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死後の世界



 目を開ければ、そこは。

「おっはよーモーニング! 良く眠れたか? 寝覚めの一杯はどうだ、おい?」

 朝から(ここの時間がどんなものかは知らないが)エンジン全開だなあ。

「一杯って、何を出してくれるんですか」

「うーん、何も考えてなかった。鼻を殴ったら血を一杯出せるかもしんねーなあ」

「自分の鼻を殴っといてくださいね」

 見切り発車に付き合ってしまった。と言うか、死神さんはいつもこんな感じである。

「そーいや、今回は珍しいよな」

「何がですか?」

「お前が死ななかったろ」

 ああ、そういう事か。最近じゃ僕一人が死んでいたっけ。

「えーと、今回死んだのはチビか。ふんふん、家具の下敷きになって蛙みてーにペッチャンコ。大間抜けだな。いや、けど下敷きか。マジにチビをプリントした下敷きにして売り出すか。んでクリアファイルやキーホルダー、絵柄は使い回しで。グッズといや文房具だもんな、やっぱ」

 何がやっぱりか分からない。

「ミスっちまったけど中々面白かったぜ。看板とか一発でクリア出来たじゃねーか。こりゃ、次でイケるんじゃねーのかよ」

「たまたまだと思いますけど」

 七篠がいなければ、僕は一も二もなく死んでいただろうし、次も同じ事が出来るとは思わない。

「そういえば、二人はまだ眠っているんですか?」

「おー、そーだよ。ま、ほっといても起きるだろ」

「ですね。ところで死神さん、前から気になっていた事があるんです」

「気に……あー、おいおい皆まで言うなよ。どーせオレの事が気になっちまったって奴だろ。仕方ねーよなあホーケーのドーテー君は」

「ボク オマエ キライ」

「てめー片言使ってんじゃねーぞ!」

 使いたくもなる。話を聞かない人は嫌いだ。

「僕が気になってるのはチャレンジについてです」

「そりゃてめー当たり前だろ。気にしてないなんて言ったら刈り取るからな」

 何を。

「じゃなくて、前から抱いてた疑問、と言うか違和感なんですが。その、テロリストっておかしくなかったですか?」

「はーん?」

 死神さんはノートを閉じて僕を見る。表情は窺えないが、声色からして馬鹿にしている風だった。

「逆に聞くけどよ、真っ昼間からガッコーで銃ぶっ放す連中をおかしくないって言えんのかよ?」

「じゃなくて、チャレンジの中でもおかしなフラグ、イベントだと思いませんでした?」

「……どーゆー意味だ」

「今までに起こった、僕の死因を思い出してください」

 死神さんは小首を傾げる。絶望的に可愛くなかった。

「えーと、まず車だろ。んで植木鉢。もっぺん車。野球のバットにボール。そんで、えーと」

「ナイフで二回刺されました」

「あー、あのデブな。パッツンが来たのはこの辺か。ふーん、なら次は蜂、だったっけ」

「ええ。その前に保健室で殺されましたけど、あれはテロリストに数えましょう」

 こう、改めて並べていくと間抜けなフラグだな。死んじゃう僕も僕だけど。

「蜂の後は、実験室でガス爆発ね。ありゃ派手だったなあ」

「昼休みになったら犬に噛まれたり七篠に突き落とされたりしましたね」

「で、午後はテロリストと。いやー、充実してんなー、リア充だなお前。良かったじゃん」

「その後は一旦学校から逃げ出そうとして、電車で事故、隕石だとかで死にました」

「あー、そんなんもあったっけ」

 ありました。忘れたくても忘れられないよ。

「テロリストをクリアしたら、犬に噛まれて地震雷火事おやじです」

「ふーん、じゃ後見てねーのは溺死とかか」

 どんなに死のうが、溺れ死ぬのだけは回避してやる。水辺には近寄るまい。

「で、死神さんは何か気付きませんか?」

「いやー、お前のノートのページはいつ見ても破産惨状だよなー」

 ふざけてんのかな、この人。

「色がね、違い過ぎると思いませんか?」

「……色、ねえ」

「テロリストとそれ以外のフラグでは性質が違うと思いませんか? 死神さん、あなたなら、僕らを離れて見ていたあなたなら何か気付きませんか?」

 前々から思ってはいた。しかし口には出せなかった。思い過ごしであるなら、それに越した事はない。余計な不安は抱えたくないし、無駄な混乱をチャレンジャー同士で共有もしたくなかったのである。だから、まずはあなたにだけ告げたんだ。

