魔剣の存在意義と旅の始まり。 そのしち
「クソがァ!!」
ルシアは助けに向かうためか方向転換をする。
水中にもかかわらず移動速度が上がる、それもかなり早い。
「ルシア!!」
「足引っ張んじゃねぇよ。」
グィネヴィアの代わりに、ルシアが女神の様な姿をした化物に呑み込まれる。
この展開は予想通りだ。
「…ルシアを返しなさい化物!!」
そう言い放ち短剣を目の前にかざす。
「天厳の雷、舞え、聖剣」
かざした短剣は光に包まれ、その光とともに形を変える。
ご都合主義もいいところだ。
「来なさい!セクエンス!!見せて差し上げましてよ、私の剣戟舞踏流最終奥義!!」
流れる様な大剣さばきで異形の女神を次々と切りつけてゆく。
「一に斬、二つ裂、三には命を刈り取れば、それは円舞曲と成りうると、一に閃、二つ業、三には痛みを与えれば、それは独奏曲となりうると」
どこか、大和を感じさせる力強さと、とめどなく繰り出される大剣の速さは常軌を逸していた。
彼女は化物なのだろうか?
「舞い踊れ!ブレイドダンス!!」
血も涙も無いのかのように女神の様な姿をした化物を無残に切り裂き続けた。
「これが剣戟舞踏流ですわ!!」
最後のとどめは相手を突き刺し、薙ぎ払う。
エグい。
「驚いたな、まさかここまで強いとは」
「え?ルシア!?まさか生きてたんですの!?」
「だから言ってるだろ…俺はルシファーだと…絶対に死ねねぇし、死ぬわけにもいかねぇんだ」
「………」
言葉が出ない。
なんと言えばいいのか、彼女はわからない。
もちろん彼にも、ただ、彼は何とかして言葉をひねり出そうとしている。
「だからその…あれだ…とりあえずアスモディエウスんとこ行くからついて来い」
「そう言えば…先程の魔物は一体なんですの?」
「この泉の主、大罪人って呼ばれてる俺たちでも多分倒せねぇだろうな、さらに言えば殺す事なんてもっとできやしない」
「つまり…」
「お前は大罪人より強いってことだな」
何故、彼女は大罪人より強いのか。
それは彼らに理解することなど出来ないだろう。
「嘘ですわよね…私が大罪人よりも強いだなんて…」
「動きに無駄が無い、アーサーの教え方が良かったのか、それともお前自身のポテンシャルが高いせいなのか」
その強さはいい方向へと進むのか。