第一章【最高神ユガ】
「はぁ。またお前か」
雲の椅子に腰掛け、怪訝な顔で俺を見るのは
神だ。
この世界の最高神、ユガ。
とても綺麗な顔立ちだが性別はない。
「悪かったな、俺で」
「私に気軽に会いに来ようとするのはお前ぐらいだからな。」
ユガはふっと微笑むと、まぁ座れと私にも椅子を勧めてきた。
「早く行きたい。」
「はぁ?」
「俺を飛ばせ。」
「…意味が分からん。」
「お前なら分かってるだろ。」
「…束縛が酷い男は嫌われるぞ。」
俺から目を逸らすと、ユガはカップに紅茶を注いだ。
「束縛じゃない。運命なんだ。」
「はっ!人間の分際で?運命?馬鹿馬鹿しい。」
ユガは空いている手をヒラヒラと振る。
そんな物はないと言うように。
「人間だからだろ。」
俺はおもむろにカップに手をかけると、ぐいっと飲み干した。
「お前ら神なんて、どうせ人の生活覗き見するぐらいしか能がないんだろ?」
その言葉に、コップに紅茶を注ぐユガの手がぴくりと反応した。
「お前ほど無礼な人間は初めてだな。あと、さっきの紅茶は私のだからな?」
ユガは冷たい眼で俺を一瞥すると、同じようにグイッと紅茶を飲み干した。
「…神の力を見せてやるさ。」
「…そしたら俺はちゃんと神を崇めてやるよ。」
「孫子の代まで崇めさせてやる。」
ユガが飲み干したカップをそっとテーブルに置くと、おもむろに俺に近寄り、おでこをそっと小突いた。
冷たい笑顔で。
その瞬間
俺の体は、凄まじい力で何かに吸い寄せられるように飛ばされた。
苦しい。
息が出来ない。
これが神の力…