「まだ、僕も曖昧なんです。何か変だと思っていながら、何が変なのかが分からない」

「変、か。あー、先に言っとくけど、オレに期待はすんなよ。何せ最近はテキトーに見てたんだからな」

「構いません」

 そうかと頷くと、死神さんは髪の毛をばさりと振った。一瞬でも素顔が見られるかと思ったのだが、ガードは無駄に固かった。

「じゃ言うけど、理不尽じゃねーよな」

「……理不尽、ではない?」

「車が急に飛び出したりよ、植木鉢が上から降ってきたり、バットとボールが飛んでくる。こりゃ、理不尽だよな。背中や腕だとか、第三の目が付いてねー限り初見じゃ難しい。特に、お前みたいな間抜けじゃあな」

 蜂が入ってきたり、犬が噛み付いてきたりも同じようなものだろう。僕は頷いた。

「世界が仕掛けてきたもんだから仕方ねーっちゃ仕方ねー。世界を歪めようとしてるお前らを殺すのにまともな理由も道理も必要ねーもんな」

「ええ、そうでしょうね」

「で、クリアするには大抵回避すりゃ良かった。例えば、車に轢かれんなら……その車が通る場所を避ける。その車が通る時間を避ける。すげー簡単じゃん、種さえ知ってりゃアホでも楽勝楽勝、超余裕ってな寸法よ」

 馬鹿にされている気はするが、彼女の言っている事に間違いはない。僕は、僕らはそうやってきたんだから。

「ただ、爆発ん時は別だな」

「ああ、あの実験室の」

「あれに手間取ったのはパッツンのせいだからな。テロリストとは別物だろーよ」

 明石さんが中華さんを救いたかったから、ああやったのである。クリアするだけなら実験室に行かなければ良い。だけど、自己満足大いに結構だ。今の僕でさえ、彼女以上の案が浮かばない。

「あー、何となく分かってきたぜ。つまりよ、お前らは突然突如特許許可局やってくるフラグに殺されて、それを避けてクリアする。次のフラグに進んでいく訳だ。アクションゲームだよな、何度もやりゃあコツが掴めてくるし、ステージのパターンも見えてくる」

