもそう思う」


そして頭を抱えていたムドは、そんな二人を見て声を張り上げる。


「あぁぁぁックソッ! そこまで言われたら手を貸すしかねぇじゃねぇかよッ!」


ラウドとシヴィルに続き、ムドはディスに協力すると言い出し、ブルドラは覚悟を決める。


自分だって二人を救いたいのだ。


それに、すべてディスのせいにしなくても、きっと良い方法がある。


なんといっても自分たちの直属の上司はメディスン・オーガニックなのだ。


(大丈夫……。あの人なら絶対に僕らが何をしても見捨てない……)


ブルドラはそう思うと、ようやく口を開いた。


「僕もハイワット・エリアに行く。だけど、それには条件をつけさせてもらうよ」


ブルドラは、自分たちの現状をメディスンにだけは報告することを条件とした。


ディスは別に構わないと、彼女の条件を受け入れる。


それからブルドラに、急ぐのだとしても最低限の準備はするべきだと言われ、各自家にある弾薬や電磁波供給用のカートリッジを集めることに。


「よし、ではハイワット・エリアに向かうとしよう」


再び玄関に集まり、ブルドラがそう言ったとき。


遅れてやってきたニコが鳴いて皆を止める。


そして、その小さく短い手には、パロマの愛刀である夕華丸(ゆうかまる)が握られていた。


「そうだね、ニコ。この子もパロマのところへ連れていってあげないとだね」


ニコがコクッと頷いて鳴いて返した。


そして、全員で外へ出て手配した自動運転車に乗り込む。


目的地をハイワット·エリアに設定し、ブルドラがメディスンへメッセージを送る。


「なんか熱い展開なのに、全然そんな空気じゃない……」


「言い出しっぺがあんなんじゃしょうがねぇだろ」


車が発進し、シヴィルがそう言うと、ムドが皮肉っぽく言った。


ディスは自分のことを言われているとわかっていても、気にせずにリズムのことを考える。


(リズム……絶対に助けるからね)

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