魔剣の存在意義と旅の始まり。 そのろく
「水溜まりですの?」
「どう見ても泉だろうが」
「ブリテンにはこの水溜まりの15倍位の広さがある泉がありましてよ」
ブリテンにある泉が大きいのではない。
妖精の泉が小さいのだ。
と言うより、ブリテンのは泉と言うより、湖と言った方が自然だと思うよ。
「…まぁいいや、たしかここにヴィヴィアン・アスモデウスがいるはず」
『出て行け!!ここは貴様等盗賊達が入っていい場所ではない!!これは警告だ!!』
「ヴィヴィアン!!俺だ!!結婚してくれ!!」
『帰れ!!』
「貴方はいきなり何を言っているんですの!?」
「なぁにちょっとした合言葉みたいなものさ…ヴィヴィアン!!お友達から始めよう!!」
「下手に回りましたの!?」
『嫌だ!!』
「寝ても覚めても君のことしか考えられないんだ!!お願いだ!!結婚してくれ!!」
「下手にまわったり強気になったりなんなんですの!?」
『…まわれーみぎぃ!!』
「その可愛いお顔を僕に見せておくれ!!」
『か…可愛い…そんなこと言ったってだな!!私はここから出られないしな!!のははははははははは!!』
「なら私がお迎えに参りましょう!!」
「一人称を安定させてくださいまし!!」
ほらほら突っ込め突っ込め~
ツッコミのキレは微妙になりつつあるね、なんでかな?
『わ、私呪われてるよ?腕だってないんだよ?』
「構わないさ、さぁ行くよグィネヴィア…走れ!!泉に飛び込め!!」
「うぇ!?な、なんですの!?あうぇ!?う、ううううううううしぃろぉ!!なんで火の玉が飛んでくるんですの?」
騒ぎながら泉に落ちる。
「なんだかんだ言って色欲を司る大罪人だからね…高ぶると…発情する」
「それと火の玉にどのような関係がありまして!?」
「アレは自分より弱い者を寄せ付けないようにするための防御壁みたいなものでねぇ…あまりにも見境がなかったから俺がかけた呪いだ… 」
「アホですの!?」
「でもあれのお陰で見境無く食い散らかすことが少なくなったんだぜ?」
「はぁ…今更なのですが何故水中でも会話、呼吸ができるんですの?」
確かに不思議だね。
しかしながら今の彼らにはそれを知る手はない。
疑問に思うことくらいしかできることはないだろう。
「それは後で考えろ…さぁ来るぞ!この泉の主!カリュブディス!」
女神の様な姿をした何かが縦横無尽に水中を動き回る。
「なんですの?アレは…」
「バカ!!死にてぇのか!!急いで陸に上がれ!!」
「急げと言われましても…」
ルシアはいつの間にか陸上へと向かっていた。
それにグィネヴィアも続く。
さぁ、捕食が始まるぞ。
「キャアアアアアアアア!!」
渦が発生する。
その渦にグィネヴィアは呑み込まれる。
さて、どうなるのやら。