後書き
後書きですったら後書きですってば。
本編の内容とはあんまり関係ありません。と言うか本編ではないので悪しからず。
というわけで、おはようございます、こんにちは、こんばんは、作者の竹内すくねです。
この度は「そこにカイロスがいるか?」 を読了して頂きまことにありがとうございます。読み終わっていなくても、後書きから目を通す方もいらっしゃるかもしれませんが。
さて、どうして最終話に後書きをくっ付けなかったのかと言いますと、まずは最後の辺りを書き終わったところで及ばず力尽きてしまったのです。次に、何を書けば良いのか、そもそも何か書くべきなのか。頭の中がまっさらさら、真っ白けになってしまいました。丁度良い冷却期間だったかもしれません。少なくとも、ほんの少しだけは客観的に自分の書いたものを見る事が出来たと思います。何より、なけなしの本編の余韻を僕なんかの拙く汚い文章まがいの駄文で邪魔したくはありません。
作品、と言う言葉を自分に対して使うのは好きではありません。何だか、僕が凄く偉そうで、僕の書いたものが凄く良さそうな感じがするからです。だからと言って、僕は決して偉くもないですし、僕の書いたものが良いとも思えませんけれど。でも僕以外の人に言ってもらえるのは嬉しかったりします。歪んでますね。
前置きが長くなりましたが、この作品――ではなく、小説まがいの「カイロス」についてちょっとだけ書いておこうと思います。
・主人公について
いわゆる『僕』でしたね。一人称の主人公としてはありがちな、しかし書き易く、読者の方も(ただし男性に限るかも)自己投影しやすいかなーなんて、いやらしい気持ちから主人公の名前は終始伏せさせていただきました。
・死神について
元ネタはあります。と言うかタイトルです。髪の毛がもっさーとしてるのも、男だか女だか分からない曖昧模糊とした感じも、モチーフとしたとある神様から僕が受けた勝手なイメージです。偽物で偽者でしたけどね。死後の世界とは、正体は、とか、彼女については隠し事が多過ぎました。まあ、タイトルでバレバレなんですが。カイロスね、カイロス。くわがたじゃない方です。
・明石つみきについて
最初の頃はもっとかっこよくて可愛く書きたいなんて思っていたんですが、いつの間にやら僕の好きなお姉さん然とした子になってました。彼女はもっと上手い事出来たのに。ちなみに、明石と言う苗字は地名からきております。勘の良い、もしくは近畿圏にお住まいの方はピンと来たかもしれませんね。
・七篠
当初の意に反して、何だかとんでもない奴になっちゃったというのが本音です。クールな後輩、敬語で軽蔑。そんな子だった筈なのに。しかも、人気まで出ちゃいました。元ネタは、分かる人には分かるでしょう。名前の由来は名無しの権兵衛、ななしの、から。
・舞子さん
全ては書けなかった子です。一人称なので仕方ないと言えば仕方ないのですが、彼女の心情、置かれた現状、変わっていく気持ちを描写しきれなかったのが残念でした。いきなりイレギュラーとして担ぎ出された感はありますね。ちなみに、舞子さんの役割についてなのですが、明石さんと対比させたかった、という狙いがありました。一応、名前も近いですしね。明石と舞子。イレギュラーにされた彼女でしたが、本来の舞子眞唯子は良い子です。委員長こと明石さんに憧れていたり。『あたし』が『私』に変わっていたり。読み返してみると、新しい発見もあって面白いですね、と、自画自賛。
そんなこんなで本当に終わりです。綺麗さっぱり、美麗で壮大な大団円とはなりませんでした。グッドエンドやらハッピーエンドとは呼べないかもしれません。更に言うなら、僕にとっての「カイロス」は終わってしまいました。が、登場人物たちには明日があります。彼らにとっては何でもない、ただの一日で、とてもとてもエンディングとは呼べない出来事なのです。
そして、もっと大事な事が一つ。カイロスは僕の手で終えさせた。そう断言するのが非常に難しい件について、です。お話を作った者としては恥ずかしい限りなのですが、キャラクターは僕の手をとっくに離れていたんです。作ったのは、最後まで物語が進んだのは読者の皆々様、皆様のお陰なのです。あなた方がいたから、無事に完結したのです。そうとしか考えられません。完結おめでとうございますと、そういった類のお言葉を頂きました。なので僕も皆さんに一つ。おめでとうございます。完結、ありがとうございます。