「ゲームと言われちゃ、何だか複雑ですけどね」

「物の喩えだ。一々気にしてちゃ長生き出来ねーぜ。ん、じゃあテロリストはどーだ?」

 いつのまにか立場が逆になっている。質問していたのは僕なのに。

「……だから、テロリストだけおかしいのは気付いてますってば」

 何がおかしいのかが分からないから聞いてるのに。

「良し、お前らテロリストはどーやってクリアした?」

「どうって……」

 テロが行なわれる前に止めたんだ。テロリストの正体を突き止めて、脅されていた先生を、ユウキちゃんを助けて、手紙を渡して、それで。

「めんどーくさくなかったか?」

「え?」

「鈍い奴だな。だからよ、今までならそんな事せずに済んだろ。ちっとだけ頭と体を捻ったりすりゃあ良かったんだ」

「……そう、言われれば」

 そう、か。段々と、と言うか、もう分かってきたぞ。

「もっと言っちまえば、お前らを殺す為のフラグには理由なんかいらねーんだ。車が飛び出してきたのは? 植木鉢が落ちてきたのは? 風が吹いてきたのは?」

 死神さんは口角をつり上げる。

「飛び出してきたからだよ。そこに理由なんかいらねー。それ以外に何もいらねー。あるとすりゃ、お前らを殺す為にだ。へっ、そーかそーか、道理で面白かった筈だぜ」

「面白かった?」

「だってそーだろ。オレとしちゃあ、お前らが死んで、お前らが避けるのしか見てねーんだからよ。だからな、テロリストとのドンパチなんか最高の見物だったぜ」

 不謹慎極まりないな。でも、今は納得出来る。

「そうか、テロリスト、あれは回りくどかったんですね」

「おー、そーだよなやっぱ。だってよ、テロリストが出てくんのにも理由なんか別にいらねーもんな。バッと出てきてガッと撃ってザッと殺してサッと帰ってくぐらいの方が、まあ、らしーじゃん」

 確かに。そっちの方がよっぽど世界らしい。テロリストに関しては出現する理由があり過ぎる。クリアするにも何かこう、筋道が通り過ぎている。もっと無茶苦茶で理不尽なくらいが丁度良い、というのにだ。

「で?」

 死神さんは意味ありげにこちらを見る。見ている筈。

「で、とは?」

「とぼけんなよ。そこまで話して、ここまで気付いてそれで終わりか?」

 死神さんはチャレンジに関しては妙に鋭い。

「まだ先があんだろーがよ、相棒?」

 そして、チャレンジに関しては信用出来る。僕が、チャレンジをクリアする為に信用出来るのは死神さんだけだ。お互いが絶対に裏切らない。その一点においてのみ、彼女は最高の相棒となりうる。

「二人はまだ眠っていますか?」

「何なら腹に一発ぶち込んどくか?」

「……死神さん、チャレンジを受ける上で僕はあなたを世界で一番信じています。誰よりも、親よりも、明石さんよりも、七篠よりも、自分よりも」

「…………お前ってさー」

 死神さんは頭を掻きながら姿勢を崩す。

「たまーにクる事言うよな。何だよ今の、ドラマの告白かっつーの」

「……?」

「いや、良い。良いよもう」

 何を言っているんだろう。

「えー、で、今の言葉はなんだよ。オレをおちょくってんのか?」

「まさか。僕はただ、念を押しただけです。今からする話は、僕と死神さんだけのものだと」

「ふーん。なるほどな、言ってみ」

「テロリストは、世界の仕業じゃない。僕はそう思います」

「……へえ」

 確証はない。全て僕の妄想だ。笑われればそこでおしまい。だけど、死神さんの興味を惹けたらしい。

「死神さんに教えてもらって初めて気付きましたが、テロリストはどうにも手が込み過ぎています」

「おー、そーだな」

「だから、あのイベントに関しては世界とは別の何か……あるいは誰かの仕組んだ事にしましょう」

「おい、そりゃちっとばかし早合点過ぎねーか? 少しばかりめんどーなだけで世界以外にも敵を作んのかよ」

 尤もな意見である。そもそも、チャレンジにおいて敵となるものは早々現れない。大概が世界の生み出した理不尽なのだ。

「その少しばかりが重要なんです。でも、死神さんの言う事も分かります。だから、テロリストが世界の仕業である可能性を潰していきましょう」

「分かりやすく頼むぜ」

 努力はしましょう。

「まず、テロリストである理由が怪しいですね」

「理由? だから理由なんかねーだろ。お前らを殺したかったからテロリスト寄越したんだろが」

「僕らを殺すのにテロリストを寄越す理由が弱いような気がします。ただ銃を持った不審者が学校に来る、だけでも良い筈です」

「人数多い方が殺せる確率高いだろ」

 違う、違う、違うんだ。

「死神さん、テロリスト――先生たちはそんな指示を受けてなかったんです。むしろ彼らは誰も死なせる気はなかった」

「……あれ?」

「世界が一々細かい指示を出すなんて考えられないし、出していたとして、彼らは殺せって指示を受けていない。おかしいでしょう。僕らを殺すのが目的のテロリストなら、有り得てはならないんです」

