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テロリスト〈5〉

 僕と七篠が連れて来られたのは体育館の中にある用具倉庫だった。

「暗いなあ」

 真っ暗。呟いた言葉も闇の中に消えていく。心細いとは思わないけど、妙に物寂しい。

「……先輩、いますか?」

「いるよ」

 七篠の顔は見えない。と言うか、自分の姿でさえ見えないのである。両手首を縄で縛られて自由が利かない。顔を動かすのも面倒だ。

 ま、ここでじっとしていればいつかは目も暗闇に慣れてくるだろう。

 それに、少し埃っぽいのに目を瞑ればここの居心地は意外と悪くない。暗くて、落ち着く。扉を開ければ体育館には人がたくさんいるのだけど、皆静かだ。静かなのは嫌いじゃない。

 完全に手詰まりに近い状況だけど。

 だけど殺されずに軟禁されているだけなら、ここで大人しくしていれば殺されずに済むかもしれない。明石さんたちが気になるけど、僕よりは上手く立ち回ってくれている事だろう。

 となれば、やはり考えるべきなのは自分のこれからについて、だな。

「……先輩」

「何?」

 二人で協力出来ないように、僕と七篠は離れて置かれている。声の届く方向からすると、真向かいに彼女は座っているらしい。

「すみません、でした」

 いきなり謝られてもなあ。

「別に良いよ。こうして二人とも生きてるんだし。それより、どうして戻ってきたんだよ」

「……先輩が銃を突き付けられているのを見たら、いてもたってもいられなくなったんです」

「だからどうして、だよ。僕が危ないからってお前が戻ってくる理由にはならないじゃないか」

「――なりませんか?」

 見えないのは分かっている。だけどどうしても、彼女の方へ顔は向いてしまった。

「先輩が心配だったから、それだけじゃ理由になりませんか?」

「何、言ってるんだ……?」

 僕が心配だったから戻ってきただって? こいつ、こんな奴だったか? 君はもっと、他人の事を気にしないで、気にも留めないで……そうだ。まるで僕みたいな人間だと思っていたのに、どうしてそんな事を言うんだ。

「……先輩、私、足を引っ張っていますよね。こうして迷惑を掛けて、先輩をこんな目に遭わせて」

 強く否定は出来ない。その通りと言えばその通りなのだから。

「私も足を引っ張られるのは嫌いです。でもそれ以上に、足を引っ張るのが嫌いです。人よりも劣っていると分かっちゃったら、惨めに、なるじゃないですか」

 何も言えない。僕だってそう思っているのだから。

「……死にます」

「いや、意味が分からない」

 出し抜けに何を言い出すんだこいつ。

「これ以上先輩の足を引っ張るくらいなら、私……」

「死ぬったって、両手縛られてるんだぞ。どうやって死ぬって言うんだ」

「舌を噛み切ります」

 舌を噛み切るぐらいじゃ死ねないっつーの。

「無理だよ。痛いだけだから止めときなって」

 本当に死なれたら、それこそ足を引っ張られる事になってしまうじゃないか。

「……じゃあ、私はどうすれば良いんですか?」

 七篠はもう半分ぐらい泣いている。彼女のこんな声、聞いた事がない。どんだけ追い詰められてるってんだよ、まったく。

 あ、いや、待てよ。

 違う。七篠は今、本当に追い詰められているんだ。だからこそ、いつもは無表情を崩さない筈の、彼女の仮面が剥がれていっている。

 僕は違う。もう何度もこんな目には遭ってきたし、何度も死んで、生き返った。生き返りチャレンジのお陰で、良くも悪くも並大抵の事では動じなくなった。

 普通なら有り得ない。そりゃ、学校にテロリストがやってきて、あまつさえ捕まって監禁されれば誰だって極限状態に追い込まれる、か。腐っても七篠は高校生の女の子。普通に生きてれば銃なんて物騒なものを見ずに死ねるんだ。

