魔剣の存在意義と旅の始まり。 そのはち
「さあ、封印を解きたまえ…森羅万象の理を示し志と心意気から導かれし、知、力、勇気を以て開け、悠久の扉!!」
ゴゴゴゴゴゴゴと良くある感じの音を鳴らし泉の扉が開く。
この扉は空間と空間を繋ぐ転移門。
魔術と錬金化学の力によって作られている。
「これはなんですの?」
「後で話す…ヴィヴィアン!!いるなら出て来い!!」
空間が裂け、そこから勢い良く何かが飛び出す。
「ひどいことしやがって!いくらルシファーでもゆるさないよ!搾り尽くして干からびさせてやるんだから!!」
空間から飛び出たのは小さな少女だ。
テンションと態度は高いし大きい、背は低いのに。
「…子供?」
「あ?なんかいったかくそガキ…ことばはつつしめよ、この色欲の大罪人フレイヤ・アスモディエウス様よりえらいやつはいないんだからな!!」
彼女はのわははははははは、と笑い声を上げふんぞり返る。
態度がでかい。
「あたしはぜったいにおまえよりとしうえだしこどもよばわりされるのがきらいなのだ!だからつぎこどもあつかいやこどもよばわりしたら搾り殺すからきをつけろな!」
可愛い顔をして物騒なことを言う少女が、なははははははははとふんぞり返って偉そうに言う。
「なんでこんなに偉そうなんですの?」
「大罪人の中でも一番に強いからだ、俺を含め誰も勝てたことがない」
そんな娘には見えない、そう考えたのかグィネヴィアは一歩前に前進し問う。
「貴女が色欲の大罪人で間違いありませんか!」
「さきほどからそうだといっているだろうおろかものめ!」
「ならばお手合わせお願い致します!そのお力我が目にしかと焼き付ける為!」
「よかろう、しかし、てがすべってころしてしまうやもしれんが…それでもいいな?」
「ええ、大丈夫ですわ!」
辺り一帯が静寂に包まれる、自分と同じ位の大きさの大剣を構えグィネヴィアから放たれる覇気が変わる。
それと同じようにヴィヴィアンから放たれる覇気も変わり、空気が重くなる。
二人は数秒にらみ合ったかと思えば、刹那、先に動いたのはグィネヴィアだった。
グィネヴィアの斬撃はヴィヴィアンには届かず空を切る。
グィネヴィアの斬撃を躱したヴィヴィアンはグィネヴィアに向けて真空刃を打ち出す。
しかし、真空刃はすべてグィネヴィアが繰り出した一度の薙ぎ払いで消えてしまう。
「やりますわね!」
「おまえもな!ここまで楽しい戦いはラグナレクぶりだ!」
二人の剣戟はやがて音速を超え、光速さえも超えてしまった。
誰も視覚では捉えることができなくなってしまった。