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始まりの冬休み明け。
8時10分、3番線、弱冷車両が止まるとこ。
そこから乗る電車には、私には絶対届かないような美男子が乗っている。
少し色黒で、髪の毛がふわっとしてて、顔の整った人。
知ってるのは、
私と同じバンドが好きってことと、
山井高校の人ってことと、
山井大学前駅で降りることだけ。
主要駅を出発した、二人だけの1両目。
微かに聞こえる彼の耳からの音漏れと調和する、
彼の綺麗な指先を見るのがこれまたたまらない。
でもただ見てるだけでいい。
私は君には似合わない。
そう思ってた。
あの日までは。