久瀬統也の初日
久瀬統也はタイタバルの帝都から、この遊戯をスタートした。
彼は戦史を読むのが好きで、特に戦術家の逸話を調べるのを趣味としている。特に尊敬するのは東郷平八郎だ。
そんな彼のスタート地点は帝都だった。軽く周囲を眺めた後、目的地を探す。
トウヤの方針は既に決まっていた。帝国の士官学校に入学し、軍人となることだ。
道行く人に学校の所在を尋ね、さほど迷うことなく校門の前へと到着した。
受付の女性に来訪の目的を伝え、次の募集が三週間後であることを教えられた。
入学さえ認められれば寮生活を送ることとなり、宿を使うよりも安全性の面で優れる。
また、正式に軍人として採用されれば、今までは学ぶだけだった戦史を、自ら作っていくことができる。
トウヤがこの遊戯に参加したのは、願いを叶えるためではない。彼が興味があるのは、異世界での戦史について学ぶ事と、自身が異世界の戦史に関わる事だ。
無論、生き残ることを最初から諦めているわけではないが、自分の保有スキルと照らし合わせても、軍人になるという選択肢が最良だと思えた。
ともあれ、まずは三週間後の募集までの空いた時間を利用し、この世界での戦史や戦術論を学ぶため、彼は本屋を探して歩き出した。




