プロローグ【神を畏れず】
「王子!本気ですか!?」
「あなたは神を冒涜する気か!」
「何が神だ!その神のせいでオレはこんな事に…!」
王子は大きな魔法陣の中央に立ってしまった
「…分かりました…。お供します。」
「な!?ラグマ殿正気ですか!?」
「王子に何かあったら、王に何と申し開きするのですか?」
「む…それは…」
みんな口をつぐんでしまう
「…ラグマ。無理をするな。お前にはシャラがいる。シャラを悲しませるな。」
こういう時の王子は、男の俺でも惚れそうな程綺麗に微笑む。
「…シャラなら分かってくれます。」
「ダメだ。1人で行く。」
「なりません!!!」
「…俺はシャラの気持ちが分かるんだ。…だから残ってくれラグマ。」
王子がトンと私の肩を優しく押した。
鍛えている私なら、軽く押されたぐらいではふらつかない。
そのはずなのに、私の体は驚くほど吹き飛ばされた。
…風だ。
風魔法を使われた。
強かに壁に打ちつけられ、みんなが「ラグマ殿!」と駆け寄ってくる。
「…くっ」
左肩を押さえながら、なんとか顔を上げると、大きな魔法陣は強力な光を放ち、消えてしまった。
「王子!!!」
消えゆく王子は確かに、微笑んでいた。