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マカロニ忍者・栄干支里クン!

作者: モキ

マカロニ・ウェスタンという言葉の意味をご存じだろうか。


西部劇の一部をマカロニ・ウェスタンと呼ぶ。そこにはマカロニのストロー状の形状から『中身がない』という揶揄やゆも含まれているという。


マカロニ・ウェスタンのマカロニの意味は複数ある。だが、マカロニ忍者という職種の、マカロニに込められた意味は『中身がない』のただ一つだ。


マカロニ忍者というのは、借金を背負った者やワケアリの者がコワイおじさんたちに無理矢理就かされる、なりたくない職業No.1の職だ。忍具と称したパスタ(その多くがマカロニである)を武器として渡され、戦場に駆り出されれば、100人中100人が真っ二つにされ、スパイとして敵地に送り込まれれば100人中100人が戻ってこない。その後、どこかをうろついていたと言う話も聞かない。


と言うのも、このマカロニ忍者、戦場で破壊活動を行ったり、敵地でスパイ活動を行うのが役目ではない。強いて言うなら、殺されることが役目なのだ。敵に塩を送るが如く、ストレス解消の的として敵にマカロニ忍者を送るのがいくさでの粋な心得とされている。マカロニ忍者とは命を張ったエンターテイナーなのだ。


マカロニ忍者はその昔、これと言った役目もなく、ただ敵地に送られむざむざと殺されるだけの、コワイおじさんたちによる『借金を踏み倒したり、タブーを犯せばお前もこうなるぞ』という一種の見せしめだった。名前も今とは違い、普通の忍者と同じく忍者と呼ばれていた。


だが、それが忍者たちの怒りを買うことになろうとは、コワイおじさんたちも予想していなかった。


忍者と言うのは身分は低く、道具等と言われることがある。しかし、飽くまでも子供の頃からきつい拷問や訓練に耐え、また優れた技術を持ったエリートである。拷問や訓練の最中に死ぬこともある、実になるのがハードな職だ。彼らは、多かれ少なかれ忍者である事にプライドを持っていることが多い。否、忍者であることにすがる者が多いと言った方が正しいかもしれない。手を汚し身分も低く、そんな彼らは忍者であることを生きる理由とし、手を汚す理由とし、虐げられる理由とする。


だからこそ、マカロニ忍者を同じ忍者として呼ばれるのが許せなかった。彼らのほとんどが頭が悪くチャランポランなよわっちい元一般人だったからである。そんな、人間が忍者だと。笑止。


結果マカロニ忍者は、忍者に憎しみと嫌悪の対象として素早く始末される様になり、名前も当時京の都で流行っていたマカロニ・ウェスタンからマカロニをとられ、マカロニ忍者となった。


かくして敵に送る塩としての忍者とは言えない忍者、マカロニ忍者が誕生したのである。




そんな、道化であるマカロニ忍者がここにも一人誕生しようとしていた。


彼の名前は栄干支里はえとり。そう、あの臭いモノに集る虫を取る駆除道具の蝿取りが名前の由来だ。実に親の神経を疑う名前である。ちなみに彼は十五歳にして身長180cmもある。実に高身長だ。


彼がマカロニ忍者になってしまったのは、彼の妹がコワイおじさんの娘の彼氏を、寝取ったからである。コワイおじさんは、娘から悪い虫が追っ払えて清々としたようだったが、娘が泣きついてきたら話は別である。栄干支里クン宅に押し入り栄干支里クンを拉致して妹の居場所を吐かせようとした。が、時既に遅し。栄干支里クンの妹はなんと海外の両親の元へ、スタコラサッサしていたのである。とんだ愚妹、いやクズ妹である。


妹がいないとなれば、栄干支里クンを腹いせにマカロニ忍者にするほかあるまい。それにマカロニ忍者はそこそこ高額で取引されるのだ。これで私腹を肥やそうという魂胆である。


そんなこんなで栄干支里クンは命を張ったエンターテイナー、マカロニ忍者にされたのだった。憐れ。


挿絵(By みてみん)

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