 そう言えば、明石さんだって追い込まれて地を出していたっけ。あの時は細山君が大暴れして、それで彼女も委員長を止めたんだ。

「どうもしなくて良いよ」

 いつ死んだって構わない。最終的にチャレンジをクリア出来れば良いんだから。

 だけど、この世界での七篠歩にとっては一回きりの人生。死んだらそこで終わってしまう。少なくとも彼女はそう思っているだろう。

「……でも、私」

「怖かったら怖いって言えば良いし、痛かったら痛いって言えば良いんだ。別に、それだけで良いと思う。何をしようとか、誰かの役に立てないって思う事も嘆く事もない」

 自分自身に言い聞かせるように。

 ああ、とっくに僕はどこかがおかしくなっていたのかもしれない。神経が麻痺していたのか、もしくは神経なんてものなくなってしまったのだろうか。

「……先輩は怖くないんですか?」

 分からない。怖いとしたら、今は諦めてしまうのが怖い。

「あー、怖いかもしれない」

「だったらもっと怖がってください。私が情けなく見えるじゃないですか」

 安心して欲しい。情けないの次元を超えている。

「とにかく殺される訳じゃないんだからさ、もっとこう落ち着いていこうよ」

「……慰めてくれているんですか?」

 だったらなんだって言うんだよ。

「眼球が飛び出るくらい不愉快です。余計惨めになります」

「一々うるさいなあ」

 まあ良いや。暇潰しにはなる。どうせ当分はここにいる事になるんだろうし。

 そう、思っていたのだけど。

「……う」

 一筋の光明が、真っ暗な室内に差し込んでくる。扉が少しずつ開かれていく。

 まさか、もう出られるのか? いや、案外この世界も捨てる神ばかりではないんだね。

「出ろ」

 羊のマスクを被ったテロリストが顔を覗かせた。その手には銃を握っている。自由とは言い難い状況だけど、息の詰まる(七篠がいるから)倉庫からは抜け出せるらしい。

 やれやれ。さて、ここからどうなるかな。

「おい、嬉しそうな顔をするな」

 してないよ。

「もっと神妙な顔をしていろ。今からお前らは見せしめに殺されるんだからな」

「……え?」

 どうやら、拾う神はいないらしかった。



 体育館のステージの裏手。

 僕らはそこで出番を待っていた。劇をやるのでも、ダンスをやるのでもない。見せ場は一瞬、血の花を咲かせる為の、たったそれだけ。まあ、つまりは死ぬ為だけに舞台へ上がるのだ。

「……先輩、どうしましょう」

「僕に言われてもなあ」

 それよりたくさんの人がいる前に出るのが恥ずかしい。

「悪足掻きしても駄目っぽいし」

 僕らの傍にはテロリストが二人。ちらりとフロアの様子を窺えば、出口を固めているのがもう二人。多分、他にも何人かはいるだろう。

 鍵も中から閉められているだろうから逃げるのは無理。戦うなんて、もっての他である。

「……私たち、死ぬんですね」

 多分。

 しかし、どうしよう。ただ漫然と殺されるのもつまらないな。どうせ死ぬなら……そうだ。テロリストの素顔でも拝見しましょうか。明石さんはたまに当てにならない時があるのだし、自分でも一度確認しておいた方が良いだろう。

