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恋をする  作者: 喜楽直人
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恋人の日



 休日のお出掛け。

 車の助手席から眺める窓の外を、見覚えのある風景が流れていく。


「ねぇ、ここってさ。昔、道に迷って入り込んだ場所じゃないか?」


 運転席で夫が小さな声で笑ってる。


「私も。今そういおうと思ってた」



 あの頃、私の定位置はバイクの後部座席だった。


 カーナビもないし、地図をみても今いる場所がわからなくて。

 結局、コンビニで道を聞いて戻った。


 今、後部座席には子供が寝てる。



 今だけ少しだけ、ふたり恋人に戻ろう。



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