「いや、そーなのか? 確かにそーかもしんないけどよ、お前パカスカ撃たれてなかったか?」

 撃たれてました。だけどそれも説明出来る。

「言い忘れましたけど、テロリストには僕は殺せって指示があったそうですよ」

「はああ? なんだそりゃ、意味わかんねーぞ」

「ご丁寧に僕のプロフィールまで送られていたそうです。僕、だけの、です」

「……お前だけ?」

 死神さんの態度が変わった。周囲の空気が、少し重いような気もする。

「僕だけ、です。おかしい話がまた増えましたね」

「世界の仕業なら、パッツンとチビも狙われるよな……」

 僕が死んだらチャレンジは失敗。明石さんや七篠が死んでも失敗。チャレンジャーの内一人でも死ねば全員がやり直し。運命共同体なのだ。ならば、世界は三人とも殺せと指示を出すだろう。その方がチャレンジ失敗への可能性は高まるし、何よりそうしなければ不自然だ。

「世界の意思でなく、誰かの意図が絡んでいる可能性は高い。そうは思いませんか?」

「だけどよ、どーしてお前だけが狙われるんだ?」

 自慢じゃないが、他人からの恨み辛みとは縁遠い生き方をしてきた。殺されるって事は誰かに恨まれてるって事なんだろうけど、僕にだって理由は分からない。

「ノートには何か書かれてないんですか?」

「あー、これはお前のやってきた事しか書いてねーんだよな。誰々から恨まれたとか、好かれてるとか、そーゆーのはダメだ。内容からはある程度読み取ろうとすりゃ読み取れるんだけど、お前の情報は少な過ぎる。ったくよー、もっと人と上手く付き合えよ、馬鹿」

 それが出来れば苦労はしないし、出来た時点で僕じゃなくなるような気もする。

「うーん、じゃあとりあえず置いときましょうか。考えても無理っぽいし」

「自分の事だぞ?」

「分かってますよ。まあ、怨恨の線で考えるなら、テロを引き起こした犯人は僕と河原先生を恨んでいる人物になりますね」

「河原って、ああ、あのブラコンか」

 ブラコンって。分かりやすいけど、他にもっとないのかよ。

「僕だけは実際に殺せって指示を受けたテロリストに殺されましたし、河原先生は実際に弟さんを誘拐されましたからね。リスキーな選択してるぐらいだし、相応の恨みはあるんじゃないんでしょうか」

「お前とブラコン、両方に恨みを持ってる奴か」

「百パーセントそうだとは言えませんけど、その可能性が高いでしょうね」

 しっかし、僕と河原先生に共通点なんてないしなあ。けど、人間どこで誰の恨みを買っているか分からないし。

「でもよー、これだけじゃまだ弱いよな。お前が恨まれるってのもどーかと思うし、世界の仕業じゃないとも言い切れねーだろ」

「あ、でも、犯人がいるのなら、僕はその人には絶対恨まれてると思いますよ」

「あ? 何でだよ?」

 僕は一度、唇を舌で舐める。ここから先は、本当に妄想だ。考えたくもない、かなり性質の悪い。

「僕が恨まれるとして、その人が世界の意思もチャレンジも関係なくテロを起こしたとしましょう」

「ん」

「仮定して、どうして、今日でなければならないんでしょうか。今日が特別テロをするに打ってつけの日ではないと思います。僕を殺すなら、むしろ学校にいるところを狙わなくても良い筈だ。休日に部屋で寝転んでいるところを襲えばもっと簡単に事は済む。どうして、昨日でもなく、明日でもなく、今日なんでしょう」

「んー」

「考え方を変えましょうか。犯人にとって、僕を襲うのは今日が良かった。昨日ではなく、明日ではなく、今日殺したかった。休日に部屋で寝転んでいるところではなく、平日に学校にいるところを狙いたかった」

