神様、学校へ行こう!の巻♡
疲れた。
それしか言えない。
だがまだネタギレはしないぞ……
~あらすじ~
おみくじを引いたら神様が当たりました。
……………………………………………
「ふぁぁ…」
翌日の朝。
今日は学校なので、さっさとご飯の支度をしようと立ち上がろうとしたが、ふとお腹辺りに違和感を感じたので、布団をまくってみた。
「なっ…」
そこには…神様がいた。
「ふにゅ…もう食べられないです…」
馬鹿な…昨日別の部屋で寝かせたはず…。
「おい!起きろ!」
俺は力強くタルトの体を揺さぶった。
(うっ…)
揺さぶる度に揺れるタルトの胸にどうしても目がいってしまう。
いやいや、俺は健全な男子高校生だ、これくらいでは…。
「…んんぅ、あと5分だけ…」
どれだけ揺さぶっても起きる気配はない。
俺はため息をついて、タルトの耳元に向かって、
「…起きろぉぉぉぉ!!!!」
「うわぁぁぁぁ!!!!何ですかいきなり」
「朝だぞさっさと起きろ!!」
「痛いですよ、枕で叩かないでくだブヘッ」
俺の振り回した枕はタルトの顔面にクリーンヒットした。
「私、仮にも神様ですよ!もっと大事にしてください」
タルトは朝ごはんを食べながらそっぽを向いた。
「仮にもって、それでも神様かよ…」
タルトは何かに気がつくと、俺に顔を近づけてきた。
「…な、なんだよ」
「ムムム、その顔はまだ信用してないですなぁ?」
「そりゃまだ神様っぽいことしてないしな」
「分かりました!じゃあその神様ってとこ見せてやりますよ!」
妙に張り切り始めたタルトは、奇妙なお札を胸元から取り出してリビングのテーブルの上に立った。
「おい、危ないぞ…」
「むむむ……へんげっ!!」
タルトはポンッという効果音と共に煙に巻かれて…消えた。
「あれ、どこ行ったんだ…?」
俺がリビングを見回したがどこにもいなかった。
「ここですよ!!ここ、ここ!!」
足元から声がした。
その声の主は…ちっちゃい狐さんだった。
「はっ?!もしかして、タルトなのか?」
「どうです?驚きました?」
ヌッフッフと高らかに笑う狐。
どうやらタルトは本物の神様だったらしい。
急に申し訳なくなった。
なんか「タルト」ってペットみたいな名前付けてすいません。
もっと「シャーロット」とか高貴な名前付ければ良かったかな。
***
「?…守さんどこに出かけるんですか?」
「どこって学校に決まってるだろ」
タルトはにっこりと笑って言った。
「私も行きたいです!!」
「ダメだ」
俺はタルトを手で制した。
「はぅ!なんでですか、別にいいじゃないですか〜ねぇ〜」
「ダメだ、お前が来たら確実に目立つだろ」
タルトはむっとした顔でこちらを見つめる。
「守さんのアホぎつね!」
「それお前のことだろ」
「守さんのチ〇〇〇野郎!」
「オイ!!」
「守さんのインド人!」
「インド人の人に失礼だろ!!」
「守さんの…ちっさ(笑)」
「うるせぇ!!!!」
さすがにイライラしてきた。
「もう行くからな!」
「あぁん、待ってぇん♡」
「お色気出してもダメだ!」
***
「はぁ…」
「なんだ守、朝から元気ねぇなぁ」
俺の親友、瀬板 大地が心配そうに声をかけてくれた。
「あぁ、まあ、いろいろあってな…」
疲れで机に突っ伏してると、教室の後ろの方から話し声が聞こえた。
「ねぇねぇ、今日転校生来るらしいってさ」
「えーマジー?(笑)」
「男の子なの?女の子なの?」
「それが女の子だってさ」
「マジかーライバル増えちゃうねw」
「なんでも、その女の子、オッパイ、おっきいんだってさぁ」
「マジかー、そりゃ勝てないよ(笑)」
「…揉みがいがあるな…デュフ…」
最後の奴やべえだろ…!!
ていうか、さっきから嫌な予感しかしないんだが一体これは…。
「ハイ、席に着いてねぇ〜」
先生が教室に入ってくると、生徒達はそれぞれ自分の席に着いた。
「ハイ、今日はなんと!転校生が来ていマース、ハイ拍手〜」
クラスはシーンとしている。
「アレレ、まぁいっか!じゃあ入ってきていいよぉ〜」
ガラガラという音とともにドアが開く。
生徒達はいっせいに息を飲む。
だが入ってきたのはやはり俺にとって見覚えのある人物だった。
「「「オォーーッ!!!!」」」
男性陣の声が上がる。
白髪のうちの制服を着た…タルトだった。「皆さんこんにちは!ジャン・P・ポルナ…」
どこのスタンド使いだ!!