「お前から行け」

「うわっ」

 背中を押されてたたらを踏む。何だよ、もう死ななきゃいけないのか。

「……先輩」

 七篠の頭には銃口が突き付けられている。まさか、人質を取っているとでも思っているのかよ、どうせ二人とも殺すつもりのくせに。

 でも逆らったら、僕はまた七篠が死ぬところを見なくちゃいけない、か。

 良いや、まだチャンスはある。ここは大人しく撃たれてあげよう。

 決するほどの意志もなく、僕はただ単に足を踏み出した。ステージに立つと、下方から大きめのどよめき。

 何だか緊張するなあ。今から最低最悪のショーを皆様のお目に掛ける訳だけど、更に言うなら僕は撃たれるだけなのだけど。

「……三」

 テロリストの一人、馬のマスクを被った奴が呟く。死へのカウントダウンにしちゃ、随分気が早い。もっと間を溜めて欲しいものである。

「二ぃ」

 また、終わりか。

「一」

「先輩っ」

 残り一秒で、七篠が舞台に姿を見せた。

 奇跡は起こらない。起こりえない。まずは一発、彼女の足に銃弾が撃ち込まれた。悲鳴がそこかしこから上がり、七篠の足からは血煙が上がる。

「先輩っ!」

 聞こえてるよ。

 依然、テロリストに狙われている僕の足元へ、七篠は転がるように駆け寄ってくる。そこへもう一発、今度は僕が撃たれてしまった。脇腹に、鋭い痛みが走る。

「仲が良いらしいな」

 そうでもない。が、テロリストは僕たちを纏めて殺すつもりらしいな。あの世でも二人でって? 残念だけど、逝くのは僕一人だけなのさ。

「くっ、ああああっ!」

 七篠は撃たれていない方の足でテロリストの足を狙う。

 窮鼠は猫ならぬ、馬を噛んだ。

 足を払われたテロリストは不様にすっ転ぶ。だが、それだけだ。

「――――あ」

 二発、三発、四発と。景気良さげに銃弾が僕らを貫いていく。呻くのも馬鹿らしくなり、噛み砕く勢いで歯を食い縛った。

 どうしてこうなったんだろう。ぼんやりと浮かんだ考えは痛苦によって消えていく。

「……せん、ぱ……」

 分かった。七篠、お前のせいだ。



 目を開けなくても、そこは。

「ブエノスディアース!」

 スペインだった。

「コモエスタス?」

「……マーロ」

 いや、やっぱりここはスペイン語らしきものを喋る胡散臭い死神のいる、胡散臭い死後の世界である。

「スペイン語、ですよねそれ?」

「おー、お前も知ってたみたいだな。実はよ、さっきからずっとスペインの方見てたんだよな。いやー、美味そうだなトルティーヤ!」

 仕事しろよ! 僕の方見てろよ!

「だって同じような展開じゃねーか。見ててもつまんねーし」

「僕じゃなくて死神さんがチャレンジに飽きてどうするんですか」

「第一、トルティーヤじゃなくてトルティージャよ。ヤ、はメキシコの発音だからね」

 うわ、明石さん。

「で、今回はどうして死んだのよ?」

「体育館のステージで撃たれて死んだんだよ」

「何やってんのよ、こっちは二年を六組まで取り返したってのにさ。これから三年の教室に殴り込むところで邪魔されて。もう、興醒めよ」

「そっちこそ何をやってんだよ!」

 凄い。凄いけども! 目的が絶対すり替わってる。

「ねえ、どうにかなりそうなの?」

 急に優しく言われてもなあ。分からない。チャレンジを僕の思惑通りクリアするには七篠の生存は不可欠なのである。が、彼女は放っておいたら死ぬし、中途半端に手を差し伸べてもどうにもならない。差し伸べた手を、僕ごと厄介事に引き込むのだ。

「ちょっとまずいかもね」

 生き返りチャレンジの事やテロリストの事を説明しても、誰も信じてくれる訳がない。奇人、変人扱いされるのがオチだ。僕の言ったのが本当だと気付いた後にはもう遅いし。

 ただ、考えがない訳じゃない。方法はあるのだ。七篠を助ける――いや、七篠が助かる方法が。

 でも、それは簡単に口にして良いものじゃない。簡単にいくとは限らない。彼女の人生を簡単にむちゃくちゃに出来る方法なのだから。

「おい、考えてる事を言え」

 僕の逡巡を見抜いたのか、死神さんは鋭い口調で声を放つ。

「……いえ、まだ先の話だと思いますから」

「言えっつってんだろ。現に詰まってんじゃねーか。また無策で挑んで撃たれるつもりかよ?」

「そんなつもりは……」

 恐い人だ。いつもは頭空っぽみたいに振る舞って、僕らが死ぬのを見て笑っているのに、こと、ここ一番では手を差し伸べてくれる。何もかも見抜かれているようで、僕という人間が見透かされているようで良い気はしない。

