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それからディスたちを乗せたトラックはハイウェイを抜け、ヴォックス·エリアへと入った。
そして、ヴィラージュが知らされていたこの区域の中心街へと辿り着き、その惨状を目にする。
「これを、あの子がやったの?」
ディスが他の班員たちへ訊ねた。
彼らの見た街の光景は、建物や石畳の道が氷で覆われており、赤い燕尾服にシルクハットとガスマスクをした赤い開拓者たちも、まるでオブジェのように氷漬けになっているものだった。
停車してあった車も氷塊に押し潰され、凍らされたまま砕かれたバラバラの死体も見える。
トラックから降りたメディスンが荷台へと近づき、ディスに答える。
「あぁ、これは氷の抱擁……。リトルリグの能力だ」
厚着をしている少年――リトルリグが持つ力である氷の抱擁。
対象を凍らせるまで体内水分の温度を下げる能力だ。
さらに空中の水分も凍らせることも可能で、氷塊や氷の弾丸を放ったりもできる。
その惨状を見て荷台から班員たちが降り、銃剣付き拳銃――バヨネット·スローターを握って周囲を警戒しながら街を進んでいく。
氷が道標となっていると思われ、それを追っていけばリトルリグに辿り着ける。
「ラウド、ヴィラージュに我々が到着したことを伝えてくれ。あまり期待はできんが、協力してリトルリグを捕らえる」
「いやね、メディスン班長。ヴォックス·エリアに入ってからずっとやってるんですけど、応答がないんですよ」
「戦闘中ってところか。とりあえず、我々は氷を追っていくぞ」
全員が了解と返事をし、陣形を組んで街を進んでいく。
進むたびに氷漬けにされている赤い開拓者たちの数が増えていた。
そして銃声が聞こえ始め、リトルリグと赤い開拓者たちに近づいていることを理解する。
「メディスン班長~。リトルリグを見つけたらどうすればいいんですか? 問答無用でやっちゃう?」
「無駄かもしれんが、私が話し合いをしてみる。何か理由でもない限り、こんな真似はしないだろうからな」
「あらら、そりゃ班長らしい。でもまあ、どうせ戦うことになると思いますけどね~」
ヘラヘラと言うラウドを無視して、メディスンたちが進んでいくと、赤い燕尾服を着た集団に囲まれている厚着をした少年の姿が見えてきた。
赤い開拓者たちとリトルリグだ。
赤い開拓者たちは一斉に拳銃を撃った。
だが放たれた弾丸は、突然現れた氷の壁によって防がれる。
そして、リトルリグは路面を凍らせて滑りながら向かって行き、彼を囲んでいた赤い開拓者たちに触れ、氷漬けにしてその身体を粉々に砕いた。
メディスンはその様子を見て、息を飲む。
「予想以上だな……。全員この場に待機。さっき言ったように、まずは奴と話してみる」
そして、メディスンは背を向けているリトルリグへと歩を進めた。




