ちょっとした変化
うーん。キャラの個性が薄いね。
何か面白い個性を募集。
とりあえずの自己紹介も終わり、さあ最初の授業である。が…
「最初の授業は――魔装作成だったね!」と、クラス長が少々高めのテンションで言った。
魔装は本来高価なモノであり、とても一人一つとは持てない代物である。
なので、それを入手できる機会はとても貴重であり、喜びもする。
「…?」もちろん、ミントを除けば、だが。
そもそも彼女は魔装という単語を知らない。
とりあえず彼女は、寮の部屋に常備されてあった単語辞書(無断持ち出し厳禁の印がある)を開く。
そして、『魔装』のページを開く
【魔装】・マソウ・戦闘用語
フェアル王国において主力とされる学生部隊の大半が私有する、武装兵器。
入手方法は秘匿とされており、軍事機密になっている。
ありとあらゆる武器の形態のうち、どれか一つ以上の形状と、何かしらの特殊能力を持つ。
魔装内での強弱の差が激しいが、帝国の兵器に対しても十分通用する兵器。
という文を見て、ふーん、と理解する。
キュゥッ!と真夜が理解したかのように鳴く。多分理解できて無い。
「ミントちゃん、ほら来てー!」ネルの声だ。
「……ん」
パタンと辞書を閉じ、既に移動を開始しているネルたちの後ろを歩く。
「おし、これくらいなら皆入るか、陣の中に入れ。」
アルトが転移魔方陣の上に立つと、こちらに向けてそう言った。
ミントはネル達と共に陣の中に入る。
アルトはそのまま陣の横にあるレバーを思い切り引いた。
ガコ!とレバーの音と共に彼らは第二戦闘訓練場に姿を消した。
魔装兵器が秘匿されているのは、その入手法である。
他人の魔装兵器は本人以外に使用できないため、入手法さえ知られなければいいのである。
入手法を秘匿にするべく作られたのが、第二戦闘訓練場である。
なんといっても場所が学園から遠く離れた山の中にあるのだ。
エリトス山と呼ばれるそこは、ワイバーンやレットドラゴンを始めとする竜系の種族も住んでおり、第二戦闘訓練場はその中に魔法によって隠されている。
それくらい、魔装は強力な兵器なのである。
ミントは本日二度目の転移陣特有の気だるさを感じながら、ネル達の後に続こうとする。
が、横からの声により止められた。
エリーヌである。彼女はこちらに高く響く声でミントを呼ぶ。
「あ!ミントさん、魔力開放まだだったでしょう?今からやるから付いて来て!」
エリーヌはそのまま歩きだす。
ミントは3人の方へ振り返る。
「……らしい…よ」
「むぅ…そっか、仕方ないか…開放したら一緒にやろーねー!」
ネルがそう言い、
キュ!と真夜が同意し
「そうですね。一人でも欠けたら楽しくないですもの」
カレンが締めようとして、
「だな、皆でやったほうが面白いに決まってらぁ」
何故かアルトが締める。
ミントは、ネルとカレンの二人の睨みを受けているアルトを放っておいてエリーヌを後を追う。
エリーヌの後ろ1メートルを歩き続けて着いたのは、魔法陣が複数個書かれた部屋だった。
「エリーヌ先生……これは?」
ミントが問いかける。意味は「ここはどんな部屋なのですか」である。
エリーヌは質問の意味を計り損ねたようで、「この陣の意味は――」と言い出す。
だが、聞いた本人であるミントにはどちらの答えでも正解らしい。珍しく「ふーん」という語に理解の色を表しながらも、エリーヌの指示を待つ。
「よし、じゃあ陣の中央に立ってー」とエリーヌは言う。
この部屋の陣は、部屋の中央の大きな陣と、その周り八方を囲むように少し小さい陣が、さらにその陣たちを囲むように、小さな陣が20個ほど見える。
エリーヌの指示する陣は中央の大きな陣だろうと推測し、そこの中央に立つ。
「おっけーよ…じゃあ、今から魔力開放の為に部屋を密室化するわね。私と真夜ちゃんは部屋から出ないといけないから、少し心細いかもしれないけど、頑張ってね!」
真夜は、こちらを一度振り返ってミントの黒い眼を見て、そのままエリーヌの後を追うように部屋を出る。
エリーヌは外側から部屋の扉を閉じ、直後、鍵を掛けた音が聞こえた。
この陣は、魔力開放を誰にでもできるように作られたモノである。
大まかな内容の意味が書かれた主陣。
その他の内容の意味が書かれた副陣。
ルーン魔術の概念を応用して作られた補助陣。
コレを用いる前は、魔力は誰にもあるとは知っていても、開放できなかったため、魔法を使える人間が限られていたのである。
フェアル王国においてこの技術が出来、魔法の利用が大発達した。
だが、精密さを求められるため、この魔力開放の条件には以下の3つがつけられる。
・5才以上、25歳以下(特殊な方法を用いているため。体力が一定以上必要)。
・必ず密室で行うこと(外からの魔力を遮断するため)。
・必ず密室内では一人でいること(他人の魔力が混じって暴走する恐れがある)。
そこまで厳しいものでも無いので、フェアル王国の住人のほとんどは既に魔力開放している者がほとんどである。
さて、これから魔力開放をするミントは、鍵の掛かった扉を見ながら、少し寝ていた。
恐るべきスピードである。
だが、甲高い音が響き、すぐに目が覚めた。
「……?」
周りを見渡すと、大量の補助陣が淡く光っている。
その光はだんだんと強くなり――
そして、ある程度の強さを境目に、今度は8個の副陣が光り始める。
やはりそれも段々と強くなり、とうとう主陣が光りだす。
だが直後。
「―――ッ!!」
ミントの頭の中が誰かにかき回されるように疼き出す。
ミントの中に眠る膨大な魔力が、弾けるように飛び出した影響である。
ぐちゅり、ぐちゅり
頭の中が混ぜられていくような音が幻聴で聞こえてくる。
「うぁぁぁぁぁっ!!!」
今まで一度も出したことの無いような大声で、痛みに耐える。
――脳の回路が焼き切れるように熱くなる。
それを自覚した直後。
ぷつりと音を立てて、ミントの意識は闇に沈む。
真っ白な闇へと。
その直後、バタンと音が聞こえ。
――大変!すぐに運ばないと…!
―――キゥ!
ミントにとって聞き慣れた声は、しかし、彼女には届かなかった。
ちょっとコレ、書き上げて直ぐ投稿する形なので、何か違和感感じたらそのまま教えてください。
何か、何か違うような…?