「お前はあの女を死なせたくない。だけどそいつが難しい」

 そう、明石さんの時みたいに。

「だったら話は早いじゃねーか。そいつも巻き込んじまえば良い。違うか?」

 大当たり。だけど。

「今回は、明石さんの時とは似ているようで違うんです。僕らがやろうとしている事は、畜生や外道に近いんですよ?」

 明石さん。七篠。

 二人のケースはほぼ同じだと思ってもらって間違いない。

 彼女らを死なせたくない。彼女らの生存がそのままチャレンジのクリアに直結する。

 だけど間違って欲しくないのは、明石さんの場合、こちらのミスで引き込んでしまったという事にある。死神さんの不手際、不注意に重なって、僕と明石さんが同じ場所、同じ時間に死んでしまった事から起こった、偶然と偶然が偶然によって引き合わされて起こった、冗談みたいな奇跡のお話。

 だが、七篠は違う。

 僕らは自らの意思で、自分たちだけの都合で彼女を生き返りチャレンジへ巻き込もうとしているのだ。

 偶然はなく、必然だけ。不意はそこには存在せず、故意だけが堂々と鎮座している。落ちてくるのを待つんじゃない。落とすんだ。

 それが外道でなくて、何であるというのだろう。

「知らねーよ」

 一蹴された。

「道を外れてるだあ? 一回死んで生き返ろうとしてる奴の台詞じゃねーよ。お前が外道だなんだって言えるわきゃねーだろが、お前はもうとっくに外道に成り下がってんだからよ」

 随分とまあ、手厳しい。でも、その通りだと納得するしかない。

「ここまでやってんだ。途中でやめよーなんざ思っちゃいねーだろーな? ま、思わせないけどよ」

 止めてやる。

 と、思うだけなら自由だな。

「……明石さん、君はどう思う?」

「反対ね」

「そう言うとは思っていたけど、理由を聞いても良いかな」

 明石さんは本当に分かっていないの? と、目だけで訴えていた。

「あんた、本物の愚鈍ね」

「チャレンジャーを増やせばその人の死亡フラグが立つ。一人分、リスクが高まるって言いたいんでしょ?」

「それだけじゃないわ。あんた、そうやって行き詰る度に他人を巻き込んでいくつもり? 今回だけで済むとは限らないのよ。その子を巻き込んで、その子が死ななくなっただけで、次に死んでしまう人を見たらどうするのかって私は言ってんのよ。馬鹿、人生やり直せ」

 言われるまでもなくやり直しています。が、茶々を入れる場面じゃないな。

「そこも分かってるよ。それに、僕だって誰彼構わずチャレンジに巻き込もうとは思ってない」

 あくまで、小さい僕の小さく狭い世界の話だ。チャレンジ中に、遠い国で知らない人が死んでも何とも思わない。助けたいなんて思う筈がない。

「でも、学校の生徒は死なせたくないんでしょ? 何百人といる人間全部助けられると思うの?」

 思わないさ。ただ、やってみるだけ。面識のない人間ならば、無理なら無理で諦めてしまうだろう。涙を飲んで、見捨てるかもしれない。

「助けたい人って、七篠さんよね」

「うん。ああ、安心して、もう僕に知り合いはいないから」

 多分、打ち止めだ。あいつだけは見逃せない。見捨てられない。そんな気持ちに駆られている。

「幼馴染み、ね」

 そう。小さな僕と、小さな時から一緒に過ごした、もう一人の自分みたいな存在だ。だから正直な話、打算めいた考えがあったのも否めない。

 七篠なら、僕の言う事を聞くだろう。駒として、盤面で僕の指示に唯々諾々と動いてくれるだろう。

 そう、思った。

「これで最後にしてよね」

「言い訳がましく聞こえるから、多くは言わないよ。――これで、最後にする」

 生き返りチャレンジに誘うのは、七篠が最初。同時に、最後。

 第一、何百人どころか、十人も救えない。助けられない。リミットが来れば、それ以後死ぬ人は見捨てるしかない。

 リミット。

 即ち、僕に残されたポイントである。

 最初の手持ちは最高値の五百点。その内、百点が僕のチャレンジ費用に、もう百点を明石さんに渡している。残りは三百。ここから更に百を七篠に渡すつもりだから、最後に持っているであろう点数は二百。