「じゃなくて、定家タルトです!よろしくお願いします!」
一斉に俺に視線が集まる。
「あ、いや…その…」
「じゃあ定家さん、せっかくだし、定家君の隣に座ろっか」
「はい!」
タルトはスキップしながらこちらに近づいてきた。
「オイ守、どういう関係なんだ」
前の席の大地が鬼の形相でこちらに話しかけてきた。
「いやっ、多分たまたま一緒の名字の…」
「私は守さんのパートナーです!」
余計な事をぉぉぉぉぉ!!!!
俺は咄嗟にタルトの口を塞いだが、時既に遅し。
男性陣がこちらに睨みを効かせている。
終わった…(泣)
トントンと大地に肩を叩かれる。
「お前、後で血祭りにしよっか(ニッコリ)」
「…は、はい…」
クラス全員が敵になった。
***
昼休み。
タルトは女子から質問漬け、俺は男子から血祭りにあげられました。
「見事にケチョンケチョンにされましたね」
タルトが俺の視界に笑顔を覗かせた。
ケチョンケチョンなんて久々に聞いたよ…。
「…うっ、いてて」
あいつら容赦無いな、俺が丈夫で良かった…。
「ていうかなんでお前学校来てんだよ…」
「まぁ神様ですし☆」
この星マーク、正直ムカつくな。
「はぁ、なんてこと言ってくれたんだよ、お陰で友人関係まで壊されたよ…。」
「安心してください!後で弁解しとくんで」
タルトは何かに気がついたのかもう一度口を開いた。
「安心してください、履いてますよ」
それが言いたかっただけかよ!
つか履いてなかったら大問題だよ!
だが、二ヒヒと無邪気に笑うタルトを見て俺は何故か妙に喜びを感じた。
***
「ねぇねぇ、ちょっと話があるんだけどいいかな」
あんまり話さない女の子が声を掛けてきた。
女の子と話すのに慣れてない俺はアタフタして返事した。
「ふ、ふぇい!」
「あ、あとタルトちゃんも連れて来てもらっていい?」
「あ、うん…」
なぜにタルトも?
疑問はあったが、特に何も考えずに着いていった。
「んで、何かあったの??」
「実はね、私、恋来神社の神主の娘なの」
やっとそこで俺ははっと気づいた。
「タルトの事か?」
「そうなの!うちの祀ってる神様にそっくりだなぁって声かけたんだけど、そんな訳ないよね…」
タルトが神様である事は俺も今朝知ったばっかりだ。
言ったところで信用されるとは思わないが…。
「あの、信じられないと思うが、こいつその神様なんだ」
「神様です!」
女の子は目を輝かせて、タルトの手を両手で握った。
「やはりそうでしたか!私!恋来 時雨というものです!」
…案外信じるタイプの人だった。
「うちの神社ではお世話になってます〜」
「いえいえ、こちらこそ〜」
なんかおばさん同士の会話みたくなってるけど。
「ていうかなんでわたしが神様だなんて分かったんですか?」
それは確かに偶然とは思えないよな…。
「ああそれはですね…」
時雨は持っていたバッグから巨大な巻物を取り出した。
「うわ、でか…」
それを地面に広げて、何やら絵がかかれているところを指さした。
「これ私ですか?」
その絵はタルトで、まるで現代でよく見る二次イラストのように精巧に書かれていた。
「すげぇ技術だなこれ…」
「そうそう、これ私のひいひいひいひいおじいちゃんが書いたんだよ」
ひいひいひいひいおじいちゃんすげぇな!
つかひいひい多いな!
「思い出しました、確か知らないおじさんについて行ったら、モデルになってくれと頼み込まれたことが…」
「知らないおじさんについて行くなよ!」
「お菓子上げるからって言われたからつい…」
「テンプレ手口じゃねぇか!」
まあ悪人では無かったようだな。
「ちなみにその人たくさんのちょんまげの人に縄で縛られて連れてかれました」
「悪人だったじゃねぇか!」
「ひいひいひいひいおじいちゃんは下着泥棒の罪で一生を牢獄で過ごしたらしいね」
「変態じゃねぇか!」
すげぇ疲れる…。
「とにかく会えて光栄です、神様」
「神様って呼ばれたの、初めて…///」
「それでも神様かよ!」
***
「いい人でしたね」
「まぁ、悪い人ではないけど…」
「そこは素直に「そうだね」って言えばいいんですよ」
「はいはい…」
帰り道、夕暮れに染まる空は徐々に暗くなってきていた。
「それはそうと、恋愛を叶えるとか言ってるけど、具体的に何も聞いてないんだけど…」
「あぁ、まぁ、色々あるんですけど守さんの場合は少し特殊なんですよね」
「特殊?」
「まあ恋愛出来ない人ってのは、顔とか性格とかが悪いって言いますけど、実はそれはとある輩が邪魔してるからなんです」
「輩?」
「まぁ、簡単にいうと妖怪みたいな??」
「妖怪!?」
「そうです、奴らに取りつかれると、無意識に恋愛相手が不愉快になる行動をさせられて、最終的には…」
「最終的には…?」
「相手に嫌われて終了です」
