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ハイファとライザーがライフルの引き金を引く。
二人が使用しているのは自動装填方式――オートマチック式なのだろう。
無数の銃弾が放たれ、リズムへと襲い掛かる。
リズムは光を纏った両手で円を描き、それを弾き返すと、一気に二人との距離を詰める。
「アタシの距離……もらったよッ!」
二人が並んでいるその間へと飛び込んだリズムは、独楽のように回転して蹴りを放つ。
ブレイクダンスを彷彿とさせる動きでハイファとライザーは吹き飛ばされた。
だが、ダメージはない。
リズムが飛び込んで来ることがわかっていたのだろう。
吹き飛ばされながらもしっかりと防御の姿勢を取っていた。
「くッ!? なんて威力だ……。ガードしていても効くッ!」
「でも、やっぱり頭悪いよ。こっちが何も考えず銃を撃っただけと思ってるなんてさ」
後退させられ、ハイファはリズムの蹴りの威力に表情を歪めたが、ライザーのほうが彼女を小馬鹿にしていた。
パロマが叫ぶ。
「後ろだリズムッ! 銃弾はまだ生きているッ!」
先ほどハイファとライザーが撃った銃弾は、リズムに向けて発射しただけではなかった。
食堂にあったパイプ椅子に当たって弾かれ、それがリズムの背中から肩口を貫く。
「狙ってやったのッ!?」
リズムは驚愕しながら態勢を崩した。
今のように当たった後に弾かれる銃弾のことを跳弾という。
もっと細かくいえば、跳弾は目標などに当たった後に、当たった場所から弾き飛ばされる弾のことだ。
特に固いものに当たった際に起こりやすく、銃弾の威力そのものが目標の破壊以外に使われてしまうため、威力自体は落ちしてしまうというデメリットがある。
弾かれたときの変形や破片化、横弾などにより銃創の治療が面倒になる可能性があるため、非常に厄介な現象でもある。
また、薄い金属板や砂地の地面でも角度によっては跳弾し、顔や手を出していれば破片化した銃弾を浴びてしまう可能性があるため、銃撃戦の際に遮蔽物を利用する際には注意が必要となる。
威力が落ちていても、骨などに当たり体内で跳弾することで本来致命傷とならない箇所への着弾が命に係わる場合も考えられる。
オレンジ·エリアでもそうだったが、ハイファとライザーは跳弾を利用した射撃が得意のようだ。
「装甲ッ!」
パロマはその場に崩れたリズムのもとへと走り出した。
機械化し、銃弾を警戒しながらハイファとライザーの前と飛び込んでいく。
「当然そう来るよね。ライザー、あなたはパロマ·デューバーグを、ワタシはリズム·ライクブラックに止めを刺す」
「了解」
それをわかっていた二人は、それぞれの標的に狙いを定めた。