 だから、もし仮に、この先誰かを巻き込もうとしても二人しか無理なのだ。

 世界どころか、学校の生徒も殆ど助からない。

「話はまとまったみてーだな」

 死神さんが愉しそうに歯を見せて笑う。

「あの七篠って奴を巻き込む方向でいくんなら、幾つか教えておかなきゃなんねー事がある」

 指を一本立てると、死神さんは僕に顔を向けた。

「まず、だな、チャレンジに巻き込むっつーか、ここまで連れてくるにはパッツンと同じような事をしろ」

「……同じ場所で、同じ時間で死ねって事ですね」

「おー、そーだ。そんでもう一個。巻き込みたい奴、連れてきたい奴にチャレンジや、この世界の事を教えとけ」

 そんな事したら、僕が頭のおかしい人だと思われるのでは。

「お前な、何も分かんねーで連れてこられたら混乱するだろーが」

「僕は混乱しませんでしたよ」

「そりゃお前だけだ」

 そうなのかな。明石さんだって大した混乱はなかったようだけど。

「パッツンは頭が良かったからな。すぐにてきおーしてくれたけどよ、他の奴がどうなるかは保証出来ねーぞ」

「うーん? 要するに、慣らしとけって事ですか?」

「あー、ま、そんなとこだな。けど厳密に言うとだな、お前との距離を短くしといて欲しいってのもあんだ」

 距離? 僕と、七篠との?

「物理的じゃなくて精神的にな。じゃねーと、同じタイミングで死なれても位置が掴み辛いし、引っ張ってこれねーんだ」

 面倒だな、そりゃ。

「そりゃ元々はお前一人のチャレンジだからな、特例ってのを認めるには色々あんだ。んでもって、やっぱりお前と近い人間、仲の良い人間って方がやりやすい」

 やりやすい、か。それは死神さんだけでなく、僕にとっても同じと言える。赤の他人と苦楽を共にするなんてぞっとしないからね。

「あ、でも明石さんの時はどうなんですか?」

「は、はあっ!? ちょっと、そんなの聞いても意味ないでしょ!」

 いや、だってあの時は僕も明石さんもお互い知らない人間同士だった筈。距離が近いどころか、線が交わりもしていなかった。死神さんの完全なミスかもしれない。チャレンジにおいて、不測の事態、アクシデントは避けておきたいところである。

 だからこそ、確認したかったのだけれど。

「アレじゃね? パッツンはハナっからお前の事が好きだったとか、そーゆーんじゃねーの?」

「勝手な事言わないでよ! たまたま、そう、たまたまなの。死神、あんたのミスなんだから潔く認めれば良い話でしょう」

「おお? オレのせいなのか?」

 ……そんな気がする。

「そう考えたら、明石さんには本当申し訳ない事をしたって気になるなあ」

「どう考えても申し訳ない事をしてんのよ」

 今更謝っても許してもらえないだろうな。じゃあ、謝らない。

「こーなったのも何かの縁じゃねーか。合縁きえーっ! て言うだろ?」

 言わない。合縁まで出ているなら奇縁ぐらい頑張って欲しかった。

「ま、仲良くやっていこーじゃねーの、パッツンパッツン」

「仲良くする気ないでしょうあんた!」

 結構仲良さそうに見えるけど。最近二人の息が合ってきたようで、ちょっと寂しかったりする。



 チャレンジ、スタート。

 とりあえず、七篠にチャレンジの事を信じてもらうのがクリアへの近道だな。ああ、そして、彼女の人生を破綻させる茨道。

 本当に信じてもらえるのだろうか?

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