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プレイヤー二十人でお送りする、異世界デスゲーム  作者: PKT
それぞれの初日
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浮田真悟の初日

 浮田慎吾は召喚前、家出の真っ最中だった。

 彼には可愛らしい恋人がおり、しかし父親が彼女を認めなかったために、学生の身で家出を決意したのである。一週間程度の間、友人宅を転々とした後帰宅することで、両親に自分の本気をわからせるつもりでいた。最も、その結果思いもよらない事態に巻き込まれたわけだが。


 彼は、自身の目的のためなら妥協しない性格だ。今回の件でも、彼は積極的に他プレイヤーを蹴落として自身の願いを叶えるつもりでいる。

 彼は、自身のスキルを活かすことを第一に考え、スタート地点をサリシア中央国に決めた。

 ギルドの総本部があり、冒険者が集まるこの国であれば、様々なスキルを持った人が集まる。スキルスナッチで様々なスキルを取得するには、都合がいいだろう。

 彼のスキルスナッチは、自身の手を相手の手に触れさせて念じることで、その相手の持つスキルを一つ自身の保有スキルに加えるというものだ。スナッチという名だが、相手のスキルがなくなったりはしないため、極めて有用だ。唯一の欠点は、一日に一度しか使えないことと、取得したスキルの効果がわからないということだ。大体のスキルは名称を見れば効果の想像もつくが、固有スキルなどの場合はそうもいかない。

 とはいえ、利点の前にはそのような欠点は取るに足りないものであり、しかもリスクはとても少ない。

 そんなスキルを自身が最初から持ちえたことを、彼は自身の天運だと感じている。


 とはいえ、スキルを増やすことはできても、所持金を増やすことはできない。生きていく為に金は必要、それをどうやって稼ぐのか。

 悩んだ末に彼が選んだのは、冒険者の道だった。申請するだけで職を得ることができ、実力さえあれば充分な稼ぎを得られる。当然リスクはあるが、分を弁えてさえいれば痛い目を見ることはないだろうと彼は考えた。


 ギルドに申請を終えた彼は、晴れて冒険者としての身分を手に入れた。そして、申請待ちの間に見かけた高位の冒険者に、スキルスナッチを使ってみた。すれ違う際に偶然を装って、手に一瞬触れて念じてみたのだ。

 その後、一目のないところでスキルを確認すると、”精神耐性(大)”という項目が増えていた。

 自身のスキルの有用性を確認し、彼は内心で歓声を上げた。

 このスキルがあれば、俺は万能かつ無敵になれる。危険を避けながら有用なスキルを調達し、準備が整ったところで、残りのプレイヤーを探し出して抹殺すればいいのだ。


 手元の冒険者ギルド所属を示すカードを眺めながら、彼は機嫌よく総本部を後にした。

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