魔剣の存在意義と旅の始まり。 そのじゅう
とりあえず…斬る!!
「あいつにいったいなにをしやがったぁッ!!」
勢いをつけ飛び上がり、向かいの建物上に移動し、モルゴースと名乗る女へ向けて刀を振り下ろす。
「マーリィは死ぬよ…あと五秒…♪」
しかしその刀は空を斬るだけで何も手応えがない。
「…!!上か!!」
いつの間にやら彼女は上へと飛び上がっていた。
「呪い…♪降りそそげ暗闇……♪アハァッ♪」
「輝け!!極光神撃ィッ!」
「五秒たったぁ…♪マーリィ貰ってくねぇ♪」
ルシファーが放った極光神撃は掠りもせず空を切る。
モルゴースはどうしてか家の前に立っており中をゆらゆら左右に揺れながら見ている。
ルシファーはすぐに家へと向かって全力で駆け出す。
しかし、その速度では遅過ぎた。
イヤァアアアアアアアアアアッ!!
家の中から悲鳴が聞こえた、そしてすぐにモルゴースが家の中からズルズルと血だらけで生気を感じられないマーリィと、マーリィの腰あたりには小さな腕のようなものがあった。
モルゴースはマーリィの死体を抱えると、空高く飛び上がり、消えた。
それと同時に空から小さな腕が落ちた。
その腕はまさか、そのまさか。
家の前にようやくたどり着いたルシファーは。
その腕の主を見やる。
致死量になるまで血が流れているのではないかと思えるほどの血だまりが、少女の下に出来ている。
少女の瞳は濁りきっており最早それは死んでいるものにすら見えた。
「クソがァ!!待ってろ今助けてやる!!」
この時俺は自分はどうなってもいいと思っていた、只々いつをめ目の前の消えかかっている命を救おうと思った。
「今、再び開かれし生死の扉、我が願うは彼の者を救う事なり、生命の業とし我は望む、力と勇気を全て捧げよう!!もう誰も失いたくない!!禁呪レイズクロック!!」
流れ落ちて血だまりになっていた血が彼女の中に戻っていく。
全ての血が彼女の中に戻ると、千切れた腕の傷口が塞がる。
家の前に転がっている腕はその場で白骨化した。