魔剣の存在意義と旅の始まり。 そのいち
今からおおよそ八十万年前に一度
地球上から全人類が滅んだ。
それから五十万年ほどの時が経つまで、人類は出現することがなく、汚染され尽くされた地球は、息を吹き返したかのように緑が生い茂り、とても美しい星へと変わっていったのである。
その地球に現在の『今』から三十万年前、突如として現れたAdamとEve、イザナギとイザナミがそれぞれ子孫を繁栄させ大国を築いた。
高天原とEden、二つの大国は互いに争う事をせず、平穏に暮らしていた。
しかし、その平穏は長続きはしなかった。
イザナギ、イザナミの死後、高天原の王となったツクヨミが姉、アマテラスと結婚し、国を治め、同じようにAdamとEveの死後、HeraはZeusと結婚し、新たな国を目指した。
そこまでは良かったのだ、とあることがきっかけで世界は反転したかのように色を変えた。
二つの国の王が変わってから十万年後、ツクヨミが隣国Edenの王妃Heraと不倫し、それがきっかけで世界大戦を巻き起こした。
世界大戦では刀と銃、魔法が用いられ、戦場と化した二つの国は血と炎で赤く染め上げられ、二つの国の民は逃げる間もなくその場で切り捨てられる、心臓を打ち抜かれる、業火に飲み込まれるなどして殆どの民は生き残ることができなかった。
世界大戦が終わったあとの惨状は凄まじく、その光景はラグナレクと呼ばれ、現在の『今』でも語り継がれている。
そして世界大戦を生き抜いた者達がいた、彼等は戦争時、血を浴びすぎた為、死ぬ事が赦されないという呪いがかかり、寒さを感じなければ熱さを感じることもなく、飢えることも無くなった。
老いる事も無くなったその身体で唯一感じる事ができるのは痛みのみであり、その精神的苦痛から逃れる為、自ら石化した者、自らを封印した者、永遠の苦痛を耐える事を自らの贖罪にした者、様々な者がいた。
ラグナレクが記憶から薄れたころ、生き残った彼らの行方はわからなくなり、更に戦争の余波で人間の他に、ノーム族、ゴブリン族、龍人族、人魚族、鳥人族、悪魔族、天使族、魔神族、天神族など色々な種族が次々と生まれ、様々な国ができた。
命も、短くなった。
そんな世界で、今新たな大きな物語が動き出そうとしている。
そう、物語のページはもう捲られたのだ。
さぁ、始まり始まり。