可愛くて、つい*
地元の神社の夏祭り。
屋台は自治体の子供会が執り行っていて、正直パッとしないものばかりだ。
夜も八時半には終わってしまう。
小学生の頃ならいざ知らず、中学生になった今となっては友達たちと誘い合う気にもならない。
けれども、最後の15分だけ上がる花火はそれなりに楽しみな訳で。
今年も観に行くことになった。
隣に住んでる、幼馴染みと。
特に待ち合わせた訳ではない。
今日の帰りに学校の廊下ですれ違った時、「今年も花火観に行く?」「行くよ」と世間話をしただけだ。
そうして今、祭りに行こうと家を出たところで、その幼馴染みが立っていた。
紺地に白い朝顔の浴衣を着ている。
普段はふたつに結んでいるだけの髪をまとめ上げているのが、妙に大人っぽい。
いや、かわいい。すごく似合ってて、目のやり場に、困る。
「…………」
「……なによ、何か言いたいことがあるなら言えば?」
いつもの突っかかってくるような言葉さえ、可愛く聞こえて、本当に困る。
「浴衣、可愛い」
お陰で、脳内ダダ洩れ状態でそのまんま口に出してしまった。
しかも片言か。だせぇな、俺。
「浴衣が可愛いの?」
ちょっとムッとした声すら、、可愛い。
どうなってんの、お前。そんなキャラじゃないだろ。
もっとこうさ、ツンツンしてんじゃん。いつも。
「着ている君が可愛いです!!!」
「よし!」
満足げに笑った君が、めちゃくちゃ可愛い。
「それでさ」
つい浮かれて、すっと耳に寄せ問い掛ける。
「シね★」
ぼかっと腹にパンチを喰らった。
予想通りの反応に、笑う。
真っ赤になって怒る君は、更に可愛い。
たぶんきっと、夏が終わっても、ずっと可愛い。
どうしよう。こんな変態な言葉で、自分の心に気が付いてしまった。
『ねぇ、それでさ。それってやっぱり履いてねぇの?』
#ノーパンの日
8月20日はパンツゼロでノーパンの日なんですってー(笑)