「おい、ちょっと待てよ。そんな馬鹿な奴いるか?」

 多分、いない。普通ならいない。

「犯人にとって、僕を殺すのは今日が打ってつけだった。殺すのは、今日しかなかった。そう考えたのなら、ある程度は犯人を絞れます」

「マジかよ!? おいおい、すげーじゃん名探偵ひゅー!」

 ひゅーはやめて。

「……そこで、一つだけ死神さんに聞いておきたい事があるんです」

「おー、聞け聞け。何でも聞いてみ」

「嘘は吐かないでくださいね。分からないなら分からないと、そう言ってくださいね」

「わーかったって、いーから言えよ」


「ループしているのは、僕たちだけですか?」


 予想していたが、死神さんの顔から笑みが消えた。しいんと、静寂が耳に痛い。

「なあ、どういう意味だ?」

「そのままの意味です。僕と明石さん、七篠以外に同じ一日をループしている人はいるんですか? そう、聞いています」

 自分でも、おかしな事を言っていると気付いてはいる。気付いていて尚、聞かなければならない。

「僕たち以外にチャレンジを受けている人はいるんですか?」

「いや、いない」

「本当ですね」

「ああ、マジだぜ。今、この世界でチャレンジを受けているのはお前ら三人だけだ」

 外れた、か。当たっても嬉しくはない予想だったから、一向に構わないけど。

「じゃあ、ループしている人は僕たち以外にいないんですね」

「……ああ、多分」

 おい。おいおい。

「多分って、そりゃないでしょうよ。死神さんがチャレンジを受けさせてるんだから」

「だからチャレンジを受けてる奴はいないって」

 チャレンジを受けてる奴は? 引っ掛かる物言いだな。

「この世全ての神とか悪魔に誓うぜ、オレは、お前ら以外にチャレンジを受けさせていない。受けさせていないんだけど……」

「だけど?」

「ループしてる奴は、いるかも、しんない」

 はああああああああ!?

「はああああああああ!?」

「わあああっ、大きな声出すなよ!」

「どういう事ですか!」

「だから、もしかしたらだよ。チャレンジは受けてねーけど、もしかしたら、ループしてる奴はいるかもなって話」

 どんな話だよ! 聞いてないぞそんなの!

「ループだけ、ですか?」

「おー、そーだよ。ループだけ。それならまあ、なきにしもあらずだ」

「ちょっと、頭が付いてかないんですけど」

「あはは、ばーかばーか」

「何ですって?」

「ごめん、睨まないでくれよ」

 ありゃ、どうやら怖い顔になっていたらしい。

「そもそもさ、どうしてループだとか聞くんだよ。カンケーあんのか?」

「えーと、さっきの話に戻るんですけど、犯人は今日、僕を殺したいと仮定しますよね」

「うん」

「それは、僕にとって今日殺されるのが一番迷惑だからですよ」

 死神さんは再び小首を傾げる。やめろ。

「今日、僕にとってはとても大事な日になるんです。何があるか分かりますよね?」

「あ、今日誕生日だっけ?」

「あはは違います。今日、と言うか、あの日にチャレンジがあるからですよ」

「……ん、それってまさか」

 だから、そのまさかなんだって。

「チャレンジのある日に事を起こせば、僕にとって非常に面倒な事になる。僕を恨んでいる人にとっては格好かつ絶好の復讐日和になるでしょうね。だけど、避けては通れない問題があります」

「お前が、チャレンジを受けてんのを知っている必要がある……?」

「ええ。チャレンジを受けていない人たちの記憶はなくなる。そもそも、その日が巻き戻りますからね。記憶の持越しが出来るのはループ出来ている人だけ、ですよね」

「ああ、その通りだ」

 あくまで、まだ仮定の話だけど。

「テロを起こした人の正体は、僕と河原先生が憎くて、チャレンジの事を知っている人物に限定される。かつ、チャレンジの事を知るには死後の世界に来てループするしかないんです」

「おいおい、じゃあ、犯人ってまさか……」

「まだ、確定はしていませんけどね」

 嫌でも、目が行くよな、あの二人に。

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