魔剣の存在意義と旅の始まり。 そのに
ここは王都ブリテンから見て南東に位置する村、アサギ村。
その村のはずれに位置する家で一人でひっそりと暮らしていた若者が一人いた。
その者の名は、ルシア。
ルシアは真面目でかなりの好青年であり、村人から頼られる事も多い。
しかし、それと同時に気味悪がられることもある。
それはおいおい説明してゆくとして、何か始まりそうですよ?
ドンドンドンドン!!
ドアを叩く音が聞こえる。
「はいはーい今行きますよーっと」
ガチャリとドアを開けるとそこには金髪碧眼で高そうなドレスを着た女の子がいた。
「すみません、どちらさんですか?」
「た、助けてくださいませ!追っ手がすぐそこまで来てますの!!
一体何事かと驚くような素振りを見せるルシアだが直ぐに平静を取り戻し.家の中へとその女の子を入れ、リビングまで誘導する。
「あ、そこ座っていいよ」
「有り難うございます」
「んで.追っ手って?なんで追われてんの?」
「それは…私は見てしまいましたの、ブリテンの闇を…それで消されそうになり、アーサー様が私を逃がすのに手を貸してくれたのです」
「アーサーが?」
「ええ、そうですわ…私を逃がしたのがアーサー様だとバレれてしまったらアーサー様の御命が危ないのですわ」
「いや、アーサーは大丈夫だあいつは絶対に死なねぇ、安心しろ」
ルシアは先程から何故かブリテンの王、アーサーについてやたらと馴れ馴れしいですね、アーサーを知っているのでしょうか。
ゴンゴンと音がなり、その後玄関が開く。
「私は王都ブリテンより派遣された、王女グィネヴィア様捜索隊第一班隊長、ランスロットである、グィネヴィア様らしき金髪碧眼の女性がこの家に入るところを見たという、村人からの情報提供があった」
「家宅捜索させてくれってことかい?ならどうぞ、心ゆくまでお確かめください」
何を考えているのか、ルシアは家の中にランスロットを招き入れる。
「誰もいないな…隠し扉はあるか?」
リビングには先程までいたグィネヴィアがいた形跡すら残していない。
そう、彼女を隠したのだ。
「ありますとも、貯蔵庫が一つ、冬に備えて食物を備蓄するだけのスペースしかありませんがね」
しかして、どこへ隠したのやら。
姿が見えませんね。
恐らく、貯蔵庫には居ないと見受けられる。
自信ありげな態度から察するにいなさそうだ。
ならどこに?
答えは意外と簡単なところでした。