「うわぁ…」
「その他にも、直接人を襲うのもいるんですが、まあ普通の人間には見えませんから関係ないです」
「普通の人間って事は俺は?」
「あ、私と接触したから襲われちゃう可能性が…」
「死ぬの?」
「死にます」
「うわぁ…」
「んで、私はその妖怪達を守さんに近づけさせない為に来たわけです」
「なるほど、俺が恋愛出来ないのはそういうことか…」
「いや、守さんにはもっと別に理由があると思いますよ、顔とか(笑)」
「ブサイクで悪かったな…」
「まあまあ、そんなに凹まないでください、冗談ですって」
「うぅ…」
「私は守さんって結構タイプだったりしますよ?」
俺はタルトの笑顔に少したじろいだ。
「あれ?もしかして照れてます?」
「うっさい!」
「えへへ、かわいい、、イダダ!いだいですぅ~!」
俺はタルトの両方のほっぺたをつねった。
「うぅ、少しは手加減してくださいよぉ…」
頬をさするタルト。
「もぅ、早く帰るぞ!」
俺が一歩進もうとしたその時だった。
恐ろしいほどのスピードでタルトが俺を制した。
「これ以上進まないでください」
何を言っているんだと口を開こうとすると、2mくらい先のコンクリートの地面から黒い謎の物体が染み出してきた。
「こ、これは…」
「早速お出ましのようですね、妖怪さん」
その物体は徐々に形を変え、やがて大きな犬の化け物へと変化した。
「おい、どうすんだよこれ…」
「守さんは隠れててください!ここは私が」
タルトは今朝出したのに似た御札を取り出した。
「行きます!」
御札は光を纏って、タルトの周りの空中でピタッと止まった。
「せいっ!」
御札は化け物に向かっていった。
飛んでいった御札が化け物に当たると、そこで爆発した。
化け物は少しひるみ、動きが止まった。
「はああっ!」
タルトは大きく跳躍するともう1枚御札を投げた。
御札は化け物の額に命中、今度は爆発せずに、ピッタリと引っ付いた。
「封!」
タルトがそう叫ぶと、額に付いた御札から無数の鉄鎖が伸びて化け物を強く縛った。
必死にもがく化け物だが、鎖は緩む様子はない。
「滅」
タルトが残酷に呟くと、化け物は光の粒を残して爆散。
タルトは俺の目の前に綺麗に着地した。
「お前…結構強かったのな」
「はい、神様ですから」
***
「…あいつが…例の青年…」
木の上から、何者かの影が謎の化け物との戦闘を眺めていた。
「彼は…私のものだ」
影は音もなくスッと姿を消した。
***
「守さん疲れましたぁ、ご飯まだですかぁ??」
「もう少しで出来るから待ってろって」
「守さんの手料理です!」
目をキラキラ輝かせながらキッチンの周りをうろうろする。
「分かったから、落ち着けって…」
20分後。
「美味しかったですゲフゥ」
「おう」
「守さん先お風呂入ってもいいですか??」
「あぁいいけど…」
俺はテレビ見ながらお風呂が空くのを待っていた。
「守さ~ん、上がりましたよ~」
「はいはーい…ってうわぁ!」
振り返ると…タルトは裸だった。
「どうしたんです?」
「なななななんで何も着てないんだよ!!」
「パジャマ無いんですもの…」
「だからってなんで裸…うわっ!」
タルトが俺の背中に身体をすり寄せてきた。
「こういう展開って好きですか?」
「や、やめろって!」
「守さん、御褒美が欲しいです…」
タルトが物欲しそうな目でこちらを見てくる。
保て、俺の理性!
「わ、分かったから!すぐパジャマ取ってくるから!」
「あ!待ってくださいよぉ」
俺は慌てて部屋を飛び出した。
「…何なんだ…」
俺は母さんのタンスからパジャマを取り出した。
「ん?なんだこれ」
それは黒い色物の下着だった。
「な、なんでこんな所に?」
母さんが使っていたのだろうが想像したくないな。
そっとしまおうとしたところで、タルトの姿が頭に浮かぶ。
俺はコレはダメだと頭を振って部屋を出た。
着替えを済ませたタルトはやけに上機嫌だった。
「うっはぁ、ほぉぉ」
「うるさいな、さっきから」
「そりゃあ新しいパジャマですもの」
「はいはいそりゃあ良かったな」
「えー、もっとなんかあるでしょう、こう「君は素敵だ」とか「結婚しよう」とか」
「プロポーズじゃねぇか!」
「ねぇねぇどう思います?」
「に、似合ってるんじゃねぇの…?」
タルトはにひひと笑った。
俺は若干顔を赤くしてしまった。
「あはは、照れてますね」
「うっさい」
俺はまたタルトのほっぺたをつねった。
「ウニニニ、痛いですってぇ」
俺は人と一緒にいるって事がこんなにも楽しいってやっと気付いた。
……………………………………………
「この野郎、リア充しやがって!」
「そうだぞ!タルトちゃんはみんなのものだ!」
「さあお前の純潔は俺が頂こう…」
アッー♂
次回「神様、vs神様?の巻♡」