抑圧の世界
~1日目~
「...」
目が覚め気付くと、小さな部屋のベットに寝ていた。
ゆっくりと腰を上げベットに座り込み考え込み状況を整理しようとするが、何も思い出せない。
自分がどうしてここにいるのか?自分が今まで何をしていたのかも、親の名前、出身地も思い出せない。
ただわかるのは、誰かからユーという愛称で呼ばれていたというだけ。それが女性なのか男性なのか。
どこの国の人間かもわからない。
悩み考え視線を四方に向けると石レンガに囲まれていた。そして天井見ると石レンガに囲まれるように小さな小窓がありそこから外の光が一筋差し込み、左右と下の石レンガには小さな鉄格子が備え付けられ自分と同じようにベットに座り込んでいる。
「ここから出ないと」
ユーはこの状況下に危機感を感じとり目の前の鉄のドアに近づき、ドアノブを手に取る。しかしいくら引っ張ったり回しても開くことはない、鍵がかかっているのだ。
ドアノブを必死に開けようとしている中、ドアの向こうから足音がする。チャンスだと感じドアを叩きながら訴える
「そこに誰かいるの?ここから出してくれ」
そうすると足音が止まり太く低い男性のような声が響き渡る
「うるさい、黙れ。おまえが望んで入ったんだろ。恨むなら過去の自分を恨め」
ドア越しに聞こえる相手の言葉に疑問を感じた。
望んで入った?過去の自分?記憶がないという事もあり、ドア越しから聞こえる相手の言葉の意味がわからず途方にくれるも後方から声が聞こえた
「おい、おまえ、そいつに何を言っても無駄だぞ」
声を頼りに横を見ると、鉄格子越しにこちらを覗き込む、ここに収容された人間だった。
~続く~